小説家、反ワク医師、空手家、浅野浩二のブログ

小説家、反ワク医師、空手家の浅野浩二が小説、医療、病気、文学論、日常の雑感について書きます。

図書館(小説)

2015-07-05 00:28:29 | 小説
図書館

 ある夏。ある町の図書館で一人の少年が毎日、朝から来ては5時の閉館まで熱心に勉強している。彼の名前は山本純。純は、体力がなく、内気で、性格が暗く、友達も一人もいない。運動も全くダメ。友達とワイワイ楽しくお喋りし、彼女と幸せそうに青春を謳歌している他の生徒を見るにつけ、純は激しい羨望と嫉妬を感じた。もちろん、純の女を求める本能は他の男と同じであった。しかし、スポーツも出来ず、性格も暗い純に彼女など出来ようはずもなかった。
 海の好きな純は、ある暑い夏の日、勇気を出して海水浴場へ行った。しかし純は海水浴場に、どうしても入れなかった。海では男も女もセクシーな姿で屈託なく笑い合いながら、ビーチバレーをしたり、水を掛け合ったりしている。皆、小麦色に焼けている。青白いモヤシの体で連れの友達もなく、一人きりでは、どうしても海の家に入ることが出来なかった。海の家の人に、「お前。暗いんだよ。ここはお前みたいなヤツの来る所じゃないんだよ」、と言われそうな気がしてきた。もちろん、現実には、そんな事は言われないだろうが、そういう目で見られるだろう事には絶対の確信を持った。ビーチでは美しい女と男が、荷風の、あめりか物語の「夏の海」のように、思うさま青春を謳歌している。純はしばし、うらやましげに彼らを見た。夕方、一人むなしく、家に帰った。
その日から、純は勉強に打ち込むようになった。将来は、国立の医学部に入ろうと思った。

幸い、純は内向的な性格だったため、観念的な思考に強く、理数科系の科目は得意だった。その上、スポーツも出来ない上、趣味もない。友達がいないため、アソビ方も知らない。畢竟、やる事といえば勉強だけだった。そのため、理数科系に限らず、全ての科目において成績はよかった。ただ、純は生きる目的もわからず、将来の夢もなく、野望もなく、性格が真面目だったため、勉強は受け身でしていただけだった。だが、目的がしっかり出来てからは、持ち前の異常な熱心さも加わって成績は、どんどん伸びていった。
休日は、近くの図書館に行って勉強した。家では、ダレやすくなる。図書館の方が精神に気合が入るのである。
 ある日の事。その日も純は図書館に行って、せっせと勉強した。
夕方になった。物理を一区切りおえて、純はほっと一息ついて顔を上げた。純の心臓は思わずドキンと高鳴った。純の前の席では、おそらくはこの世で一番美しいであろうと思われる女性が何かの本を開いて一心に勉強している。ストレートの艶のある黒髪。胸元の開いた、薄いブラウス。そのブラウスの胸の所は、その内側にある大きな乳房によって、大きく盛り上がっている。純は真っ赤になってうつむいた。勉強の続きをしようと思って教科書に目を向けたが、心臓がドキドキ高鳴って、とても集中できない。目前の美しい女性の胸の盛り上がりが気になってしかたがない。純はそれをもう一度見たい誘惑に抗しきれなくなって、彼女に気づかれないよう、数回、うつむいたまま、彼女の胸の盛り上がりをチラッ、チラッと盗み見た。純の興奮は、どんどん激しくなっていった。幸い、彼女は読書に集中しきっていて、純が彼女を盗み見ても、彼女は見られている事に全く気づいていない。純は安心、ほっとして喜んだ。彼女に気づかれる事なく、安心して彼女をじっくり見れるのだ。純はだんだん図にのってきて、彼女の顔をまじまじと見た。整った鼻。キュッと真一文字にしまった口。パッチリした目。全体の調和。それは、この世でつくり出しうる最高の美の形だと純は思った。
閉館10分前のアナウンスが鳴った。彼女は、くしゃん、とくしゃみして、ティッシュペーパーで、鼻をかみゴミ箱に捨てた。彼女は読んでいた本をバッグにしまって立ち上がった。去って行く彼女の後ろ姿を純はしげしげと見守った。華奢なつくりの腕。繊細な指。キュッと引き締まった腰。ムッチリとした量感ある尻。スラリと伸びた脚。それは、この世でつくり出しうる最高の美の形だと純は思った。純は人がいなくなると、そっとゴミ箱から、彼女のかんだ、鼻紙を取り出して、カバンにしまった。

その夜、純は彼女のかんだ鼻紙を開いて、それに染みついている鼻水をまじまじと見つめて、鼻に当てて、その匂いをかいだ。その晩、脳裏に彼女の美しく、悩ましい姿が浮かんできて、純はなかなか寝つかれなかった。

 翌日も純は朝から図書館へ行った。純は席について、さっそく勉強を始めた。純は数学や物理は得意だったが、国語や社会は苦手だった。純はデジタル的な思考には強いが、アナログ的な思考には弱い。そのため、数学のような厳密な正確さが要求される科目は得意だったが、物事を大づかみに捉える社会科は苦手だった。また、得意な数学でも、第一問が解けないと、次へ進むことが出来なかった。難しい問題に当たった純は眉間に皺を寄せて、ウンウン考え込んだ。純は疲れて、ふっと顔を上げた。純はドキンとした。純の一つ離れた前方の席に、昨日の女性がいたからである。純は内心、喜んだ。純は時々、彼女を見た。真正面だと、気づかれる可能性があるが、離れていれば安心である。純は勉強に疲れると、彼女をしげしげと眺めた。

 次の日は彼女は来なかった。彼女と会える事を楽しみにしていた純はガッカリした。彼女は、来る日もあったり、来ない日もあったり、と、まちまちだった。

もちろん、純は図書館が、閉館した後も家で、机に向かって勉強した。
が、困った事に勉強していると、彼女の姿が浮かんでくる。勉強に集中できない。純は勃起したおちんちんをなだめるように、手で撫でさすった。

