二人は、お互い、相手に向かって歩み寄っていきました。柔らかい女の肉と肉が触れ合いました。二人は、お互いに両手を相手の背中に、そっと回しました。二つの柔らかい肉と肉がピッタリとくっつきました。二人は、お互いを、黙って、じっと抱きしめ合いました。そうすることによって、近親相姦レズなどという、おぞましい行為から逃げるように。
しばしの時間が経ちました。
「おい。抱き合っているだけではレズショーじゃないだろう。キスするんだ」
杜子春が、苛立たしげな口調で言いました。
「さ、さあ。愛子。キスしましょう」
「で、でも。お姉さま」
「愛子。わがまま、言わないで。杜子春さまの命令には逆らえないわ」
姉の京子がたしなめました。
姉の京子は、ためらっている妹の愛子の唇に自分の唇を近づけていきました。愛子は、咄嗟に目をつぶりました。
姉は妹の唇に自分の唇を触れ合わせました。その瞬間、妹の体がビクッと震えました。姉は妹が逃げないように両手で妹の頭をしっかり掴みましだ。そして姉も目をつぶりました。二人の姉妹は唇を触れ合わせました。
しばしの時間、キスしていた二人は、唇を離しました。
愛子は、サッと頭を後ろに引きました。二人の顔と顔が向き合いました。二人は目と目が合うと、恥じらいから、すぐに視線を相手からサッとそらしました。しかし、二人の顔は激しく紅潮していました。
「ああっ。お姉さま。わ、私。頭がおかしくなってしまいそうです」
「愛子。わがまま言わないで。私を他人だと思って」
「で、でも・・・」
「愛子。どのみち避けられないのよ。もう、とことん、おかしくなりましょう」
「・・・わ、わかったわ」
そう言って二人は、また唇を重ね合わせました。しばしの時間、二人は唇を触れ合わせたままでじっとしていました。
「おい。そんな形だけ口をつけているだけじゃ駄目だ。ディープキスしろ。舌を絡め合って、唾液を吸いあうんだ」
杜子春が、怒鳴るように言いました。
「は、はい」
姉が言いました。
「あ、愛子。中途半端な気持ちでいると、かえって辛いわ。いっそのこと、開き直って、行き着くとこまで行きましょう」
姉はそう言って、再び、妹の唇に自分の唇を触れ合わせました。姉の喉仏がヒクヒク動き始めました。京子が妹の唾液を貪るように吸っているのです。
しばしして、愛子が、京子から顔を離して、プハーと大きく呼吸しました。
「ああっ。お姉さま。わ、私。頭がおかしくなってしまいそうです」
愛子はハアハア喘ぎながら言いました。
「愛子。どのみち避けられないのよ。もう、とことん、おかしくなりましょう」
姉がたしなめました。
「よし。今度は乳首の擦りっこをしろ」
杜子春がニヤリと笑いながら命令的な口調で言いました。
「愛子。乳首の擦りっこをしましょう」
京子は声を震わせながら言いました。
京子は、そっと胸を近づけた。京子と愛子の二人の乳首が触れ合いました。
「ああっ」
愛子が苦しげに眉根を寄せて叫びましだ。
「どうしたの」
京子が聞きました。
「か、感じちゃうの」
愛子が顔を紅潮させて、小さな声で言いました。
「我慢して」
そう言って京子は愛子の肩をつかみながら、二人の乳首を擦り合わせました。二人の乳首は、まるで、じゃれあう動物のように、弾き合ったり、押し合ったりしました。だんだん二人の乳首が大きく尖り出しました。二人はハアハアと呼吸が荒くなってきました。
「お、お姉さま。わ、私、何だか変な気持ちになってきちゃった。な、何だか凄く気持ちが良くなってきちゃったわ」
愛子が虚ろな目つきでハアハアと息を荒くしながら言いました。
「わ、私もよ。愛子」
京子が言いました。二人は、体を揺らしながら、しばらく、もどかしげに乳首を擦り合わせていました。
「ふふ。二人とも心境が変わってきたようだな」
杜子春が、得意げな顔で、したり気な口調で言いました。
「愛子。今度は乳房を擦り合わせましょう」
京子が言いました。
「ええ」
愛子は逆らわずに肯きました。二人は乳房を擦り合わせました。二人は乳房を押しつけたり、擦り合ったりさせました。まるで、お互いの乳房が相手の乳房を揉み合っているようでした。時々、乳首が触れ合うと、二人は、
「ああっ」
と苦しげに喘ぎました。
愛子と京子の二人の顔は目と鼻の先です。 二人の目と目が合いました。暗黙の了解を二人は感じとりました。二人は、そっと顔を近づけていきました。二人の乳房はピッタリと密着して、平べったく押し潰されました。二人は、お互いに唇を近づけていきました。二人の唇が触れ合うと、二人は無我夢中でお互いの口を貪り合いました。京子は、両手を愛子の背中に回して、ガッチリと愛子を抱きしめています。しばしして、二人は唇を離して、ハアハアと大きく深呼吸しました。二人は恥じらいがちにお互いの顔を見つめ合いました。
「ああっ。お姉さま。感じるー」
愛子が言いました。
「愛子。私もよ」
京子が言いました。二人は再び、尖って大きくなった乳首を擦り合わせ出しました。二人は、これでもか、これでもかと、さかんに乳房を押しつけ合いました。そして、唇をピッタリと合わせてお互いの口を貪り合いました。
「ああー。感じちゃう」
愛子が大声で叫びました。
「私もよ。愛子」
京子も大声で叫びました。超えてはならない禁断の一線を越えた二人はもう一心同体でした。
「ふふふ。おい。京子。愛子。胸だけじゃなく、アソコもお互い愛撫しあいな。女同士なら、どこが感じやすいか、男よりよく知っているだろう」
杜子春が、したり気な口調で言いました。
「わ、わかりました。杜子春さま」
京子は杜子春の方を向いてそう言いました。そして、すぐに愛子に目をもどしました。
「愛子。もっと気持ちよくしてあげてるわ」
京子が言いました。
京子は、愛子のアソコを、触り出しました。
「ああっ」
愛子は、反射的に、腰を引きました。
「愛子。ダメ。腰を引いちゃ」
京子は、叱るように言って愛子の腰をグイと自分の方に引き寄せました。
しかし愛子は足をピッタリと閉じ合せています。
「愛子。もっと足を開いて」
京子が言いました。
「はい。お姉さま」
言われて愛子は、素直に閉じていた足を開きました。
京子は愛子の女の穴に中指を入れました。愛子のアソコは、もう、じっとりと濡れていたので、指はスルっと入りました。京子は、ゆっくりと、愛子の女の穴に入れた中指を動かし出しました。
「ああー」
愛子が眉根を寄せて大きく喘いだ。愛子のアソコがクチャクチャ音を立て出しました。白い粘っこい液体が出始めました。
「ああー」
愛子は体をプルプル震わせて叫びました。
「あ、愛子。私のアソコも触って」
京子が言いました。
「わ、わかったわ」
愛子がハアハアと喘ぎながら答えました。
愛子はハアハアと苦しそうに喘ぎながら、自分も右手を下に降ろし、正面の京子のアソコに手を当てて、しばしアソコの肉を揉んだり撫でたりしました。そして中指を京子の女の穴に入れて、ゆっくり動かし出しました。
「ああー」
京子もプルプル体を震わせて、喘ぎ声を出しました。
京子のアソコもクチャクチャと音を立て出しました。京子のアソコからも白濁液が出てきました。
京子は、一心に愛子のアソコに入れた指を動かしています。
「あ、愛子。もっと激しくやって」
京子が言いました。
「ええ。わかったわ」
愛子は、指の蠕動を速めていきました。
「ああー」
二人は、指責めの辛さのやりきれなさを相手にぶつけるように、お互いの女の穴に入れた指の蠕動を、一層、速めていきました。愛子と京子は、抱き合って、乳房を押しつけながら、お互いの口を激しく吸い合いました。
「ああー。いくー」
ついに愛子が叫びました。
「ああー。いくー」
京子も叫びました。二人は、
「ああー」
とことさら大きな声を出して全身をガクガクさせました。まるで痙攣したかのようでした。二人は同時にいきました。二人は、ペタンと床に座り込んで、しばしハアハアと荒い呼吸をしました。
