小説家、精神科医、空手家、浅野浩二のブログ

小説家、精神科医、空手家の浅野浩二が小説、医療、病気、文学論、日常の雑感について書きます。

患者は研究の宝庫

2009-11-17 03:20:19 | 医学・病気
「患者は研究の宝庫」

これを言ったのは医学部三年の時の生理学(神経生理)の教授である。勿論、私は教授が言う前からわかっていた。患者は研究の宝庫、なのである。しかし大抵の開業医は、内科は別として、心身症のようなやっかいな患者は、真剣に研究してみようとは思わない。(特に)不愉快な患者は感情が先走って、病気を知ろうという気持ちは起こらない。診療時間が終わったら、ごろ寝してテレビの野球中継を見て酒飲んで寝るだけである。研究心のある開業医はいないのである。やっても金になるわけじゃないし。大学病院でも夜を徹して研究する人はいない。

しかし。私だったら、もし開業医になったら、あるいは大学病院でも、どこでも夜を徹して研究する医者になるだろう。そんな医者はこの世で私一人じゃないかと思っている。実際、研修病院の時には、精神科の患者の研究が面白く夜中の12時までやっていた。しかし私は小説創作が私の全てなので、医者は食うため、嫌々やっているので、そうはなっていないのである。もし小説創作を求めず、医者一筋だったら、真夜中まで研究する医者になっていただろう。さらに医局のしがらみがある。医者は勉強するためには医局に属さねばならず、そのためには自分の時間が全く持てなくなってしまうのである。医学もカルチャー教室のように金払って教えてくれるんなら大いに参加するのだが。封建制の古い医局制が優秀な人材を駄目にしてしまっているケースもあるのである。
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