 ある日、三日つづけて彼女は来なかった。もう、彼女は来ないのだな、と純はさびしい気がした。が、これで勉強に集中できる。集中しようと思った。ケッペンの気候区分をノートに書いて、覚えた。閉館一時間前のアナウンスが鳴った。ちらほらと人々が帰りだした。前の人が立ち上がって、去って行った。それと入れ替わるように、誰か別の人が前の席に着いた。が、純は顔も上げず、勉強をつづけた。一区切りおえて、純はふと何気なく顔を上げた。純は心臓が止まるかと思うほどびっくりして、赤くなった。入れ替わりに席に着いた人は、憧れの女性だったからである。彼女は純を見てニコッと笑った。純は真っ赤になった。さらにびっくりした事に、彼女は立ち上がって、純の席のほうに回ってきた。
「ボク。となり、座っていい」
彼女は笑顔で純に話しかけた。
「は、はい」
純は声を震わせて、小声で答えた。彼女は純の隣の席に着いた。純の体はガクガク震えて止まらない。彼女はカバンから本とノートを取り出して開いた。しばし、彼女は本をじっと見ていた。純はとても勉強どころではなかった。いったい、なぜ、彼女はわざわざ自分の隣に来たのだろう。純は勉強していることを装うため、しゃにむに英単語をノートに書き写した。が、頭が混乱して、とても勉強どころではなかった。
その時、彼女が純の方に身を寄せてきた。純は心臓が破裂するかと思うほどびっくりした。
「ねえ。ボク。わからない事があるんだけど、教えてくれない」
彼女は屈託ない笑顔で話しかけてきた。
「は、はい」
純は顔を真っ赤にして、声を震わせて言った。彼女は椅子を純に近づけて、純の間近に来て。テキストとノートを純の方に寄せた。
「この問題。わからないの。ボク。わかる」
彼女はノートをさし出した。純はびっくりした。それは分数の足し算だった。ノートに1/2+1/3=2/5と、書かれてある。
「あ、あの。分数の足し算は、まず分母を同じにするんです。この場合は、分母を2×3の6にするんです」
そう言って純はノートに3/6+2/6と書いた。彼女はウンウンと言いながら、一心に聞いている。純はつづけて説明した。
「これで、分母で6で同じになりました。から、あとは、そのまま分子を足し合わせるんです」
そう言って純は、3+2/6と書いて、正解の5/6を書いた。
「ありがとう。よくわかったわ」
彼女ニッコリ笑って純が説明した式を自分で書いて純に見せた。
「え、ええ。それでいいんです」
純は恥ずかしそうに言った。
「ねえ。ボク。他にも解らない所があるんだけど、教えてくれる」
「え、ええ。僕にわかる事でしたら」
純は少し、緊張が解けて、笑顔で言った。
彼女は、因数分解や対数関数について、テキストを開いて聞いた。純は図や数式を書いて、丁寧に教えた。彼女は、ウンウンと肯きながら、一心に純の説明を聞いた。聞きおわると、彼女は。
「ありがとう。よくわかったわ」
と言って、ペコリと頭を下げた。
「これからも、解らない事、聞いていい」
「は、はい」
純は照れくさそうに返事した。
「私、柏木愛子。××女子短期大学の一年。バカだから数学が全然わからなくって・・・」
そう言って彼女は、テヘヘと笑って舌を出した。
「ボク。名前は」
「山本純と言います」
「ふーん。いい名前だね」
愛子は、しばし微笑して純の顔を見ていた。
「ボク。以前から、私をじっと見てたでしょう」
純は真っ青になった。青天の霹靂だった。
「ゴ、ゴメンなさい」
純は真っ赤になって頭を下げた。愛子はクスッと笑った。
「いいわよ。別に」
純は答えられない。プルプル全身を震わせている。
「もしかして、私に好意を持ってくれてたりして」
愛子は独り言のように言った。純は顔を真っ赤にして黙っている。
「おしえて」
愛子は震えている純の手をギュッと握った。
「は、はい。その通りです」
愛子はクスクス笑った。
「嬉しい。ボクのような、可愛くて頭のいい子に想われてたなんて」
「そんな事ないです。僕、可愛くなんかないし、性格も暗いです」
「そんな事ないわ。純君はすごく、可愛いわ。それに性格もすごく純粋だわ。一目見ればわかるわ」
純は顔を赤くして黙っている。
「純君。教えてくれたお礼をしたいわ。それと純君と友達になったお祝いも。腕によりをかけて、おいしい料理をつくるから、食べてってくれない。私、頭は悪いけど、料理は得意なの」
「は、はい」
純は小声で答えた。
「うれしい」
愛子は純の手をギュッと握った。
閉館十分前の館内放送が流れた。
「じゃあ、行こう」
愛子は純の手を掴んで、図書館を出た。
駐車場には白のカリーナがあった。愛子は、純を乗せた。
車は勢いよく走り出した。
夏の5時はまだ昼間のようである。
車は少し、市街を走った後、ある高層マンションについた。
愛子の部屋は10階だった。2DKで、きれいに整っている。
「じゃあ、純君。料理をつくるから食卓で待ってて」
純は食卓についてカタカタ膝を震わせていた。キッチンではジュージュー調理している音がする。料理はデミグラハンバーグとロールキャベツだった。
「純君と友達になったお祝い。カンパーイ」
純は恥ずかしそうに食べた。食べ終わった後も純は緊張して、俯いてじっと座っていた。そんな純を愛子は頬杖をついて、笑顔でじっと見ていた。
「純君。彼女はいる」
「い、いないです」
「でも女の子には、人一倍興味あるでしょ」
「は、はい」
「それじゃあ、つらいでしょ。純君の年頃は一番、性欲が盛んなときだもの」
純はうつむいている。愛子はつづけて言った。
「じゃあ、マスターベーションの回数が多いでしょう。週に何回くらいするの」
純はつぶらな目を愛子に向けた。
「あ、あの。愛子さん。マスターベーションって何でしょうか」
愛子は目を丸くした。
「ええっ。純君。マスターベーション知らないの」
愛子はあきれた顔で純を見た。
「え、ええ」
「おどろいた。純君の年頃でマスターベーション知らないなんて純君くらいよ」
「な、何となくはわかります。広辞苑を引いたら、手淫とか自慰とか、書いてありますから、性的な行為なんですよね。きっと。みんなも何だか卑猥な口調で、マスとかカルピスとか、さかんに言ってますから」
「やり方は知ってる」
「し、知りません。性に関する本を何冊も読んでみましたが、どれにも書いてないです」
「それはそうよ」
愛子はあきれた顔で純を見た。
「それじゃあつらすぎるわよ。勉強してても集中できないでしょう」
「え、ええ」
愛子は純をじっと見ていたがニコッと笑った。
「じゃあ、私が純君の性欲処理のためのオモチャになってあげるわ。私でいい」
純は真っ赤になった。
「私じゃイヤならいいわよ」
「い、いえ。あ、あの、その、最高に幸せです」
純は頬を真っ赤にして言った。
愛子はクスッと笑った。
「じゃあ、純君。来て」
と言って、愛子は、純をとなりの寝室に連れて行った。六畳の部屋に布団が敷いてある。
「さあ。純君。何をしてもいいわよ」
そう言って服を着たまま愛子は布団の上に横になった。
純は鼻息を荒くしながら愛子を服の上から丹念にくまなく眺めた。純はプルプル震えている。純は愛子の髪の匂いをかいでみたり、女の美しい顔をじっと見たり、太腿や胸の隆起を見入っていた。生まれてはじめて接する女の匂いに純は興奮していた。スカートをそっとめくって中のパンティーを眺めた。理想的な形の盛り上がりが見える。愛子は体をくねらせて、媚態の悩ましげなポーズをして、
「ああん」
と言った。
愛子は眉を寄せ、喘ぎ声を時々上げた。
「あ、愛子さん。触ってもいいですか」
純にとっては相手の同意を得ることが当然の道徳だった。
「いいわよ」
愛子は笑って許可した。純はそっと愛子の胸や顔や、柔らかい肉を触れた。なるたけ相手に、いやらしくないように。が、初めて触る女の柔肌は弾力があって温かく、つきたての餅のようで、純は頭がボーとしてしまった。愛子は純に身を任せている。
「純君。脱がせて」
そう言って愛子はブラウスの一番上のボタンをはずした。そしてあとは純にまかせた。純は女というものが恐ろしかったため、その機嫌を損ねるのが怖かったため、「脱がせて」という愛子の要求は義務感となった。純は恐る恐る愛子のボタンをはずした。靴下も脱がせ、スカートのチャックも震える手で外した。が、愛子は床に寝ているので服を脱がすことは出来ない。愛子は笑って起き上がり、純が愛子の服を脱がせるようにバンザイして手伝った。純は愛子の上着を抜き取った。愛子は腰を浮かして、
「さあ。スカートも脱がせて」
と催促した。愛子はブラジャーとパンティーだけになり、行儀よく腿をピッチリ閉じ、半身を起こしている。純は一瞬、「人魚姫」の像をそこに見た思いだった。愛子は微笑した。
「さあ。ブラジャーのホックをはずして」
純は愛子の後ろに回って、ブラジャーのホックをはずした。留め金をはずされたブラジャーとパンティーという姿のまま、愛子は再び床に横になった。
「いいわよ。好きな事をして」
ふっくらした胸の隆起。しなやかにつづくくびれたウェスト。雨垂れに穿たれたような落ち窪んだ縦長の臍。コンビニの週刊誌で見る女の美しい肉体の実物を自分は今、目の前にしているんだと思うと純はこんな事があってよいものかと、思いながら、これが現実なのかと思って頬っぺたをつねってみた。痛かったのでこれはまぎれもない現実なのだ。と確信する事にした。自分は今もう死んでもいいと思った。自分に絶対与えられないと信じていたものが与えられたのだから。
「さあ。純君。好きな事をして」
愛子が再び促した。
「い、いいんですね」
純は緊張しながら聞いた。純は男が女の体に触る事を女は嫌がるものだと信じていた。少なくとも京本政樹のような美形で、女が男を熱烈に愛しいてるような場合でなくては。だめだと思っていた。自分のような醜貌が愛子のような美しい女に触れるのは罪悪に等しいと思っていた。が、愛子の笑顔はどう見ても自分を嫌っていない。どころか好いているようにしか見えない。
とうとう純は、
「ああー。ごめんなさい。愛子さん」
と叫んで愛子にむしゃぶりついた。罪悪感はさほどなかった。女の指示に従うことは純にとって絶対的な義務でもあったから。純の心は完全に開放されていた。その行為の教科書というものは無い。本能のままの独創に頼るだけである。純は愛子を貪った。はたして、その行為には正しい手順というものがあって、自分はその手順を誤ってはいないかという疑問が純の心の後ろ髪を引かれる思いもした。が、そんな考えも一瞬で吹き飛んだ。純は裸になった愛子の首筋にキスした。口唇にはキスしなかった。というより出来なかった。純はキスという行為が嫌いだった。自分のような醜い男が女にキスするのは女がかわいそうだと思っていた。