「ふふふ。お前たち。姉妹の絆が強まって嬉しいだろう」
杜子春は、煙草を吹かしながら、そんな嫌味な皮肉を言いました。
「ふふ。今度は69をするんだ」
杜子春がしたり顔で言いました。
「ええー」
二人は顔を見合わせて真っ赤になりました。だが、妖術を使える杜子春に、目の前に、居据わられているので逃げることは出来ません。しかもレズショーをやると杜子春と約束したのです。それにもう二人は他人ではありません。血のつながった姉妹でありながら、禁断の一線を越えてしまったのです。
「あ、愛子。あ、諦めてやりましょう」
京子が言いました。
「そ、そうね。京子おねえさま」
愛子が相槌を打ちました。
「じゃ、じゃあ、私が下になるわ」
京子はそう言って、床の上に仰向けに寝ました。
「さ、さあ。愛子。四つん這いになって私の上を跨いで」
京子が言いました。
「わ、わかったわ」
そう言って愛子は京子と反対向きに四つん這いになって京子の上に跨りました。
愛子の顔のすぐ下には、京子のアソコが触れんばかりにあります。一方、京子の顔の真上には、京子の、アソコが触れんばかりにあります。
「ああー」
二人は、耐えられない恥ずかしさに思わず、声をあげました。
杜子春は満悦至極といった様子で二人を見つめています。四つん這いの愛子は、尻の穴までポッカリ杜子春に晒しています。
「ふふふ。愛子。尻の穴が丸見えだぜ」
杜子春が揶揄すると、愛子は顔を真っ赤にして、
「ああー」
と叫びました。愛子が、必死で尻の穴を窄めようとしたので尻の穴がヒクヒクと動きました。
「さあ。69でレズショーを始めな」
杜子春が命令しました。
「あ、愛子。仕方がないわ。やり合いましょう」
京子が言いました。
「そ、そうね」
愛子が相槌を打ちました。
「あ、愛子。もう、こうなったら、中途半端じゃなく、何もかも忘れて、徹底的にやりあいましょう。中途半端な気持ちでいると、かえって辛いわ。いっそのこと、開き直って、行き着くとこまで行きましょう」
京子が言いました。
「そ、そうね。私達、もう禁断の一線を越えてしまったんだから」
愛子が言いました。
京子は膝を立てて足を開いています。
「京子。すごく形のいい太腿ね。私、いつも、うらやましく思ってたの」
そう言って愛子は、京子の太腿のあちこちに接吻しました。
「ああっ」
愛子にアソコをキスされて、恥ずかしいやら、気持ちいいやらで、京子は喘ぎ声を出しました。京子も手を伸ばして愛子の尻を優しく撫でました。京子の方が下なので、寝たままで両手を自由に使えます。京子は車体の下から上を見上げながら車の底を修理する自動車修理工のような体勢で、愛子の股間を色々と、弄くりました。アソコの肉をつまんだり、大きな柔らかい愛子の尻に指先を軽やかに這わせたり、ただでさえ開いている尻の割れ目をことさらグイと開いたり、尻の割れ目をすーと指でなぞったりしました。尻の割れ目をなぞられた時、愛子は、
「あっ」
と叫んで、反射的に尻の穴をキュッと窄めようとしました。
「どうしたの。愛子」
京子が聞きました。
「そ、そうやられると、感じちゃうの」
愛子が言いました。
「愛子の一番の性感帯は、肛門なのね」
京子が言いました。
「違うわよ。そんな所、触られたの生まれて初めてだもの。誰だって感じちゃうわ」
京子は、ふふふ、と笑いました。まるで相手の弱点を知って得意になっているようでした。京子は、愛子の大きな尻を軽やかな手つきで、指を這わせました。そして、時々、すーと尻の割れ目を指でなぞりました。
「ああー」
愛子は尻の割れ目をなぞられる度に悲鳴を上げました。京子は、ふふふ、と悪戯っぽく笑いました。
「京子おねえさま。わ、私も遠慮しないわよ」
愛子はそう言って、京子の女の割れ目に舌を入れて舐め出しました。
「ああっ。愛子。やめて。そんなこと」
京子は、激しく首を振って言いました。だが、愛子は京子の言うことなど聞かず、唇で小陰唇やクリトリスをペロペロ舐めました。京子は、
「ああー」
と羞恥の声を上げました。愛子は四つん這いで膝を立てていて、京子は寝ているため、口が愛子のアソコにとどきません。だが手は自由に動かせます。京子は愛子の小陰唇を開いて、右手の中指を入れました。
「ああっ」
と愛子が声を出しました。京子はゆっくり指を動かし出しました。
「ああっ」
愛子が苦しげな声を出しました。愛子のアソコはすでに濡れていて、指はヌルリと容易に入りました。京子は、穴に入れた指をゆっくり動かしながら、左手で、愛子の尻の割れ目をすーとなぞりました。
「ああー」
敏感な所を二箇所、同時に京子に責められて、愛子は、眉を寄せて苦しげな喘ぎ声を出しました。愛子も負けてなるものかと、中指を京子の女の穴に入れ、ゆっくりと動かし出しました。
「ああー」
京子も眉を寄せ、苦しげな喘ぎ声を出しました。女同士なので、どこをどう刺激すれば感じるかは知っています。だんだんクチャクチャという音がし出して、ネバネバした白っぽい液体が出始めました。二人は愛撫をいっそう強めていきました。
「ああー。い、いくー」
愛子が叫んびました。
「ああー。い、いくー」
京子が叫びました。二人は、
「ああー」
とことさら大きな声を出して全身をガクガクさせました。まるで痙攣したかのようでした。
二人は同時にいきました。京子はガックリと倒れ伏して、ハアハアと荒い呼吸をしました。
「ふふ。早くも二回もいったな」
杜子春がしたり顔で言いました。杜子春は、呆気に取られた顔していました。
「女は男と違って、射精がないから、何度でもいくことが出来るんだ」
杜子春が得意顔で説明しました。
愛子は京子の体の上に倒れ伏し、虚脱したような状態になりました。二人はしばし、ハアハアと荒い呼吸をしていました。
だんだん二人は呼吸が元に戻って落ち着いてきました。
二人は床の上で、グッタリしています。
△
「よし。もうレズショーは勘弁して、終わりにしてやる。服を着ていいぞ」
杜子春が言いました。
「ありがとうございます。杜子春さま」
そう言って京子と愛子の二人は、起き上がりました。そしてパンティーを履き、ブラジャーをつけました。そしてチャイナ・ドレスを着ました。二人は、ほっとした様子です。
杜子春も、椅子から立ち上がって、テーブルの上のブランデーをとろうと身を乗り出しました。
その時です。
姉の京子が、サッと飛び出して、杜子春の魔法の杖を奪ってしまいました。
「ふふふ。これでもう、あなたは、怪しい仙術は使えないわね。これからは、私たちが、この便利な杖を使わせて貰うわよ」
姉の京子は、得意げな口調で言いました。
「お姉さま。よかったわね」
妹の愛子が嬉しそうに言いました。
「よくも、よくも、私達にレズショーなんか、やらせたわね。覚悟は出来ているでしょうね」
姉の京子は、天下をとったかのように凄んで杜子春に言いました。
「お姉さま。杜子春をどうしましょう?」
妹の愛子が姉の京子に目を向けました。
「呂后のやった人豚にしちゃいましょう」
「人豚って何なの?」
「人豚っていうのはね・・・昔ね、劉邦という王がいたの。劉邦には呂后という正妻がいたのだけれど、劉邦は戚夫人という愛人を寵愛して、呂后を愛さなかったの。そのため劉邦が死んで呂后が権力を握ると、呂后は戚夫人に、恐ろしい復讐をしたの」
「どうしたの?」
「呂后は戚夫人の両手両足を切り落とし、目玉をえぐり抜き、鼓膜を破って耳を潰し、声帯をつぶして声も出ないようにしたの。そして便所の中で人豚と呼んで飼ったのよ」
「ふうん。残酷ね。でも杜子春には、ふさわしい罰だわね」
そう言って妹の愛子は、杜子春の方に目を向けました。
杜子春の両横には、巨大な蛇が赤い舌をチョロチョロ出して、薄気味悪く、蜷局を巻いています。
