私は中学生くらいの時から車が嫌いだった。しかし、オートバイは好きだった。それは単なる好みの問題ではなく、私の思想的なものも関係している。車は一つの完全な居心地のいい空間、何でも出来る便利な移動できる空間だからである。一言でいって私はマイホーム主義が嫌いだからである。完全に窓ガラスで遮断され、いくら運転しても疲れず、ラジオにクーラー、最近ではカーナビでテレビやビデオまで、しかもリクライニングシートを倒し彼女といゃつく事まで出来る。車の中で寝ることも出来る。つまり、小さな家みたいなもんである。これがマイホーム主義の象徴いがいの何であろう。車を大事にする愛車精神は悪くはないが、小さな傷にもカリカリするのはみっともない。所詮、他人のつくってくれた物じゃないか。私はこういう、みみっちい、ちっぽけなマイホーム主義が生理的に嫌いである。その点、オートバイは、それら全てが車と違う。オートバイは運転するための実用の機械である。風を切って走るから疲れるし、カーブも失敗すれば転倒する。ラジオもカーナビもクーラーも無い。女といちゃつく事も出来ない。そういう点が男らしい、マイホーム主義でない、格好よさを感じるのである。そして、それ以上に私はオートバイの構造美が好きなのである。正面のヘッドライト、真横に伸びたハンドル、流線型の燃料タンク、露出したキャブレターとエンジン。流れるようなマフラー。それらが一体となって完璧な構造美をつくりだしている。私は人の乗っているバイクより、バイクそのものに完璧な美しさを感じる。
goo blog お知らせ
最新記事
最新コメント
カレンダー
バックナンバー
ブックマーク
- 浅野浩二のホームページ
- 女生徒、カチカチ山と十六の短編(小説)
- 浅野浩二の小説(note)
- 星空文庫の目次
- ロリータ(小説)
- 桃太郎(小説)
- 監禁物語(小説)
- ボクシング小説(小説)
- 歯科医のサディスト(小説)
- イエスキリスト物語・第5話(小説)
- 不幸な妻の物語(小説)
- 浅野浩二の性欲自分史(小説)
- 岡田有希子の一生(小説)
- 小児科医(小説)
- 催眠術(小説)
- 三島由紀夫(小説)
- ゴキブリ星人(小説)
- 官能作家弟子入り奇譚(小説)
- 老人とテニスと二人の女(小説)
- 図書館(小説)
- ボディーボードの女(小説)
- 姉妹奴隷(小説)
- 卍(まんじ)(小説)
- マネーの虎(小説)
- 精神科医物語(小説)
- 佐助と春琴(小説)
- 太陽の季節(小説)
- 棋士物語(小説)
- 義母と義妹(小説)
- 完全なる飼育(小説)
- 女教師(小説)
- 男女入れ替わり物語(小説)
- 無名作家の一生(小説)
- 七夕の日の恋(小説)
- M嬢の物語(小説)
- 星が落ちた話(小説)
- 少年とOL(小説)
- ある複雑な家族の話(小説)
- 社長と秘書(小説)
- 新型コロナウイルス物語(小説)
- コンビニ人間・古倉恵子(小説)
- 王女と道化師(小説)
- エコノミストの女神(小説)
- M女と三人の男(小説)
- 草食系男の恋愛(小説)
- 秋田なまはげ旅行(小説)
- 大磯ロングビーチ物語(小説)
- 小学校の同窓会(小説)
- 会社恋物語(小説)
- 虫歯物語(小説)