純にとって女とは冒してはならない神だった。男はひたすら神たる女に尽くすしもべだった。実際、純は美しい女優の写真を前にすると畏敬の念が起こるのだった。が、いくらなんでも女は肉体を異性に愛撫されて快感を得る事は知っていた。ので、純は自分のような者でもいいのなら。ので、極力、愛子が快感を得る事が出来る奉仕者のように愛撫した。愛子が快感を得たいと望んだ期待の形を絶えず考えながら。

首筋の次は、当然男がまず行く乳房へ純も行った。フックのはずれたただ載っているだけのブラジャーもエロチシズムを醸し出した。純はそれをそっとめくった。ふくよかな丘の上の乳首を指でコリコリさせた。
「ああん」
愛子は、切なそうな喘ぎ声を出した。
純は餅のように体に張り付いている乳房をまず、優しく揉んだり、こぼれそうな輪郭をなしている外側に手を当ててその感触を楽しんだ。純は手のかわりに今度は口唇で乳首の感触を楽しんだ。口唇を手のかわりにして、口の中で転がしたり、つまんだりした。離すと円錐形の乳房が元の鏡餅に戻った。純は出来る事ならいつまでもこのかわいい乳首を弄んでいたかった。その遊戯は永遠につづけても厭きない甘美な遊戯だと思われた。乳首ははっきりとした屹立を示していた。純はもどかしそうに屹立したそれを舌で転がしたり、吸ったりした。何度もそんな事をしては、離れてしげしげと眺めた。それは純の唾液でぬらぬらしていた。純は自分の唾液がなぜか粘つく性質になったのに少し驚いた。純は乳首を口に含み、そっと歯で挟んでみた。
「ああん」
愛子は眉を寄せ、喘ぎ声を洩らした。愛子の媚態が本心なのか、純を興奮させるための演技なのか純にはわからない。ただ、前歯でもっと強く噛むことも出来るのに、それをしないか、するかの意志が自分にあることが面白かった。

それから、純はだんだん下へと下降していった。腹を触ったり、臍の穴を舌で舐めた。
「ああん。くすぐったいわ」
愛子が笑って言った。いよいよ、純は、パンティーに行った。女の肉をピッチリとおさめたパンティーが、形のいい盛り上がりをつくっている。それは今まで純をずっと、悩ましてきたものである。
「愛子さん。触ってもいいですか」
純は遠慮がちに聞いた。
「いいわよ」
純は、パンティーの上をそっと、触ってみた。弾力ある柔らかい肉の感触に、純はボーとなっていた。しばし、純はその感触に我を忘れていた。愛子は、ふふふ、と笑った。
「純君。紐をはずして」
言われて純はパンティーの横紐を解いた。横紐のはずされたパンティーは、ただ、薄い布がのっているだけで、全くの無防備である。
「さあ。純君。パンティーをとって」
言われて純は、そっと、パンティーをめくった。女の毛はきれいに剃られている。女の肉の下の方からは、閉じ合わさった割れ目が、太腿の方へ隠れるようにつづいている。
純はゴクリと唾を飲み込んで、じっとそこを眺めていた。
愛子は、そこを手で覆って、膝を立て、足を開いた。手で覆っているため、そこは見えない。
「純君。あんまり見ないでね」
そう言って、愛子はそっと手をはずした。純はゴクリと唾を飲み込んだ。そこは、生まれてはじめて見る所だった。純は観察するように、そこを固唾を呑んで見つめた。そこは、純が予想してた形とは違っていた。鶏の鶏冠のような、黒っぽい襞が合わさっている。純は、はじめて見るそこをまじまじと顔を近づけて眺めた。
「ああん。恥ずかしいわ。あんまり見ないで」
愛子は、顔を赤くして、目を瞑って、両手で顔を隠した。
愛子に見られていないのをいい事に、純は、そこをしげしげと、見つめた。
「純君」
「はい」
「いいわよ。何をしても」
両手で顔を覆った愛子が、言った。
言われて、純は、そっと、黒い襞を触ってみた。そして、そっとそれを、開いてみた。襞の中は、外と違って、赤く、すべすべしている。それは体内の肉だった。
「純君。そこを、指で触って」
言われて、純はそこを指で触った。
「ああ。いいわっ。気持ちいい」
純が、そこを指で撫でていると、だんだん、ヌルヌルしてきた。
愛子は、顔を覆っていた手をはずした。
「純君。下の方に、穴があるから、指を入れて」
愛子に言われて、純は、下の方をまさぐった。キュッと閉まった所がある。そこに純の指が触れると、愛子は、
「そこよ。指を入れて」
と言った。純は言われるまま、指をそっと、立てて押し込もうとした。ヌルヌルしているので、指はスッと入った。穴は入った指を離さないように、キュッと閉まった。女の体にこんな所があることを知った純は驚いた。純はしばし、そのままじっとしていた。
「純君。指を動かして、あちこち、触って」
言われて、純は、指を動かした。だんだん、触れている所がヌルヌルしてきた。
「ああっ。いいっ。気持ちいい」
愛子は、眉を寄せ、切なそうな声を出した。しばし純は、愛子に言われたまま、指で刺激しつづけた。
「もういいわ。純君。一度、指を抜いて」
「はい」
純は、指を抜いた。粘々した粘液が、愛子のそこにも、純の指にもべったりついている。純は、ティッシュで、それをきれいに拭いた。
「さあ。純君も裸になって」
「はい」
純は、言われるまま、服を脱いで裸になった。シャツとズボンを脱ぎ、Tシャツとパンツも脱いで、丸裸になった。
「さあ。純君。これから、童貞を捨てて大人になるのよ」
愛子は、そう言って、純の手を掴んで、純を抱いた。しばし、純は、愛子をガッシリと抱きしめていた。愛子は、純のおちんちんや金玉を触って、そっとしごいた。
「あっ」
純は声を上げた。純のおちんちんは、硬く勃起した。
「純君。きて」
愛子は純の手を掴んだ。そして床の上に寝て、膝を立ててM字になった。純は何をしていいかわからずオロオロしている。愛子は黒い鶏冠の肉を手で大きく開いた。
「さあ。純君のおちんちんをここに入れて」
そう言って愛子は亀裂の下の方を開いた。愛子が純の腰を引っ張って促したので。純は愛子の示した所におちんちんの先を当てた。
「さあ。おちんちんを入れて」
言われて純は押し込もうとした。そこに体内へつづく穴があるのはさっき指を入れたので知っている。が、穴はキュッと締まっているので容易には入らない。二、三回ためした後、純はあきらめた。
「愛子さん。ダメです。入りません」
情けなさそうな声で純は言った。
「純君。頑張って。男の子なら誰でも出来ることなのよ」
「でもキュッと締まってて入りません」
「入れにくいのははじめだけよ。入ってしまったら後は楽よ」
純は指で赤い肉を触って穴の位置を確かめた。確かに穴は締まっているけどある。純は穴におちんちんを押し当てたが、入らない。
「純君。指を入れて」
言われて純は指を入れてみた。指なら楽に入った。純が穴の中を指でいじっているうちに穴の中の肉がヌメヌメしてきた。
「ああん。気持ちいいわ」
愛子は眉を寄せてブルッと体を震わせた。
「もっとやって。純君。濡れてくるから入れやすくなるわ」
言われたように純は穴の中に入れた指を、さかんに動かした。愛子は、
「ああん」
と声を洩らした。女の赤身の肉はもう十分ヌメヌメしている。
「さあ。純君。指を抜いて、おちんちんを入れてみて」
言われて純は指を抜いて、おちんちんを強くそこに押しつけた。
ついにそれはスポッと穴の中に入った。
「やったー」
純は思わず声を出した。
「やったね。純君」
愛子も笑顔で祝福した。愛子の言ったとおり、入ってしまえば後はもう楽だった。
「これでやっと純君も大人になったわね」
「痛くなかったですか。愛子さん」
「ううん。全然」
優しく扱うべき女にこんな力任せな強引な事をするなんて世の中はなんて無神経なんだろうと純は思った。
が、ともかく今は理屈っぽい事を考えるのはやめようと思った。純は頭を空白にした。一度入ったおちんちんを離すまいとするかのごとく、さっき苦労した穴の入り口はキュッと閉まって、有り難くもはなさない。純は愛子の体の上に体をのせ、目を瞑った。
「ああ。自分は今、愛子さんとつながってるんだ」
征服感は起こらなかった。あるのはただ、女との完全な結合感の嬉しさだった。純は出来る事なら、いつまでもこうしていたいと思った。純はそっと目を開いて愛子を見た。愛子の無言の微笑も純の今の心境を理解しているように思えた。純は右手で愛子の左手を掴んだ。男のゴツイささくれだった指とは全く違った、しなやかで繊細な女の指。それはやさしさと美を備えていた。純には女の手が芸術品のように美しく思われた。それはピアノの鍵盤の上を軽やかに踊って、美しい音色を奏でるのにふさわしいと思った。そしてそれはそれ以外の用途(たとえば重い荷物を持ったり、ハンマーを持ったりすること)には使われるべきではない手だと思った。純が自分の指を愛子の指の間に通すと愛子は、しっかりと純の手を握った。
「ふふふ」
と愛子は笑った。しなやかな手がしっかりと純の手を握っている心地よさを純は味わった。突然、愛子の親指が純の親指をギュッとおさえた。愛子のこの予告なしの指相撲に純は不意打ちを食わされて驚いた。抜けようと少し力を入れてみると愛子はギュッと力を入れてそれを阻止した。この戯れにむきになるのは無粋である。純は時々、ほんの少しの力で、抗うふりをした。瞬時に愛子がギュッとおさえる。そして純は少しもがいた末、ついにあきらめた。純にはこの戯れが心地よかった。それは泥棒ごっこで女に取り押さえられた男が感じる心地よさだった。純は、おちんちんと手の二つで愛子に取り押さえられている事の快感を感じていた。もはや愛子が完全に指の力を抜いても純は抜けようとはしなかった。愛子は、
「ふふふ」
と笑って、両手を純の背中に回して抱きしめたり、優しく髪をなでたりした。
「どう。純君。今の気持ちは」
「幸せです。最高に気持ちいいです」
「純君。体を起こして」
言われるまま純は体を起こした。腕立て伏せのように、純は両腕を突っ張った。そして愛子を見た。愛子は、
「ふふふ」
と笑って。つま先を立てて純の体をそっと撫でた。そのうちにあけすけに擽りだした。脇下の窪みをくすぐった。
「ああっ」
純は切ない声を洩らした。
「ふふ。純君はこうやって擽られると一番興奮するんだ」
その通りだった。純の怒張は激しくなった。
「さあ。純君。腰を動かして。おちんちんを揺すって」
言われるまま、純は腰を動かした。愛子にしっかりと締めつけられながら、擦れあう感覚が気持ちよくなってきた。愛子は純の玉袋をつかんで、掌の中で揉んだ。
「ふふ。プニョプニョしてて気持ちがいいわ」
「ああっ」
純の興奮はますます激しくなる。愛子は純の玉を弄んだり、体を擽ったりした。純の興奮はますます激しくなっていく。
「純君。もっと激しく腰を揺すって。おちんちんを動かして」
「はい。愛子さん」
何かが体の外へ出ようとしている。それは、苦しい甘美な感覚だった。
「ああっ。愛子さん。何かが出そうです」
「いいわよ。出して」
純は自然と腰の振動を強くしていった。愛子は時々スッと純の体をくすぐる。その度に苦しい感覚はますます高まる。
愛子は純の尻の谷間を指でスッとなぞった。
「ひー」
純は思わず悲鳴を上げた。
純は苦しい甘美な刺激に眉を寄せ、苦しげな声を出した。尻がプルプル震えだした。愛子は純のすぼまった尻の穴にピタッと指先を当てた。
「ああー」
愛子はしばし、すぼまった尻の穴の上を撫でていたが、指先をスッと垂直に立てて、穴に押し入れてきた。
「ひいー」
純は悲鳴を上げた。
ついに純は体内から何かが放出する感覚に襲われた。
「ああっ。愛子さん。出るー」
純は悲鳴を上げた。溜りに溜まっていたものが勢いよく放出された。ドクドクと放出された。純は征服感を感じていた。精液が愛子の体内に隅々まで広がり、自分の精子が愛子の卵子に着床して二つが一体化する事を純は望んだ。出し切った後、純は最高の満足感を味わった。その余韻がしばし残ってそれに浸っていたが、波が引くように徐々にその快感は薄れ、ついにもとの落ち着きを取り戻した。純は倒れるようにガックリと、愛子の上に体を乗せた。しばし、そのままでいた。
「どう。気持ちよかったでしょう」
「はい。愛子さん」
「どんな気持ちだった」
「はい。僕の精子が愛子さんの卵子にくっついてほしいと思いました」
愛子は、
「ふふふ」
と笑った。
「これでやっと純君も大人になったわね」
しばし純は愛子の上で目を瞑っていた。が、愛子が急くように言った。
「さあ。後始末をしましょう。いつまでも、こうしているとまた興奮してくるから」
そう言って愛子は純の背中をポンと叩いた。純は、
「はい」
と言って、おちんちんを抜いて、愛子から離れた。純のおちんちんは愛子の愛の粘液でぬらぬらしていた。愛子はティッシュペーパーで純のおちんちんを拭いた。
「さあ。シャワーで洗って、きれいにしよう」
「はい」
愛子は純をシャワー室に入れた。愛子は、石鹸を泡立てて、両手で純のおちんちんや金玉に丁寧に泡をつけた。純のおちんちんは見る見るうちに再び、硬くなって、そそり立ってきた。愛子は、それを見て、ふふふ、と笑った。愛子はシャワーで、汗をかいた純の体を流した。おちんちんも丁寧に流した。流し終わると、
「さあ。純君。バスタオルがあるから体を拭いて、待っててね」
「はい」
純はバスタオルで体を拭いて、部屋に戻った。パンツだけ履いて、正座して愛子を待った。