「お姉さま。まず、仙術で、二匹の蛇を消して下さい」
妹の愛子が姉に訴えました。
「わかったわ」
姉の京子は、そう言って、仙人の杖を、蛇に向け、杜子春がやったように、
「蛇よ。消えよ」
と大きな声で一喝しました。しかし、蛇は消えません。
あれっ、と姉の京子は、うろたえて、もう一度、仙人の杖を、蛇に向け、
「蛇よ。消えよ」
と大声で叫びました。しかし、やはり、蛇は消えません。
「ふっふっふっふっ」
杜子春が、不敵な笑みを浮かべて二人を見ました。
杜子春は、右手を突き出して、やっ、と一喝しましまた。するとどうでしょう。京子が持っていた仙人の杖は、京子の手を離れ、宙に浮いて、杜子春の右手に収まりました。
「ふふふ。バカどもめ。この杖は単なる棒きれに過ぎないのだ。いわば仙人のシンボルのように、もっともらしく使っていたのだ。オレは峨眉山で厳しい仙人の修行をしたから、仙術を使えるようになったのだ。仙人になる修行をしていない、お前たちが、この杖を使ったからといって、仙術など使えないのさ。この杖など無くても仙術は使えるし、また、この杖に仙術を使える力など宿っていないのさ」
杜子春は勝ち誇ったように言いました。
「そ、そうだったんですか」
「杜子春さま。ごめんなさい」
二人は、掌を返したように、杜子春にペコペコ謝りました。
「お前たちは、根っからの悪人だな。オレを人豚にしようとは。よし。じゃあ、罰として、お前たちこそ、人豚にしてやる」
杜子春は勝ち誇ったように言いました。
「ええー。そんなー」
二人は真っ青になりました。
「杜子春さま。ごめんなさい」
「杜子春さま。申し訳ありませんでした」
京子と愛子は、すぐにしゃがみ込んで土下座して、頭を床に擦りつけて、何度もペコペコと頭を下げて、泣きじゃくりながら謝りました。
「まったく。仕方ねーヤツラだな。まあ、オレは、お前らみたいに、残酷なことは出来ない性分だからな。人豚は、勘弁してやるよ」
杜子春は、やれやれ、といった様子で言いました。
「あ、有難うございます。杜子春さま」
「御恩は一生、忘れません」
京子と愛子は、ペコペコ頭を下げて謝りました。
さてと、と言って杜子春は、両脇の二匹の蛇を見ました。
「お前たちが、怖がるからな。蛇は消してやるよ」
そう言って、杜子春は、仙人の杖を、二匹の蛇に向け、
「蛇よ。消えよ」
と一喝しました。すると二匹の蛇は、霧の如く、パッと消えてなくなりました。
「あ、有難うございます。杜子春さま」
「御恩は一生、忘れません」
姉妹は杜子春にペコペコ頭を下げました。
△
「さてと、オレも眠くなってきたな。今日はここで寝させてもらうぞ。元々、この家は、オレがお前たちにやった金で建ったものだからな」
杜子春か姉妹を見て言いました。
「はい。ごゆるりとお休み下さい。杜子春さま」
姉妹は、ひれ伏して答えました。
「さて。お前たちの、今後の処分についてだが・・・。オレは仙人に、泰山の南の麓に一軒の家を貰ったんだ。桃の農園だ。お前たちは、そこへ行って貧しくても正直に暮らせ。今日はもう遅いから明日、出発しろ」
「はい。わかりました。杜子春さま」
京子が恭しく言いました。
「殺そうとまでしようとしたのに、家まで頂けるなんて、そんな寛大な処分で、有難うございます」
愛子も恭しく言いました。
「愛子。これからは、その泰山の麓の家で正直に過ごしましょう」
姉の京子が、諭すように妹の愛子に言いました。
「はい。お姉さま」
愛子も素直に応じました。
△
「お前たちも疲れただろう。寝ろ」
杜子春が言いました。
「はい。杜子春さま」
姉妹は立ち上がって寝室に向かいました。杜子春は、その後に着いて行きました。寝室には、京子と愛子の二つのベッドがありました。
二人は、それぞれのベッドに向かいました。蛇にからまれたり、レズショーをさせられたりと、心身共に疲れ切っているのでしょう。二人とも、どっと、ベッドに身を投げたしました。
杜子春は、手錠を取り出して、京子の両手首をそれぞれ、ベッドの鉄柵につなぎとめました。
「あっ。杜子春さま。何をなさるんですか?」
「すまないな。出来ることなら、こんなことはしたくないんだが。オレは、お前らを信じ切ることは出来ないんだ。オレが寝ている間に、寝首をかかれては困るからな。ちょっと、不自由だろうが、我慢してくれ」
杜子春は、そう京子に説明しました。
「わかりました。杜子春さま」
京子をベッドにつなぎとめると、杜子春は次に、愛子もベッドにつなぎとめました。
「おしっこがしたくなったら、大声でオレを呼べ。手錠をはずしてやるから」
「有難うございます。杜子春さま」
「今日は、蛇で虐めたり、レズショーをさせたりして、すまなかったな。ゆっくり休め」
そう言って杜子春は、京子と愛子に布団をかけてやりました。
「おやすみ」
「お休みなさい。杜子春さま」
杜子春は、客室用の部屋にもどると、どっとベッドに身を投げ出しました。厳しい仙術の修行をしたり、姉妹と戦ったりと、杜子春も、クタクタに疲れていました。なので、杜子春も、すぐにグーガーと大鼾をかいて、深い眠りに落ちました。
△
翌日になりました。
杜子春は目を覚ますと、急いで、姉妹の寝室に行きました。二人は、クーカーと小さな寝息をたてて眠っています。杜子春は、台所に行って、朝食を三人分、用意しました。そしてまた、姉妹の寝室に行きました。
「あっ。杜子春さま。おはようございます」
目を覚ました京子と愛子が杜子春に挨拶しました。
「おはよう」
杜子春も挨拶して、京子と愛子の手錠をはずしました。
「おい。朝食を作ったぞ。三人で食べよう」
「有難うございます。杜子春さま」
三人は、大理石の食卓に着きました。
「杜子春さま。食事を用意して下さって有難うございます」
「いや。たいした物じゃないよ」
食卓には、厚切りトーストとスクランブルエッグとツナサラダと紅茶が乗っています。
「いただきます」
と言って京子と愛子、そして杜子春は朝食を食べ始めました。
「美味しいわ。杜子春さまは料理が上手なんですね」
二人はムシャムシャと杜子春の作った朝食を食べました。
食事が終わりました。
「よし。じゃあ、お前たちは、泰山の麓の家に行け。お前たちの荷物は、オレがまとめてクロネコヤマトで送ってやる」
「あ、あの。杜子春さま」
「何だ?」
「杜子春さま。昨日、妹と二人で話し合ったんですが。私達を杜子春さまの召し使いとして、ここに住まわせて貰えないでしょうか。いいえ。召し使いでなく、奴隷でも構いません」
京子は切実な口調で訴えました。
「どうして、そういう心境になったのだ?」
杜子春は、京子をじっと見ながら聞きました。
「杜子春さまは、人の心、人の道を教えて下さいました。私たちは杜子春さまを尊敬しています。どうか、お側において頂けないでしょうか」
杜子春は、うーん、と腕組みをして考え込みました。
「杜子春さま。杜子春さまは、私達が信じられないのですね。無理もありません。私たちは、杜子春さまを、何度も卑劣に騙しましたから・・・」
杜子春は眉間に皺を寄せて、黙っています。
京子はテーブルに乗っていた、ナイフをサッとつかみました。
「何をするんだ?」
杜子春が驚いて京子に聞きました。
「杜子春さま。私達の忠誠のしるしとして、私は小指を切ります」
そう言うや否や、京子は、日本のヤクザのオトシマエのように、小指を一本、伸ばしたまま、えいっ、と掛け声をかけて、ナイフを力一杯、小指めがけて振り下ろしました。
「ばか。やめろっ」
杜子春は、咄嗟に大声で注意しました。しかし、もう間に合いませんでした。
京子の小指は、千切れて、床に落ちました。京子の小指の根元からは、赤い血が噴き出しました。
「い、痛い。痛い」
京子は、苦痛に顔を歪めながら、叫びました。
「お姉さま」