愛子はセクシーな黒のビキニの水着を着て戻ってきた。純はそれを見ると、
「うっ」
と声を洩らした。純のおちんちんがまた硬くなり始めた。愛子はいろいろなポーズをとって、純を挑発した。そして純の前に横たわった。
ビキニは裸以上に女の体を美しく演出した。その弾力によって。そのくっきりとした輪郭によって。その秘匿によって。
「ああ。愛子さん。好きだ」
純は叫んで、ビキニの愛子にしゃぶりついた。鼻先を女の丘に当て、クンクン嗅いだり、口唇であちこちをまさぐった。純が尻に手を触れると、愛子は気を利かせて体を横にして、膝を折り、尻を触れやすいようにした。純は尻にキスしたり、触ったり、心ゆくまで愛子の大きな尻を味わった。それから太腿の弾力を丹念に楽しんだ。水着の上から胸を触ったり、手の指を口に含んだり、髪を梳かしたり、髪の匂いを嗅いだりした。愛子はされるがままの人形になっている。
「ああっ。愛子さん。幸せです」
純は叫んだ。純にとって、浜辺で挑発的なビキニの女はこの世で最もうらやましい、そしてもっとも純を悩ませる、絶対手のとどかない夢だった。その夢が今、目の前に確実に横たわっているのである。純は我を忘れて思うさま貪った。愛子は純にされるがままになっている。愛子は、うつ伏せになった。
「純君。マッサージしてくれない」
「はい」
純は足の裏から、首まで、力を込めて一心に指圧した。
「ああ。気持ちいい」
愛子は、気持ちよさそうな笑顔で目を瞑って、純に身を任せている。だんだん、筋肉の緊張がなくなって、全身がだらんとなった。顔の表情もなくなって、すーすー寝息が聞こえてきた。純は指圧をやめて、そっと愛子の顔を盗み見た。口が半開きになって、どう見ても寝てるように見える。これ以上の刺激的な状況があるであろうか。セクシーなビキニ姿の女が目の前で寝ているのである。純のおちんちんは、びんびんに勃起していた。純は、そっと、ビキニの上から、愛子の尻や太腿を触った。反応が無い。やはり愛子は寝ているのだ。純は愛子の体のあちこちを触りまくった。

しばしして愛子がムクッと起き上がった。
「純君。マッサージありがとう」
愛子はニコッと笑って言った。
「私が寝てる間にエッチな事したでしょう」
「ご、ごめんなさい」
純は真っ赤になって謝った。
「私、狸寝入り、上手いんだから」
純はますます赤面した。
「純君。今度はSMごっこしない」
「は、はい」
「私を縛っていじめたい。それとも私にいじめられたい。私はどっちでもいいわよ」
「あ、愛子さんに、いじめられたいです」
これは純にとって当然の選択だった。
「そうよね。純君のような優しい子が、女の子をいじめる姿なんて、とても想像できないわ。純君は本当はマゾなんでしょう」
「は、はい」
「じゃあ、私が女王様になるから、純君は私の言う事には何でも従う奴隷になるのよ」
「は、はい」
「私、けっこうハードよ。いい」
「は、はい。愛子さんのような素敵な人になら、何をされても幸せです」
「そうよね。純君のような、おとなしい子は、本当は女の子に生まれたかったんでしょう」
「は、はい。そうです」
「じゃあ、純君を女の子のように、うんといじめてあげるわ。覚悟しなさい」
「は、はい」
愛子は、ふふふ、と笑った。
愛子は箪笥から下着を出すと、それを純につけた。ブラジャーを着け、横紐のパンティーをつけた。
「ああっ。何をするんですか。愛子さん」
「ふふ。痴漢した罰」
愛子はそう言って、純を後ろ手に縛り、片方の足首を縛って、吊り上げた。
「ああっ」
愛子は純に見られないようにキッチンに行って、水着を脱いで、下着にかえた。そしてフレアースカートと白のブラウスを着た。そして椅子を持ってきて、純の前に座り、パンティーとブラジャーを着けさせられて、片足をつられて横になっている純をしげしげと眺めた。
「どう。女の子になった気持ちは」
愛子は笑いながら言った。もう純にためらいはなかった。
「し、幸せです」
純は言った。
「そうよね。純君は本当は女の子になりたいのよね」
そう言って愛子は純の顔を足で踏んで揺り動かした。純の顔は歪んだ。
「ああー。幸せです。愛子さん」
「ふふ」
愛子は悪戯っぽく笑った。愛子は閉じた純の口唇を足の親指を割り入れた。
「さあ。きれいにお舐め」
純は頬を赤らめながら、愛子の足指をペロペロ舐めた。
「どう。今の気持ちは」
「し、幸せです。最高に」
愛子は箪笥からパンティーを持ってくると純の顔にかぶせた。女のそこが純の鼻に当たるように。
「どう」
「す、素敵な匂いです」
愛子はパンティーをとった。純の顔は紅潮している。愛子はとっくに勃起している純のおちんちんをパンティーの上から足でグリグリ踏んだ。
「ああー」
「どう。こうされて、どんな気持ち」
「し、幸せです。最高に」
愛子は洗濯バサミを持ってきた。愛子は純のブラジャーを外し、パンティーの横紐をほどいてパンティーを抜きとった。それは隆々と勃起していた。愛子はティッシュをよじって紙縒りをつくり、純の尻の穴をスッとなぞった。純は、
「ひいー」
と悲鳴を上げ、尻の穴をすぼませた。純は尻の穴を責められないよう、尻に力を入れた。その結果、体が反って、おちんちんが丸出しになった。愛子は笑いながら、おちんちんをゆっくりしごいたり、玉をつかんで荒々しく握ったり、引っ張ったりした。
「どう」
愛子はそっけなく聞いた。
「い、痛いです。お願いです。許して下さい」
純は目に涙を浮かべながら言った。
「そう。じゃ、許してあげる。そのかわり、私の言うことは何でもきく」
「は、はい」
愛子は遠慮なく純の顔の上にどっしりと尻を載せた。
「どう。重い」
「は、はい。でも幸せです」
「ずっとこうしてようかしら。いい。純君」
愛子はゆとりを示すため、タバコを取り出して一服した。だんだん重さに耐え切れなくなってきたので純は蚊の鳴くような小さな声で、
「あ、愛子さん。お許し下さい」
と言った。愛子は、
「ふふふ」
と笑って、
「じゃ、許してあげる」
と言って、立ち上がった。愛子は純の乳首に洗濯バサミをつけた。できるだけ痛くなるように肉を薄くつまんで。
「ああー」
純の悲鳴。
「ふふ。もっと面白い所につけてあげるから」
愛子はそう言った。愛子は純の玉袋を薄くつまんで洗濯バサミを取り付けだした。
「どう。純君」
「い、痛いです」
「ガマンしなさい」
「は、はい」
愛子はどんどん純の玉に洗濯バサミをつけていった。
「ああー」
純は悲鳴を上げた。愛子は、
「ふふ」
と笑って、等身大の姿見の鏡を持ってきて。純の前に横にして置いた。
「ほら。純君。自分の姿を見なさい」
愛子は目をそらしている純の顔をつかんで鏡へ向けた。そこには乳首と玉に洗濯バサミをつけられて、片足を高々と吊り上げられている惨めな自分の姿があった。純は思わず目をそらした。頬は真っ赤になっている。愛子は玉に洗濯バサミをパチンとつけた。
「ああー。痛いっ」
純は叫んだ。
「しっかり自分の姿を見なさい」
純はしかたなく鏡を見た。
「ふふ。どう。感想は」
「み、みじめです」
愛子は立ち上がって、純の顔を踏んづけた。
「ふふ。ほら。どう」
「み、みじめです。恥ずかしいです」
愛子は腰に手を当てて、タバコを揉み消すようにグリグリ足を揺すった。それは餓鬼を踏みつけている四天王の図だった。
「でも恥ずかしいだけじゃないでしょ」
「は、はい」
「本当は嬉しいんでしょ」
「は、はい」
「ふふ。秀才で勉強が出来てもこんな事されて喜ぶ変態じゃあね。密室の部屋の中で、私と純君の二人きりだからいいけれど、クラスのみんなが純君のこんな姿を見たらどう思うかしら」
愛子は笑いながらグリグリと純の顔を足で揺すった。
「ああー。愛子さん。もっと言って下さい。もっとみじめにして下さい」
純は被虐の法悦境にいた。愛子は、ふふ、と笑った。愛子は、蝋燭を持ってきた。愛子は屈んで純に見せつけるように、蝋燭に火を灯した。純の顔が怯えている。愛子はゆっくりと蝋燭を純の肩の上で傾けた。火であぶられた蝋が溶けてポタリと蝋が雨粒のように落ちた。そして純の肩をピシャリと打って円盤状に、ひしゃげて純の肩に張りついた。
「あっ。熱いっ」
純は肩を揺すぶった。愛子は立ち上がると蝋燭を傾けたまま純の体の上を隈なく移動させた。蝋涙は容赦なくポタポタ落ちていく。蝋涙の斑点がどんどん純の体で数を増やしていく。純は、
「熱い。熱い」
と叫びながら、身をくねらせている。愛子は屈みこんで、
「大丈夫よ」
と言ってイタズラッぽく、こびりついている蝋涙の一つを爪先でペリッとはがした。愛子は笑いながら、位置を変え、純の股の前に屈んだ。愛子はポタリ、ポタリと純の玉に蝋を垂らした。
「ああー。熱いー」
純は叫び声を上げた。
「ふふ。男の子の生殖器は熱に弱いから、わざわざ体の外に出ている事、純君も知ってるでしょ。蝋ほどの熱なら確実に生殖機能がダメになるわ。純君の生殖器をダメにしちゃおっと」
そう言いながら、愛子はポタリ、ポタリと蝋を純の玉に垂らしていった。蝋は玉袋にどんどん斑点となって、さらにその斑点の間に蝋が垂れ、玉は蝋で埋まってしまった。
「あ、愛子さん。許して下さい。僕、本当に怖いんです」
純がそう言っても愛子はやめない。
「ふふ。いいじゃない。生殖機能がダメになって性欲がなくなればもう女の子に悩まされることなく勉強に集中できるじゃない」
玉に蝋を垂らされて、本当に生殖機能がダメになるのか、あるいはどの程度、本当に損傷を受けるのか、純には分からない。泣きそうな顔を愛子に向けている。
「どうしてイヤなの。答えなさい」
愛子は叱るように言った。純は答えられない。ただ許しを乞う瞳を愛子に向けている。
「ふふ。わかるわよ。エッチな事が出来なくなるのがさびしいんでしょ」
答えるまで、やめないからね、と言って、愛子は蝋を垂らしつづけている。純は口を震わせて、
「は、はい。そうです」
と答えた。
「ふふ。やっぱり純君はエッチな子なのね」
と言って、愛子は蝋燭の火をフッと吹き消した。
「あ、愛子さん。本当に僕、ダメになってしまうんでしょうか」
「さあ。それは分からないわ。大人になった後なら大丈夫だけれど、成長期にやったら本当に生殖機能がダメになっちゃうかもね」
そう言って、愛子は玉一面にへばりついた蝋を崩れないようペリペリと、はがした。それは純の玉の鋳型になっていた。愛子はそれを目の前に置いた。
「はい。純君の玉の鋳型。純君の生殖器がダメになった記念としてとっておく」
愛子は悪戯っぽく言った。純は半泣きである。
「あっ。男の子は泣かないんだよ」
と言って、愛子はハンカチを取り出して純の涙を拭いた。
「あっ。そうか。もう純君は男の子じゃないんだ」
と言って、笑った。しかし純があまり涙をこぼしているので、
「大丈夫よ。大人も成長期も関係ないわ。蝋の熱くらいでダメになったりなんかならないから、安心して」
と言って、純の顔を膝の上に載せて優しく髪を撫でた。