妹の愛子が、すぐに駆け寄って、ハンカチを千切って、血の出ている京子の小指の根元を、結紮しました。
「杜子春さま。これで信じて頂けないでしょうか?」
京子が、目に涙を浮かべ憐みを乞う瞳を杜子春に向けました。
杜子春は、おもむろに、立ち上がると、杖を京子の方へ向け、やっ、と一喝しました。すると、どうでしょう。床に転がっていた、京子の千切れた小指が、すーと浮かんで、京子の小指の根元にピタリと、くっつきました。
「お姉さま。大丈夫?」
「ええ。痛くないわ。元通りにくっついたわ」
「杜子春さま。有難うございました」
「京子。お前は、自分の指を切ってもオレが仙術で治すだろうと思っていたのだろう」
「は、はい。優しい杜子春さまのことですから、きっと、仙術で治して下さるのではないだろうか、と思っていました」
「わかった。お前の忠誠の気持ちが本当であることを。小指を切るのは、物凄く痛かっただろう、し、物凄く、勇気が要っただろう。オレが仙術で治す、という保証は無いのにな。オレはお前たちを信じた。これからは三人で仲良く、ここで暮らそう」
「有難うございます。杜子春さま」
こうして三人は、杜子春を主人として、この家で過ごすことになりました。
姉の京子が杜子春の第一夫人となり、妹の愛子か第二夫人となりました。
杜子春が仙術を使えるようになった、という噂は、瞬く間に洛陽中に知れ渡りました。
△
その頃、中国では、東の北京で、習近平という悪党が独裁政治をしてのさばっていました。
習近平は、徹底した武力によって、個人の思想、言論、集会、結社の自由を認めず、政府を批判する者は、捕まえて、天安門広場の前で公開処刑していました。政府批判の本は検閲されて出版できず、新聞やテレビなどは、体制維持のためのウソの報道しかしません。そして政界と財界の癒着、公務員の汚職が、至る所ではびこっていました。民衆は、政府の、この横暴な独裁政治に内心、怒り狂っていました。そこで、したたかな習近平は、怒りの矛先が政府にではなく、日本に向かうよう、徹底した反日教育を教師にするよう命じていました。確かに、日本は、日清戦争、日露戦争、第一次世界大戦における、21ヶ条の要求による中国権益の獲得、満州国の設立、張作霖爆殺、満州事変、日中戦争における南京大虐殺など、中国を侵略してきました。しかし、南京大虐殺の死者の数を20万人から、40万人に水増ししたり、日本政府の閣僚の靖国神社参拝は、日本が、行った戦争を正当化するためである、などとか、尖閣諸島は、中国の領土なのに、日本が、自国の領土などと言い張っている、などと、ウソも交え、初等教育から、憎しみを込めて、反日洗脳教育を行っているのです。そのくせ、日本政府の出している多額のODAについては、一切述べません。ですから、中国人は、子供の頃から、日本は悪い国だと教えられて、洗脳されてしまっています。しかし、その本当の目的は、共産党の一党独裁政治に民衆が気づいて、体制を批判することを、恐れているからです。そこで、真に憎むべきは、日本であると、怒りの矛先を日本に向けさせて体制を維持させているのです。しかし市場経済の導入や、パソコンやツイッターや携帯電話などによって、だんだん中国国民も、目が開けてきました。国営の新幹線で事故が起こって多数の死者が出ても、政府は、説明責任も果たしませんし、遺族への補償もなく、また企業の排出する有毒物質による水質汚染で、魚が大量に死んで、漁師たちが困って国に訴えても、企業と癒着している中央政府は、お茶を濁すいい加減な答弁しかしません。
国民は独裁政治をしている政府、習近平に対して、憎しみを持つようになりました。
このままでは、国民による打倒政府の流血革命の勃発が起こるのは時間の問題だと、杜子春は危惧しました。
△
その日は国慶節でした。政府に不満を持った改革派の者達が、密かにツイッターで連絡を取り合っていたのでしょう。中国各地で、とうとう一斉に革命が起こり、反体制派は警察署を襲い出しました。
杜子春は、急いで、ツイッターで、こう流しました。
「愛する全国の国民よ。私は杜子春という仙人だ。武力革命は、いけない。今から、私が習近平と政府首脳を捕まえる。それまで待て」
すると、
「わかりました。杜子春さま」
という返事が、全国からやってきました。
杜子春は、ほっとしました。
杜子春は青竹に乗って、ひとっ跳びに、習近平の豪邸に向かいました。
習近平の屋敷には、武装した警察官や兵士たちが、わんさと杜子春を待ち構えていました。
「撃て。撃ち落とせ」
習近平は、狂ったように叫びました。
ズガガガガー。
警官や軍の兵士達は、一斉に杜子春めがけて発砲しました。しかし、弾は、全部、途中で落っこちてしまいます。杜子春は、仙人の杖で、
「不動、金縛りの術」
と一喝しました。すると、護衛の警官や兵士達は、ピタッと止まって動けなくなりました。
杜子春は、習近平の屋敷に入りました。
奥の部屋に、習近平が、オドオドしています。
「さあ。オレは仙術を使えるから、何でも出来るぞ。降伏すれば命の保証はする。嫌なら殺すぞ。お前は、どっちを選択する?」
杜子春はそう言って習近平に詰め寄りました。
「わ、わかった。私の負けだ。降参する。命だけは助けてくれ」
そう習近平は言いました。
杜子春は、習近平および政府首脳の人間を集め、中国の宇宙ステーション天宮三号に乗り込ませました。
「そんなに、独裁政治がしたいなら、てめえらだけで勝手に、火星人か金星人、相手に宇宙でやってろ」
そう言って杜子春は、天宮三号の打ち上げの用意をしました。
「あれー。杜子春さま。そんなことは、ゆるして下さい」
習近平たちは、叫びましたが、杜子春は、無視して、天宮三号の発射ボタンを押しました。天宮三号は、みるみる内に、物凄い勢いで、天空へ飛んで行きました。操縦士もいませんし、彼らは、宇宙飛行士としての訓練もしていませんので、おそらく地球には戻ってこれないでしょう。
杜子春は、青竹に乗って、急いで、中国の国営テレビ局に、行きました。
「愛する中国の全国民よ。今、習近平と、共産党首脳陣たちは、天宮三号に乗せて、宇宙に飛ばした。もう戻って来れないだろう。これからは、この国を独裁国家ではなく、民主主義国家にしようではないか。それと、軍と警察に告げる。オレは仙術を使えるから、お前たちには勝ち目はないぞ。オレが仙術を使えば、戦艦も戦車も戦闘機も、一瞬でぶっ壊すことが出来るぞ。命が惜しければ無駄な抵抗はするな」
と全国に放送しました。
軍も警察も、仙人が相手では、勝ち目がないと、判断して諦めたのでしょう。抵抗する者はいませんでした。
杜子春のもとには、全国から、「杜子春さま。万歳」というツイッターがネットで届きました。
天安門広場や全国各地で、「杜子春さま。万歳」と全中国国民が叫びました。
△
杜子春は、国民の総意によって、大統領に選ばれました。
ここに至って、64年間、続いた共産主義国家、中華人民共和国はついに倒れ、民主主義国家、中華人民杜子春共和国として、あらたに生まれ変わりました。
杜子春は、主権在民。議会制民主主義。地方分権。三権分立。平和主義。思想、信教の自由、基本的人権の尊重、などを柱とした憲法を制定しました。そして、刑務所で服役していた政治犯を釈放し、歪んだ歴史教科書を廃棄し、事実に基づいた、誇張や偽りのない歴史教科書を有識者に作らせませた。
日本も、ギクシャクした日中関係が、終焉したことを喜びました。
日本から、総理大臣が、新たになった中華人民杜子春共和国に訪中しました。
杜子春は、日本の総理大臣を快く迎え、尖閣諸島は日本の領土であること、北朝鮮に対し今後、いっさいの経済支援を行わないこと、などを約束しました。
こうして杜子春のおかげで、中国は、平和な民主主義的国家へと生まれ変わり、末永く繁栄しました。
平成25年6月26日(水)
しばしの時間が経ちました。
「おい。抱き合っているだけではレズショーじゃないだろう。キスするんだ」
杜子春が、苛立たしげな口調で言いました。
「さ、さあ。愛子。キスしましょう」
「で、でも。お姉さま」
「愛子。わがまま、言わないで。杜子春さまの命令には逆らえないわ」
姉の京子がたしなめました。
姉の京子は、ためらっている妹の愛子の唇に自分の唇を近づけていきました。愛子は、咄嗟に目をつぶりました。
姉は妹の唇に自分の唇を触れ合わせました。その瞬間、妹の体がビクッと震えました。姉は妹が逃げないように両手で妹の頭をしっかり掴みましだ。そして姉も目をつぶりました。二人の姉妹は唇を触れ合わせました。
しばしの時間、キスしていた二人は、唇を離しました。
愛子は、サッと頭を後ろに引きました。二人の顔と顔が向き合いました。二人は目と目が合うと、恥じらいから、すぐに視線を相手からサッとそらしました。しかし、二人の顔は激しく紅潮していました。
「ああっ。お姉さま。わ、私。頭がおかしくなってしまいそうです」
「愛子。わがまま言わないで。私を他人だと思って」
「で、でも・・・」
「愛子。どのみち避けられないのよ。もう、とことん、おかしくなりましょう」
「・・・わ、わかったわ」
そう言って二人は、また唇を重ね合わせました。しばしの時間、二人は唇を触れ合わせたままでじっとしていました。
「おい。そんな形だけ口をつけているだけじゃ駄目だ。ディープキスしろ。舌を絡め合って、唾液を吸いあうんだ」
杜子春が、怒鳴るように言いました。
「は、はい」
姉が言いました。
「あ、愛子。中途半端な気持ちでいると、かえって辛いわ。いっそのこと、開き直って、行き着くとこまで行きましょう」
姉はそう言って、再び、妹の唇に自分の唇を触れ合わせました。姉の喉仏がヒクヒク動き始めました。京子が妹の唾液を貪るように吸っているのです。
しばしして、愛子が、京子から顔を離して、プハーと大きく呼吸しました。
「ああっ。お姉さま。わ、私。頭がおかしくなってしまいそうです」
愛子はハアハア喘ぎながら言いました。
「愛子。どのみち避けられないのよ。もう、とことん、おかしくなりましょう」
姉がたしなめました。
「よし。今度は乳首の擦りっこをしろ」
杜子春がニヤリと笑いながら命令的な口調で言いました。
「愛子。乳首の擦りっこをしましょう」
京子は声を震わせながら言いました。
京子は、そっと胸を近づけた。京子と愛子の二人の乳首が触れ合いました。
「ああっ」
愛子が苦しげに眉根を寄せて叫びましだ。
「どうしたの」
京子が聞きました。
「か、感じちゃうの」
愛子が顔を紅潮させて、小さな声で言いました。
「我慢して」
そう言って京子は愛子の肩をつかみながら、二人の乳首を擦り合わせました。二人の乳首は、まるで、じゃれあう動物のように、弾き合ったり、押し合ったりしました。だんだん二人の乳首が大きく尖り出しました。二人はハアハアと呼吸が荒くなってきました。
「お、お姉さま。わ、私、何だか変な気持ちになってきちゃった。な、何だか凄く気持ちが良くなってきちゃったわ」
愛子が虚ろな目つきでハアハアと息を荒くしながら言いました。
「わ、私もよ。愛子」
京子が言いました。二人は、体を揺らしながら、しばらく、もどかしげに乳首を擦り合わせていました。
「ふふ。二人とも心境が変わってきたようだな」
杜子春が、得意げな顔で、したり気な口調で言いました。
「愛子。今度は乳房を擦り合わせましょう」
京子が言いました。
「ええ」
愛子は逆らわずに肯きました。二人は乳房を擦り合わせました。二人は乳房を押しつけたり、擦り合ったりさせました。まるで、お互いの乳房が相手の乳房を揉み合っているようでした。時々、乳首が触れ合うと、二人は、
「ああっ」
と苦しげに喘ぎました。
愛子と京子の二人の顔は目と鼻の先です。 二人の目と目が合いました。暗黙の了解を二人は感じとりました。二人は、そっと顔を近づけていきました。二人の乳房はピッタリと密着して、平べったく押し潰されました。二人は、お互いに唇を近づけていきました。二人の唇が触れ合うと、二人は無我夢中でお互いの口を貪り合いました。京子は、両手を愛子の背中に回して、ガッチリと愛子を抱きしめています。しばしして、二人は唇を離して、ハアハアと大きく深呼吸しました。二人は恥じらいがちにお互いの顔を見つめ合いました。
「ああっ。お姉さま。感じるー」
愛子が言いました。
「愛子。私もよ」
京子が言いました。二人は再び、尖って大きくなった乳首を擦り合わせ出しました。二人は、これでもか、これでもかと、さかんに乳房を押しつけ合いました。そして、唇をピッタリと合わせてお互いの口を貪り合いました。
「ああー。感じちゃう」
愛子が大声で叫びました。
「私もよ。愛子」
京子も大声で叫びました。超えてはならない禁断の一線を越えた二人はもう一心同体でした。
「ふふふ。おい。京子。愛子。胸だけじゃなく、アソコもお互い愛撫しあいな。女同士なら、どこが感じやすいか、男よりよく知っているだろう」
杜子春が、したり気な口調で言いました。
「わ、わかりました。杜子春さま」
京子は杜子春の方を向いてそう言いました。そして、すぐに愛子に目をもどしました。
「愛子。もっと気持ちよくしてあげてるわ」
京子が言いました。
京子は、愛子のアソコを、触り出しました。
「ああっ」
愛子は、反射的に、腰を引きました。
「愛子。ダメ。腰を引いちゃ」
京子は、叱るように言って愛子の腰をグイと自分の方に引き寄せました。
しかし愛子は足をピッタリと閉じ合せています。
「愛子。もっと足を開いて」
京子が言いました。
「はい。お姉さま」
言われて愛子は、素直に閉じていた足を開きました。
京子は愛子の女の穴に中指を入れました。愛子のアソコは、もう、じっとりと濡れていたので、指はスルっと入りました。京子は、ゆっくりと、愛子の女の穴に入れた中指を動かし出しました。
「ああー」
愛子が眉根を寄せて大きく喘いだ。愛子のアソコがクチャクチャ音を立て出しました。白い粘っこい液体が出始めました。
「ああー」
愛子は体をプルプル震わせて叫びました。
「あ、愛子。私のアソコも触って」
京子が言いました。
「わ、わかったわ」
愛子がハアハアと喘ぎながら答えました。
愛子はハアハアと苦しそうに喘ぎながら、自分も右手を下に降ろし、正面の京子のアソコに手を当てて、しばしアソコの肉を揉んだり撫でたりしました。そして中指を京子の女の穴に入れて、ゆっくり動かし出しました。
「ああー」
京子もプルプル体を震わせて、喘ぎ声を出しました。
京子のアソコもクチャクチャと音を立て出しました。京子のアソコからも白濁液が出てきました。
京子は、一心に愛子のアソコに入れた指を動かしています。
「あ、愛子。もっと激しくやって」
京子が言いました。
「ええ。わかったわ」
愛子は、指の蠕動を速めていきました。
「ああー」
二人は、指責めの辛さのやりきれなさを相手にぶつけるように、お互いの女の穴に入れた指の蠕動を、一層、速めていきました。愛子と京子は、抱き合って、乳房を押しつけながら、お互いの口を激しく吸い合いました。
「ああー。いくー」
ついに愛子が叫びました。
「ああー。いくー」
京子も叫びました。二人は、
「ああー」
とことさら大きな声を出して全身をガクガクさせました。まるで痙攣したかのようでした。二人は同時にいきました。二人は、ペタンと床に座り込んで、しばしハアハアと荒い呼吸をしました。
「ふふふ。お前たち。姉妹の絆が強まって嬉しいだろう」
杜子春は、煙草を吹かしながら、そんな嫌味な皮肉を言いました。
「ふふ。今度は69をするんだ」
杜子春がしたり顔で言いました。
「ええー」