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真実は限定されない

2015-07-04 22:14:05 | 武道・スポーツ
「真実は限定されない」とは、ブルース・リーの言葉だが、この意味のわかる人は、まず、1000人に一人もいないと、思う。

真実とは、自己実現、と言ってもいい。だから、

「自己実現は限定されない」

と言ってもいい。

プロ野球で、王貞治は、完全な自己実現をした、人間だと、思って、疑う人が誰一人、いないのが、その証拠である。

世界記録のホームラン王。本塁打記録。打率。打点。三冠王。首位打者。などの、あらゆる記録。さらには、国民栄誉賞。文化功労章。さらには、怪我もなく、20年の現役。さらには、監督。

これほど、優れた成績を残せる野球選手は、これからも、出で来ないだろう。

世間の標準と比べて、いかに優れたことをなしたか、が自己実現の証明ではないのである。

そもそも、自己実現、などという言葉は、便宜的な言葉であり、哲学的に厳密に言えば、存在しない概念なのである。

サルトルが言うように、「人間は自分が作った所の物になる」のであり、人間は、幼児の粘土のような状態から、自分を、あらゆる物につくれる可能性を持っているのである。

そして、人間は、努力すれば、大抵のことは出来てしまうのである。(世界一とか、並はずれたことでなければ)

(努力して)世間的に大成功をおさめた人間=自己実現した人間、という考え方が間違っているのである。

その思考から、抜け出せない以上、「真実は限定されない」という、ブルース・リーの言葉は、理解できるはずがない。

もちろん、私も、その例外ではなく、自己実現など、していない。というより、「自己実現」などということは、人間には、あり得ないのである。

仏教でいえば、「諸法無我」が、これと同じ概念である。つまり、

「真実は限定されない」=「諸法無我」

と言ってもいい。

数学や科学では、たとえば、ピタゴラスの定理、など、あらゆることは、真実である。

しかし、一刻一刻、その人の意志によって、思考や行動を決めていく、人間というに物においては、「その人の真実」というものは、存在しないのである。

また、こうも言える。

「人間は最良の選択肢を選べない」

あるいは、

「人間は、一番いいと思っている行動の、選択肢を選んで行動しているが、それが、最良の選択肢になっているか、どうかは、わからない」

そこで。最後に、ひっくり返すが。何が最高の選択肢かは、わからない、という「認識」をもっている人こそが、どんな行動をとっていても、それは、その人にとって、真実である、ということになる。のである。

つまり。そういう「認識」をもっている人の行動は、全て真実である、ということである。

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研修医SM(小説)

2015-07-04 02:15:31 | 小説
研修医SM

 ある大学病院である。ある年の第二内科。研修医は、そのように育っていくのであるが一人の指導医について、研修医は育っていく。純は同じクラブの先輩で、内心、あこがれていた、京子につくことになった。純にとって京子は憧れの存在だった。純は性的倒錯のため、何度も夢想で京子にいじめられたり、いじめたりする夢想をしたことか。その夢がかなったのである。
「よ、よろしくお願いいたします」
純は京子に深々と頭を下げた。京子はクスッと笑った。
「ふふ。真面目な純君のオーベンになれて、私こそ嬉しいわ。でも容赦はしないからね。ビシビシいくわよ」
そう言って京子は純の額を指でツンと叩いた。

その日から、京子と純の師弟の関係が始まった。予想外に京子の指導は厳しかった。
「ダメじゃない。このカルテ記載。もっとしっかり要点をまとめなきゃ」
京子は皆の前で純の頬っぺたをピシャリと叩いた。
「ごめんなさい。ごめんなさい」
純はひたすらペコペコ頭を下げて謝ったが、心密かに被虐のほの甘い官能を感じていた。