二人は顔を見合わせて真っ赤になりました。だが、妖術を使える杜子春に、目の前に、居据わられているので逃げることは出来ません。しかもレズショーをやると杜子春と約束したのです。それにもう二人は他人ではありません。血のつながった姉妹でありながら、禁断の一線を越えてしまったのです。
「あ、愛子。あ、諦めてやりましょう」
京子が言いました。
「そ、そうね。京子おねえさま」
愛子が相槌を打ちました。
「じゃ、じゃあ、私が下になるわ」
京子はそう言って、床の上に仰向けに寝ました。
「さ、さあ。愛子。四つん這いになって私の上を跨いで」
京子が言いました。
「わ、わかったわ」
そう言って愛子は京子と反対向きに四つん這いになって京子の上に跨りました。
愛子の顔のすぐ下には、京子のアソコが触れんばかりにあります。一方、京子の顔の真上には、京子の、アソコが触れんばかりにあります。
「ああー」
二人は、耐えられない恥ずかしさに思わず、声をあげました。
杜子春は満悦至極といった様子で二人を見つめています。四つん這いの愛子は、尻の穴までポッカリ杜子春に晒しています。
「ふふふ。愛子。尻の穴が丸見えだぜ」
杜子春が揶揄すると、愛子は顔を真っ赤にして、
「ああー」
と叫びました。愛子が、必死で尻の穴を窄めようとしたので尻の穴がヒクヒクと動きました。
「さあ。69でレズショーを始めな」
杜子春が命令しました。
「あ、愛子。仕方がないわ。やり合いましょう」
京子が言いました。
「そ、そうね」
愛子が相槌を打ちました。
「あ、愛子。もう、こうなったら、中途半端じゃなく、何もかも忘れて、徹底的にやりあいましょう。中途半端な気持ちでいると、かえって辛いわ。いっそのこと、開き直って、行き着くとこまで行きましょう」
京子が言いました。
「そ、そうね。私達、もう禁断の一線を越えてしまったんだから」
愛子が言いました。
京子は膝を立てて足を開いています。
「京子。すごく形のいい太腿ね。私、いつも、うらやましく思ってたの」
そう言って愛子は、京子の太腿のあちこちに接吻しました。
「ああっ」
愛子にアソコをキスされて、恥ずかしいやら、気持ちいいやらで、京子は喘ぎ声を出しました。京子も手を伸ばして愛子の尻を優しく撫でました。京子の方が下なので、寝たままで両手を自由に使えます。京子は車体の下から上を見上げながら車の底を修理する自動車修理工のような体勢で、愛子の股間を色々と、弄くりました。アソコの肉をつまんだり、大きな柔らかい愛子の尻に指先を軽やかに這わせたり、ただでさえ開いている尻の割れ目をことさらグイと開いたり、尻の割れ目をすーと指でなぞったりしました。尻の割れ目をなぞられた時、愛子は、
「あっ」
と叫んで、反射的に尻の穴をキュッと窄めようとしました。
「どうしたの。愛子」
京子が聞きました。
「そ、そうやられると、感じちゃうの」
愛子が言いました。
「愛子の一番の性感帯は、肛門なのね」
京子が言いました。
「違うわよ。そんな所、触られたの生まれて初めてだもの。誰だって感じちゃうわ」
京子は、ふふふ、と笑いました。まるで相手の弱点を知って得意になっているようでした。京子は、愛子の大きな尻を軽やかな手つきで、指を這わせました。そして、時々、すーと尻の割れ目を指でなぞりました。
「ああー」
愛子は尻の割れ目をなぞられる度に悲鳴を上げました。京子は、ふふふ、と悪戯っぽく笑いました。
「京子おねえさま。わ、私も遠慮しないわよ」
愛子はそう言って、京子の女の割れ目に舌を入れて舐め出しました。
「ああっ。愛子。やめて。そんなこと」
京子は、激しく首を振って言いました。だが、愛子は京子の言うことなど聞かず、唇で小陰唇やクリトリスをペロペロ舐めました。京子は、
「ああー」
と羞恥の声を上げました。愛子は四つん這いで膝を立てていて、京子は寝ているため、口が愛子のアソコにとどきません。だが手は自由に動かせます。京子は愛子の小陰唇を開いて、右手の中指を入れました。
「ああっ」
と愛子が声を出しました。京子はゆっくり指を動かし出しました。
「ああっ」
愛子が苦しげな声を出しました。愛子のアソコはすでに濡れていて、指はヌルリと容易に入りました。京子は、穴に入れた指をゆっくり動かしながら、左手で、愛子の尻の割れ目をすーとなぞりました。
「ああー」
敏感な所を二箇所、同時に京子に責められて、愛子は、眉を寄せて苦しげな喘ぎ声を出しました。愛子も負けてなるものかと、中指を京子の女の穴に入れ、ゆっくりと動かし出しました。
「ああー」
京子も眉を寄せ、苦しげな喘ぎ声を出しました。女同士なので、どこをどう刺激すれば感じるかは知っています。だんだんクチャクチャという音がし出して、ネバネバした白っぽい液体が出始めました。二人は愛撫をいっそう強めていきました。
「ああー。い、いくー」
愛子が叫んびました。
「ああー。い、いくー」
京子が叫びました。二人は、
「ああー」
とことさら大きな声を出して全身をガクガクさせました。まるで痙攣したかのようでした。
二人は同時にいきました。京子はガックリと倒れ伏して、ハアハアと荒い呼吸をしました。
「ふふ。早くも二回もいったな」
杜子春がしたり顔で言いました。杜子春は、呆気に取られた顔していました。
「女は男と違って、射精がないから、何度でもいくことが出来るんだ」
杜子春が得意顔で説明しました。
愛子は京子の体の上に倒れ伏し、虚脱したような状態になりました。二人はしばし、ハアハアと荒い呼吸をしていました。
だんだん二人は呼吸が元に戻って落ち着いてきました。
二人は床の上で、グッタリしています。
△
「よし。もうレズショーは勘弁して、終わりにしてやる。服を着ていいぞ」
杜子春が言いました。
「ありがとうございます。杜子春さま」
そう言って京子と愛子の二人は、起き上がりました。そしてパンティーを履き、ブラジャーをつけました。そしてチャイナ・ドレスを着ました。二人は、ほっとした様子です。
杜子春も、椅子から立ち上がって、テーブルの上のブランデーをとろうと身を乗り出しました。
その時です。
姉の京子が、サッと飛び出して、杜子春の魔法の杖を奪ってしまいました。
「ふふふ。これでもう、あなたは、怪しい仙術は使えないわね。これからは、私たちが、この便利な杖を使わせて貰うわよ」
姉の京子は、得意げな口調で言いました。
「お姉さま。よかったわね」
妹の愛子が嬉しそうに言いました。
「よくも、よくも、私達にレズショーなんか、やらせたわね。覚悟は出来ているでしょうね」
姉の京子は、天下をとったかのように凄んで杜子春に言いました。
「お姉さま。杜子春をどうしましょう?」
妹の愛子が姉の京子に目を向けました。
「呂后のやった人豚にしちゃいましょう」
「人豚って何なの?」
「人豚っていうのはね・・・昔ね、劉邦という王がいたの。劉邦には呂后という正妻がいたのだけれど、劉邦は戚夫人という愛人を寵愛して、呂后を愛さなかったの。そのため劉邦が死んで呂后が権力を握ると、呂后は戚夫人に、恐ろしい復讐をしたの」
「どうしたの?」
「呂后は戚夫人の両手両足を切り落とし、目玉をえぐり抜き、鼓膜を破って耳を潰し、声帯をつぶして声も出ないようにしたの。そして便所の中で人豚と呼んで飼ったのよ」
「ふうん。残酷ね。でも杜子春には、ふさわしい罰だわね」
そう言って妹の愛子は、杜子春の方に目を向けました。
杜子春の両横には、巨大な蛇が赤い舌をチョロチョロ出して、薄気味悪く、蜷局を巻いています。
「お姉さま。まず、仙術で、二匹の蛇を消して下さい」
妹の愛子が姉に訴えました。
「わかったわ」
姉の京子は、そう言って、仙人の杖を、蛇に向け、杜子春がやったように、
「蛇よ。消えよ」
と大きな声で一喝しました。しかし、蛇は消えません。
あれっ、と姉の京子は、うろたえて、もう一度、仙人の杖を、蛇に向け、
「蛇よ。消えよ」
と大声で叫びました。しかし、やはり、蛇は消えません。
「ふっふっふっふっ」
杜子春が、不敵な笑みを浮かべて二人を見ました。
杜子春は、右手を突き出して、やっ、と一喝しましまた。するとどうでしょう。京子が持っていた仙人の杖は、京子の手を離れ、宙に浮いて、杜子春の右手に収まりました。
「ふふふ。バカどもめ。この杖は単なる棒きれに過ぎないのだ。いわば仙人のシンボルのように、もっともらしく使っていたのだ。オレは峨眉山で厳しい仙人の修行をしたから、仙術を使えるようになったのだ。仙人になる修行をしていない、お前たちが、この杖を使ったからといって、仙術など使えないのさ。この杖など無くても仙術は使えるし、また、この杖に仙術を使える力など宿っていないのさ」
杜子春は勝ち誇ったように言いました。
「そ、そうだったんですか」
「杜子春さま。ごめんなさい」
二人は、掌を返したように、杜子春にペコペコ謝りました。
「お前たちは、根っからの悪人だな。オレを人豚にしようとは。よし。じゃあ、罰として、お前たちこそ、人豚にしてやる」
杜子春は勝ち誇ったように言いました。
「ええー。そんなー」
二人は真っ青になりました。
「杜子春さま。ごめんなさい」
「杜子春さま。申し訳ありませんでした」
京子と愛子は、すぐにしゃがみ込んで土下座して、頭を床に擦りつけて、何度もペコペコと頭を下げて、泣きじゃくりながら謝りました。
「まったく。仕方ねーヤツラだな。まあ、オレは、お前らみたいに、残酷なことは出来ない性分だからな。人豚は、勘弁してやるよ」
杜子春は、やれやれ、といった様子で言いました。
「あ、有難うございます。杜子春さま」
「御恩は一生、忘れません」
京子と愛子は、ペコペコ頭を下げて謝りました。
さてと、と言って杜子春は、両脇の二匹の蛇を見ました。
「お前たちが、怖がるからな。蛇は消してやるよ」
そう言って、杜子春は、仙人の杖を、二匹の蛇に向け、
「蛇よ。消えよ」
と一喝しました。すると二匹の蛇は、霧の如く、パッと消えてなくなりました。
「あ、有難うございます。杜子春さま」
「御恩は一生、忘れません」
姉妹は杜子春にペコペコ頭を下げました。
△
「さてと、オレも眠くなってきたな。今日はここで寝させてもらうぞ。元々、この家は、オレがお前たちにやった金で建ったものだからな」
杜子春か姉妹を見て言いました。
「はい。ごゆるりとお休み下さい。杜子春さま」
姉妹は、ひれ伏して答えました。
「さて。お前たちの、今後の処分についてだが・・・。オレは仙人に、泰山の南の麓に一軒の家を貰ったんだ。桃の農園だ。お前たちは、そこへ行って貧しくても正直に暮らせ。今日はもう遅いから明日、出発しろ」
「はい。わかりました。杜子春さま」
京子が恭しく言いました。
「殺そうとまでしようとしたのに、家まで頂けるなんて、そんな寛大な処分で、有難うございます」
愛子も恭しく言いました。
「愛子。これからは、その泰山の麓の家で正直に過ごしましょう」
姉の京子が、諭すように妹の愛子に言いました。
「はい。お姉さま」
愛子も素直に応じました。
△
「お前たちも疲れただろう。寝ろ」
杜子春が言いました。
「はい。杜子春さま」
姉妹は立ち上がって寝室に向かいました。杜子春は、その後に着いて行きました。寝室には、京子と愛子の二つのベッドがありました。
二人は、それぞれのベッドに向かいました。蛇にからまれたり、レズショーをさせられたりと、心身共に疲れ切っているのでしょう。二人とも、どっと、ベッドに身を投げたしました。
杜子春は、手錠を取り出して、京子の両手首をそれぞれ、ベッドの鉄柵につなぎとめました。
「あっ。杜子春さま。何をなさるんですか?」
「すまないな。出来ることなら、こんなことはしたくないんだが。オレは、お前らを信じ切ることは出来ないんだ。オレが寝ている間に、寝首をかかれては困るからな。ちょっと、不自由だろうが、我慢してくれ」
杜子春は、そう京子に説明しました。
「わかりました。杜子春さま」
京子をベッドにつなぎとめると、杜子春は次に、愛子もベッドにつなぎとめました。
「おしっこがしたくなったら、大声でオレを呼べ。手錠をはずしてやるから」
「有難うございます。杜子春さま」
「今日は、蛇で虐めたり、レズショーをさせたりして、すまなかったな。ゆっくり休め」
そう言って杜子春は、京子と愛子に布団をかけてやりました。
「おやすみ」
「お休みなさい。杜子春さま」
杜子春は、客室用の部屋にもどると、どっとベッドに身を投げ出しました。厳しい仙術の修行をしたり、姉妹と戦ったりと、杜子春も、クタクタに疲れていました。なので、杜子春も、すぐにグーガーと大鼾をかいて、深い眠りに落ちました。
△
翌日になりました。
杜子春は目を覚ますと、急いで、姉妹の寝室に行きました。二人は、クーカーと小さな寝息をたてて眠っています。杜子春は、台所に行って、朝食を三人分、用意しました。そしてまた、姉妹の寝室に行きました。
「あっ。杜子春さま。おはようございます」
目を覚ました京子と愛子が杜子春に挨拶しました。
「おはよう」
杜子春も挨拶して、京子と愛子の手錠をはずしました。
「おい。朝食を作ったぞ。三人で食べよう」
「有難うございます。杜子春さま」
三人は、大理石の食卓に着きました。
「杜子春さま。食事を用意して下さって有難うございます」
「いや。たいした物じゃないよ」
食卓には、厚切りトーストとスクランブルエッグとツナサラダと紅茶が乗っています。
「いただきます」
と言って京子と愛子、そして杜子春は朝食を食べ始めました。
「美味しいわ。杜子春さまは料理が上手なんですね」
二人はムシャムシャと杜子春の作った朝食を食べました。
食事が終わりました。
「よし。じゃあ、お前たちは、泰山の麓の家に行け。お前たちの荷物は、オレがまとめてクロネコヤマトで送ってやる」
「あ、あの。杜子春さま」
「何だ?」
「杜子春さま。昨日、妹と二人で話し合ったんですが。私達を杜子春さまの召し使いとして、ここに住まわせて貰えないでしょうか。いいえ。召し使いでなく、奴隷でも構いません」
京子は切実な口調で訴えました。
「どうして、そういう心境になったのだ?」
杜子春は、京子をじっと見ながら聞きました。
「杜子春さまは、人の心、人の道を教えて下さいました。私たちは杜子春さまを尊敬しています。どうか、お側において頂けないでしょうか」
杜子春は、うーん、と腕組みをして考え込みました。
「杜子春さま。杜子春さまは、私達が信じられないのですね。無理もありません。私たちは、杜子春さまを、何度も卑劣に騙しましたから・・・」
杜子春は眉間に皺を寄せて、黙っています。
京子はテーブルに乗っていた、ナイフをサッとつかみました。
「何をするんだ?」
杜子春が驚いて京子に聞きました。
「杜子春さま。私達の忠誠のしるしとして、私は小指を切ります」
そう言うや否や、京子は、日本のヤクザのオトシマエのように、小指を一本、伸ばしたまま、えいっ、と掛け声をかけて、ナイフを力一杯、小指めがけて振り下ろしました。
「ばか。やめろっ」
杜子春は、咄嗟に大声で注意しました。しかし、もう間に合いませんでした。
京子の小指は、千切れて、床に落ちました。京子の小指の根元からは、赤い血が噴き出しました。
「い、痛い。痛い」
京子は、苦痛に顔を歪めながら、叫びました。
「お姉さま」
妹の愛子が、すぐに駆け寄って、ハンカチを千切って、血の出ている京子の小指の根元を、結紮しました。
「杜子春さま。これで信じて頂けないでしょうか?」
京子が、目に涙を浮かべ憐みを乞う瞳を杜子春に向けました。
杜子春は、おもむろに、立ち上がると、杖を京子の方へ向け、やっ、と一喝しました。すると、どうでしょう。床に転がっていた、京子の千切れた小指が、すーと浮かんで、京子の小指の根元にピタリと、くっつきました。