ある日の事。京子は車で純を自分のマンションに寄るよう誘った。
「ちょっと、寄ってきなさい。色々、役に立つ事、教えてあげるから」
「はい。ありがとうございます」
純はペコリとお辞儀した。
「勤務時間がおわったら、医局で待ってて。私も仕事がおわったら、すぐ行くから」
そう言って、京子は白衣を翻して病棟へ向かった。
さて、勤務時間がおわった。医局員が、ゾロゾロきて、賑やかに談笑しながら、帰っていった。純がポツンと一人残された。
しばしして、戸がガチャリと開いて京子が入ってきた。
京子は純を見つけるとニコリと笑った。
「さあ。純君。行こう」
「はい」
二人は白衣を脱いで、上着を着て医局室を出た。
そして病院職員専用の駐車場へ向かった。
駐車場には京子の白のスカイラインがあった。
京子は左のドアを開けて、さあ乗って、と言って純を促した。
純は助手席に座ってドアを閉め、シートベルトをつけた。
京子は、右に回ってドアを開け、運転席についた。
そしてドアを閉めシートベルトを装着して、エンジンをかけた。
ブロロロロと、心地よいエンジン音が鳴った。
車は眠りから覚めさせられた生き物のように感じられた。
「じゃあ、行くわよ」
そう言って京子はハンドルを握り、アクセルベダルを踏んだ。
車は勢いよく発車した。
駐車場を出ると、しばし街の中を走った後、郊外の10階建てのマンションについた。
マンションの駐車場に車を入れて、純は京子の後について、階段をのぼっていった。
京子の部屋は五階だった。
純が部屋に入ると、京子はドアを閉め、ドアノブをカチリとロックした。
純はドキンと心臓が高鳴った。これから、密室で京子と二人きりになるのである。
部屋は、さすがに女の部屋だけあって、きれいに整っていた。
京子に促されて、純はソファーに座った。ソファーの前にはテーブルがある。
京子は、ダイニングから、ブランデーと、おつまみを持ってきて、テーブルの上に置いた。
「どうぞ。遠慮しないで、飲んで」
「冷蔵庫に色々あるから、遠慮しないで自由に食べてね」
そう言って、京子はソファーから離れた。
自由に食べて、と言われても、内気な純は、食べられない。
京子が来てから一緒に食べようと、思った。
そう思って待っていると、バスルームの方から、シャワーの音が聞こえてきた。
純はドキンとした。なぜ、京子が、部屋に入るや否や、シャワーを浴びるのか。
純はそれに、何かの意図があるように思われた。
また、バスルームで、シャワーを浴びている京子の姿、裸の京子の体にシャワーが、激しくかかり、京子のふくよかな胸や尻からシャワー水が滴り落ちている姿が、想像力過多の純の頭に浮かんできて、純を悩ませた。
シャワーの音がピタリと止まった。
京子が戻ってきた。
純はびっくりした。
なんと、京子は裸の体をバスタオル一枚巻いただけの格好だったからだ。
胸の所で、バスタオルを重ね合わせているだけで、それは簡単に落ちてしまう。
バスタオルの内側は、京子の裸なのだ。
京子は部屋の真ん中に立った。
京子の頭の上の天井には縄につながれたカラビナが垂れていた。
「あ、あの。純君」
「は、はい」
「ちょっとこっちへ来て」
呼ばれて、純は、バスタオル一枚の京子の所へ行った。
京子は、手を震わせながら、純に縄が結びついている手錠を渡した。
そして、片手を前に差し出した。
「さ、さあ。じゅ、純君。私の右手に手錠をして」
京子は、声を震わせて言った。
純は、興奮しながら、京子の右手に手錠をした。
「さ、さあ。椅子を持ってきて、縄の余りを天井のカラビナに通して」
純はダイニングから椅子を持ってきた。そして、椅子に乗って、京子に言われたように縄の余りを天井に取り付けられているカラビナに通した。
「じゅ、純君。縄を思い切り引いて」
純はカラビナに通された縄を引いた。
純が縄を引くのにつれて、京子の右手が上がっていった。
京子の縛られた右首は、頭の上に引き上げられ、京子は天井から、ちょうど電車で手すりにつかまっているような形になった。
純が、どのくらい引けばいいのか、わからず、躊躇っていると、京子は叫ぶように言った。
「じゅ、純君。手加減しないで思い切り引いて」
言われて純は、グイと縄を思い切り引いた。
縄がピンと張り、京子の右手は、真っ直ぐに伸びた。
「ああー」
京子は、切ない声を上げた。女が、バスタオル一枚で、片手を吊るされているのである。そのバスタオルは、胸の所の縒り、を解けば簡単に、落ちてしまうのである。
「じゅ、純君。縄の端を取っ手に結びつけて」
言われて、純は京子を吊っている縄の端を部屋の取っ手に、結びつけた。
「純君。椅子から降りて。そして、ソファーにもどって」
純は、言われたように、椅子から降りて、ソファーに戻った。
純は心臓をドキドキさせながら京子を見た。
憧れの京子が、バスタオル一枚で片手を吊られているのである。
「純君。今まで、みんなの前で叱って、恥をかかせて、ごめんなさい。今日は、そのお詫びをします。私のみじめな姿をとっくり見て笑って下さい」
そう言って京子はバスタオルの胸の所の縒りを解いた。
体を巻いていたバスタオルがハラリと、とれ、床に落ちた。
美しいプロポーションの京子の一糸まとわぬ丸裸が顕になった。
「ああっ。恥ずかしい」
そう言って、京子は自由な左手で女の恥ずかしい所を隠した。
いじらしさから、乳房をも隠そうとしながら。
京子は、丸裸で、右手を、吊られて、左手一本で、女の秘所を必死に隠しているという、みじめ極まりない姿である。足元にバスタオルが落ちているが、拾うことは出来ない。
それは、エロティック極まりない姿だった。
純は興奮してソファーから、食い入るように京子を眺めた。
純の男は、とっくにビンビンに勃起していた。
「ああっ。純君。やっぱり恥ずかしいわ。見ないで」
京子が体をプルプル震わせながら叫んだ。
言われて、純は、京子を見ていた自分が恥ずかしくなって、さっと目をそらした。
「あっ。純君。いいの。恥ずかしくて、とっさに言ってしまったけれど、自由に見下して下さい。私は純君をいじめた罰を受けなくては、なりません」
「純君。くつろいでお酒とおつまみを食べながら、みじめな私をとっくり見て下さい」
言われて、純は、テーブルの上の酒を、コップに、ほんの少し注いだ。そして、それを飲んだ。うっ、と純は苦い顔をした。純は酒が飲めないのである。
「純様。冷蔵庫にジュースがありますから、お酒が駄目なら、ジュースをお飲みになって下さい」
言われて純は立ち上がってダイニングに行った。冷蔵庫には、オレンジジュースがあったので、それを持ってソファーに戻ってきて座った。
「じゅ、純様。今まで純君を、いじめてきた罰として、今日は、私は純君の奴隷になって、純様に、いじめ抜かれます。今日は、純君を、純様と言います。さあ、くつろいで、おつまみを食べながら、みじめな私を見下して下さい」
京子は丸裸で左手で、必死に秘部を隠しながら言った。
「じゅ、純様。私が、純様のいじめに耐えられなくなって、許しを求めても、どうぞ、かまわず、いじめつづけてくださいね。何をなさっても、かまいません。さあ、どうぞ、いじめて下さい」
純は、言われたように、テーブルの上にあるサラミや、チーズを食べてジュースを飲みながら、裸で吊るされている京子を眺めた。京子は左手一本で、胸と秘部を隠そうとしている。悩ましい姿である。その姿を見ているうちに、純はだんだん、興奮してきた。もう純は京子の裸を直視する事に、なんら躊躇いを感じなくなっていた。
純は自分の携帯をカバンから取り出すと京子に向けて構えた。
「京子先生。申し訳ありません。お言葉に甘えさせてもらって、先生の写真を撮らせていただきます」
「ああっ。許して下さい。純様。それだれは」
「ごめんなさい。でも、先生の姿、美しくて素晴らしいです。僕、どうしても、先生の、その姿を撮っておきたいんです」
そう言って純は撮影ボタンを押した。
カシャ。
撮影音が鳴った。
純は、撮った写真を見て微笑して、カチャカチャと携帯を操作した。
「な、なにをしてるの」
「写真を添付したメールを僕のパソコンに送るんです。そうすれば、安全です」
「や、やめてー。そんな事。それだけは許して」
京子は叫んだが、純はかまわず、写した写真を添付したメールを自分のパソコンに送った。
「やった。これで安心だ」
純は歓喜して言った。
片手を吊られ、残りの片手で裸を隠している京子の恥ずかしい姿が、純のパソコンに送られてしまったのである。
「ああー」
京子は、苦しげに眉を寄せて叫んだ。
純に写真を、どう悪用されるか、わからないのだ。京子は、一生、純におびえて生きなくてはならなくなったのである。
京子は、足元にあるバスタオルを足で持ち上げた。そして、胸の所で手でギュッと押さえた。
京子の裸の体の前はバスタオルによって隠された。だが前だけである。後ろは純の位置から見えないだけで、丸裸なのだ。
「ふふ。京子先生。その姿も、とてもセクシーで、いいですよ」
純は、余裕の口調で揶揄した。
「純様。お願いです。こわい事は、お許し下さい」
京子は、バスタオルを手でギュッと握って哀願した。
「僕の言う事を聞くなら、写真を消去することも考えます」
「は、はい。何でも純様の言う事を聞きます」
純はニヤリと笑った。
純は立ち上がって、京子の机から京子のノートパソコンを持ってきた。そしてノートパソコンをソファーの前の机に置いた。
京子は、何をするのだろう、という不安な表情で見ている。
「京子先生。先生が使っている銀行は、どこの銀行ですか」
「み、三井住友銀行です」
「先生のネットバンキングのカードは、どこにありますか」
「つ、机の引き出しの二番目の財布の中にあります」
純は、また立ち上がって京子の机の所に行き、ネットバンキングのカードを持ってきた。
純はパソコンの電源を入れて、インターネットを開いた。
そして、三井住友銀行のホームページを出した。
「京子先生。先生のパスワードを、教えて下さい」
「き、聞いてどうするの」
「僕の言う事には何でも従う、と言ったじゃないですか」
「612345です」
言って、京子はガックリ首を落とした。
純はログインしてニヤッと笑った。
純はカチャカチャとパソコンを操作した。
「な、何をしているの」
京子が不安げな顔つきで聞いた。