「お姉さま。大丈夫?」
「ええ。痛くないわ。元通りにくっついたわ」
「杜子春さま。有難うございました」
「京子。お前は、自分の指を切ってもオレが仙術で治すだろうと思っていたのだろう」
「は、はい。優しい杜子春さまのことですから、きっと、仙術で治して下さるのではないだろうか、と思っていました」
「わかった。お前の忠誠の気持ちが本当であることを。小指を切るのは、物凄く痛かっただろう、し、物凄く、勇気が要っただろう。オレが仙術で治す、という保証は無いのにな。オレはお前たちを信じた。これからは三人で仲良く、ここで暮らそう」
「有難うございます。杜子春さま」
こうして三人は、杜子春を主人として、この家で過ごすことになりました。
姉の京子が杜子春の第一夫人となり、妹の愛子か第二夫人となりました。
杜子春が仙術を使えるようになった、という噂は、瞬く間に洛陽中に知れ渡りました。
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その頃、中国では、東の北京で、習近平という悪党が独裁政治をしてのさばっていました。
習近平は、徹底した武力によって、個人の思想、言論、集会、結社の自由を認めず、政府を批判する者は、捕まえて、天安門広場の前で公開処刑していました。政府批判の本は検閲されて出版できず、新聞やテレビなどは、体制維持のためのウソの報道しかしません。そして政界と財界の癒着、公務員の汚職が、至る所ではびこっていました。民衆は、政府の、この横暴な独裁政治に内心、怒り狂っていました。そこで、したたかな習近平は、怒りの矛先が政府にではなく、日本に向かうよう、徹底した反日教育を教師にするよう命じていました。確かに、日本は、日清戦争、日露戦争、第一次世界大戦における、21ヶ条の要求による中国権益の獲得、満州国の設立、張作霖爆殺、満州事変、日中戦争における南京大虐殺など、中国を侵略してきました。しかし、南京大虐殺の死者の数を20万人から、40万人に水増ししたり、日本政府の閣僚の靖国神社参拝は、日本が、行った戦争を正当化するためである、などとか、尖閣諸島は、中国の領土なのに、日本が、自国の領土などと言い張っている、などと、ウソも交え、初等教育から、憎しみを込めて、反日洗脳教育を行っているのです。そのくせ、日本政府の出している多額のODAについては、一切述べません。ですから、中国人は、子供の頃から、日本は悪い国だと教えられて、洗脳されてしまっています。しかし、その本当の目的は、共産党の一党独裁政治に民衆が気づいて、体制を批判することを、恐れているからです。そこで、真に憎むべきは、日本であると、怒りの矛先を日本に向けさせて体制を維持させているのです。しかし市場経済の導入や、パソコンやツイッターや携帯電話などによって、だんだん中国国民も、目が開けてきました。国営の新幹線で事故が起こって多数の死者が出ても、政府は、説明責任も果たしませんし、遺族への補償もなく、また企業の排出する有毒物質による水質汚染で、魚が大量に死んで、漁師たちが困って国に訴えても、企業と癒着している中央政府は、お茶を濁すいい加減な答弁しかしません。
国民は独裁政治をしている政府、習近平に対して、憎しみを持つようになりました。
このままでは、国民による打倒政府の流血革命の勃発が起こるのは時間の問題だと、杜子春は危惧しました。
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その日は国慶節でした。政府に不満を持った改革派の者達が、密かにツイッターで連絡を取り合っていたのでしょう。中国各地で、とうとう一斉に革命が起こり、反体制派は警察署を襲い出しました。
杜子春は、急いで、ツイッターで、こう流しました。
「愛する全国の国民よ。私は杜子春という仙人だ。武力革命は、いけない。今から、私が習近平と政府首脳を捕まえる。それまで待て」
すると、
「わかりました。杜子春さま」
という返事が、全国からやってきました。
杜子春は、ほっとしました。
杜子春は青竹に乗って、ひとっ跳びに、習近平の豪邸に向かいました。
習近平の屋敷には、武装した警察官や兵士たちが、わんさと杜子春を待ち構えていました。
「撃て。撃ち落とせ」
習近平は、狂ったように叫びました。
ズガガガガー。
警官や軍の兵士達は、一斉に杜子春めがけて発砲しました。しかし、弾は、全部、途中で落っこちてしまいます。杜子春は、仙人の杖で、
「不動、金縛りの術」
と一喝しました。すると、護衛の警官や兵士達は、ピタッと止まって動けなくなりました。
杜子春は、習近平の屋敷に入りました。
奥の部屋に、習近平が、オドオドしています。
「さあ。オレは仙術を使えるから、何でも出来るぞ。降伏すれば命の保証はする。嫌なら殺すぞ。お前は、どっちを選択する?」
杜子春はそう言って習近平に詰め寄りました。
「わ、わかった。私の負けだ。降参する。命だけは助けてくれ」
そう習近平は言いました。
杜子春は、習近平および政府首脳の人間を集め、中国の宇宙ステーション天宮三号に乗り込ませました。
「そんなに、独裁政治がしたいなら、てめえらだけで勝手に、火星人か金星人、相手に宇宙でやってろ」
そう言って杜子春は、天宮三号の打ち上げの用意をしました。
「あれー。杜子春さま。そんなことは、ゆるして下さい」
習近平たちは、叫びましたが、杜子春は、無視して、天宮三号の発射ボタンを押しました。天宮三号は、みるみる内に、物凄い勢いで、天空へ飛んで行きました。操縦士もいませんし、彼らは、宇宙飛行士としての訓練もしていませんので、おそらく地球には戻ってこれないでしょう。
杜子春は、青竹に乗って、急いで、中国の国営テレビ局に、行きました。
「愛する中国の全国民よ。今、習近平と、共産党首脳陣たちは、天宮三号に乗せて、宇宙に飛ばした。もう戻って来れないだろう。これからは、この国を独裁国家ではなく、民主主義国家にしようではないか。それと、軍と警察に告げる。オレは仙術を使えるから、お前たちには勝ち目はないぞ。オレが仙術を使えば、戦艦も戦車も戦闘機も、一瞬でぶっ壊すことが出来るぞ。命が惜しければ無駄な抵抗はするな」
と全国に放送しました。
軍も警察も、仙人が相手では、勝ち目がないと、判断して諦めたのでしょう。抵抗する者はいませんでした。
杜子春のもとには、全国から、「杜子春さま。万歳」というツイッターがネットで届きました。
天安門広場や全国各地で、「杜子春さま。万歳」と全中国国民が叫びました。
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杜子春は、国民の総意によって、大統領に選ばれました。
ここに至って、64年間、続いた共産主義国家、中華人民共和国はついに倒れ、民主主義国家、中華人民杜子春共和国として、あらたに生まれ変わりました。
杜子春は、主権在民。議会制民主主義。地方分権。三権分立。平和主義。思想、信教の自由、基本的人権の尊重、などを柱とした憲法を制定しました。そして、刑務所で服役していた政治犯を釈放し、歪んだ歴史教科書を廃棄し、事実に基づいた、誇張や偽りのない歴史教科書を有識者に作らせませた。
日本も、ギクシャクした日中関係が、終焉したことを喜びました。
日本から、総理大臣が、新たになった中華人民杜子春共和国に訪中しました。
杜子春は、日本の総理大臣を快く迎え、尖閣諸島は日本の領土であること、北朝鮮に対し今後、いっさいの経済支援を行わないこと、などを約束しました。
こうして杜子春のおかげで、中国は、平和な民主主義的国家へと生まれ変わり、末永く繁栄しました。
平成25年6月26日(水)