だが純は答えない。パソコンをカチャカチャと操作している。
「出来た」
純は、得意げな口調で言った。
「な、何をしたの」
「先生の口座から、僕の口座にお金を振り込んだんです」
「ああっ」
京子は真っ青になった。
「お願いです。純様。怖い事はお許し下さい」
「安心して下さい。20万円、振り込んだだけです。これで、先生の写真を消す事も考えておきます」
「は、はい。純様。20万円は、差し上げます。ですから、どうか、写真は消去して下さいね」
「それは、先生の態度次第です」
京子はペコペコ頭を下げて頼んだ。
純は、ふふふ、と、笑った。
「あ、あの。純様・・・」
京子は、言いかけたが、途中で顔を真っ赤にして、黙ってしまった。
「何ですか。京子先生」
純は、ことさら礼儀正しい口調で聞いた。
「あ、あの。押入れのダンボール箱があります。その中に、色々なオモチャがありますから、それを、どうぞ、ご自由に使って、私を好きなようになさって下さい」
言って京子は、真っ赤になった。
純はニヤリと笑って、立ち上がり、押入れを開いた。
京子が言った通り、ダンボール箱があった。
純は、ダンボール箱を持って戻ってきた。
引き出しには、色々な、怪しげな物が入っていた。
麻縄、蝋燭、イチジク浣腸、バイブレーター、自縛手引き書、SM写真集、などである。
純は、ふふふ、と、勝ち誇ったように笑った。
「ふふふ。京子先生はマゾだったんですね。今まで、自分で縛って、被虐の快感に浸っていたんですね。僕をことさら厳しく叱っていたのも、今日のためだったんですね」
純は、自縛手引き書をパラパラめくりながら言った。
だが、京子は答えない。黙って、顔を真っ赤にしている。
「京子先生。僕の質問に答えて下さい」
純は厳しく問い詰めた。だが京子は黙っている。紅潮した顔をそむけて、裸の体を隠すバスタオルを胸の所で手でギュッと握りしめている。
「ふふ。京子先生。恥ずかしくて答えられないんですね。わかりました。では、ご要望にお答えして、京子先生をうんと辱しめてあげます」
そう言って純は立ち上がり、バスルームにあった等身大の姿身の鏡を京子の後ろの壁に立てかけた。
そして、再び、ソファーに戻ってドッカと座った。
「ふふ。京子先生。前は見えませんけれど、後ろが鏡で丸見えですよ。ムッチリしたお尻と、お尻の割れ目が丸見えですよ」
純はニヤリと笑って言った。
「ああっ。いやっ。見ないで」
京子は真っ赤になって叫んだ。
だが、どうすることも出来ない。
純は、引き出しの中からペニスバンドのような物を見つけた。
だが、よく見てみると、それはペニスバンドではなかった。それは、男の形の物を女の穴の中に埋め込んで、女の体に固定するものだった。「女泣かせ」と、書いてある。
純は、引き出しの中にリモコンのスイッチのようなものを見つけた。
スイッチを入れると、ブイーンという細かい振動音がして、男の形の物が、気味悪く、小刻みに振動しながら、くねりだした。
純はニヤリと笑った。
純は、それを持って、バスタオルで必死に体を覆っている京子の所へ行った。
純は縄をゆわえてある取っ手から縄をほどいて、少しゆるめてから、また、取っ手に結びつけた。吊るされている京子の右手の緊張が少し緩んだ。
京子は、どうしてそうされたのか、わからない、といった表情である。
「さあ。京子先生。両手を吊るしますから、左手を上げてください」
そう言って、純はバスタオルをギュッと押さえている京子の左手をつかんだ。
だが、京子は顔を真っ赤にして、バスタオルをギュッと握っている。
「安心して下さい。恥ずかしい所は見えないよう、ちゃんと隠しますから」
そう言って純はニヤリと笑った。
「さあ。手をあげてください」
純は、強引に京子の左手を引っ張り上げた。
今まで、裸を覆っていたバスタオルがハラリと落ちて、京子の体が丸見えになった。
「ああっ。いやっ」
京子は、とっさに足をピッチリと閉じ合わせた。
京子の、そこの毛は、きれいに剃られていて、割れ目がクッキリと見えた。
少女のようである。
「ふふ。京子先生。自分で剃って楽しんでいたんですね」
言われて京子は、真っ赤になった。
純は、京子の左手を、もう片方の手錠にはめた。
両手に手錠をかけられて吊るされて、これでもう、京子は裸を隠すことが出来なくなった。
京子の裸は丸見えである。
京子は、女の恥ずかしい所を見られないよう、必死に腿を寄り合わせている。
「ふふ。京子先生。そう、恥ずかしがらなくても大丈夫ですよ。恥ずかしい所はちゃんと隠しますから」
そう言って、純は、裸の京子の前に屈んで、「女泣かせ」を手にした。
「さあ。京子先生。これを、取り付ければ、恥ずかしい所は隠せます。足を開いて下さい」
そう言って、純は京子の腿をポンと叩いた。
京子は、言われて、そっと足を開いた。
純はニヤリと笑って、男の形の物を、京子の女の部分に当てた。
「さあ。京子先生。入れますよ」
そう言って、純は、男の形の物をグイと力を込めて押しつけた。
「あっ。いやっ」
京子は、眉を寄せて、叫んだ。
しかし、純はグイグイ押しつける。
とうとう、男の形の物は、するっと京子の体の中に入った。
「ああー」
京子は、反射的に、声を上げた。
一度、先端が入った後は、スルスルと抵抗なく、男の大きな形の物が、あたかも飲み込むように、容易に入っていった。純は男の形の物を、付け根まで、入れた。
「す、すごい。こんな大きな物が入っちゃうなんて」
純が、驚嘆して言うと、京子は真っ赤になった。
純はT字型の革ベルトを京子の腰に、しっかり取り付けた。
TバックのTフロントの革ベルトである。
確かに、男の物を固定するための革ベルトは、かろうじて女の部分を隠している。
しかし、縦のベルトは、きびしく尻の割れ目に食い込んで、ムッチリした尻は丸見えである。
仕事がおわると、純はソファーにもどって、ドッカと腰かけた。
「どうです。京子先生。恥ずかしい所は見えませんよ」
「でも、お尻は、鏡で丸見えですけど・・・」
「先生は一人の時、これを自分で取り付けて振動させて、遊んでいたんですね」
純が言ったが、京子は顔を赤くして首を振った。
「ち、違います。それらのオモチャは、誰かが小包で郵便で私に送ってきたんです。ですから、その変な物を使ったことはありません」
「じゃあ、どうして捨てないんですか」
京子は答えられず黙ってしまった。
「やっぱり、誰かが送ってきたなんてウソですね。京子先生が、自分で買ってきて、遊んでいたんですね」
京子は顔を赤くして、黙っている。
「そう恥ずかしがる必要はないですよ。こういう物は江戸時代からあって、男のいない女が、自分を慰めるために使っていたんですから」
純は得意げな口調で言った。
「でも、それは自分でやったのでは、辛くなったら、いつでも止められますね。それは、男が女に取り付けて女を責める物です」
純は得意げに続けて言った。
「先生。先生の姿、とてもセクシーで素敵ですよ。写真に撮っておきましょう」
そう言って純は箱からデジカメを取り出して京子に向けた。
「ま、待って」
京子が叫んだ。
「何ですか。先生」
「あ、あの。お願いがあるんです」
「どんなお願いですか」
「め、目隠しをして下さい。箱の中にアイマスクがあります」
純はニヤリと笑った。
「そうですね。目隠しすれば、顔は隠せますからね」
純は箱の中のアイマスクをとって、京子に近づいた。
「じゃあ、目隠しをしますよ」
そう言って純は京子にアイマスクをかけた。
そして、再び、ソファーにもどった。
そして、毛筆を持って裸で吊るされている京子に近づいた。
京子は目を隠されているため、純が何をしているか、わからない。
それが京子の恐怖心を煽った。
「あっ」
京子は、とっさに声を上げた。
毛筆がスッと京子の腹に触れたからである。
「な、なにをするの」
「ふふ。京子先生の目隠しされている姿を見ていたら、筆でくすぐって、悪戯したくなっちゃったんです」
そう言って、純は京子の腹を筆でスッ、スッとなぞった。
「ああ。やめて。純君。くすぐったいわ」
京子は訴えたが、純は無視して、毛筆を京子の腹に這わせつづけた。
「でも、お腹は、そう、くすぐったくないでしょう。脇とか首筋とか、は、くすぐりませんから安心して下さい」
そう言って、純は京子の腹を筆でスッ、スッとなぞった。
ある程度、筆で京子の腹を刷いた後、純は京子の背中に廻って、京子の背中を筆でなぞった。
「ふふ。京子先生。ムッチリしたお尻が丸見えで、とてもセクシーですよ」
「い、いやっ。は、恥ずかしいわ。見ないで」
純が揶揄すると、京子の尻がピクンと動いた。
「もう、これで満足しました」
京子の背中を少し、なぞってから純は、そう言って、ソファーにもどった。
「京子先生。先生のセクシーな姿を写真に撮らせていただきます」
そう言って、純はデジカメを、裸で吊られている京子に向けた。
京子は、顔を赤くして、黙っていた。
嫌がる様子は無かった。
恥ずかしい裸の写真を撮られても顔は目隠しされていてわからないのである。
これなら、写真を撮られても、安心である。
それが京子を安心させたのだろう。
「京子先生。先生は目隠しされているのですから、誰だかは、わかりません。安心して下さい」
純は、ことさら京子を安心させるように、言った。
カシャ。
デジカメの撮影音が鳴った。
カシャ。カシャ。
純は、さらにつづけて数枚、撮った。
純はニヤリと笑って、バイブレーターのリモコンスイッチを入れた。
ブイーンという細かい振動音が鳴り出した。
「ああー」
京子は体をくねらせて叫んだ。
京子の体の中で男の形の物が動き出したのである。
だが、京子は両手を吊られているため、どうする事も出来ない。
京子は、腿をピッチリ閉じてプルプル震わせている。
「ふふ。どんな気分です。京子先生」
純は、ふてぶてしい口調で聞いた。
「お、お願い。やめて。純君」
京子は哀切的な口調で訴えるように言った。
純は、ふふふ、と、笑ってバイブレーターのスイッチを止めた。
バイブレーターの振動音が止まった。
「お、お許し下さり有難うございます」
京子は、肩で、はあはあ、呼吸しながら、腿をピッチリ閉じて言った。
「京子先生。疲れたでしょう」
そう言って、純はペットボトルのオレンジシュースを持って京子の所へ行った。
「さあ。先生。咽喉が渇いたでしょう。顔を上に向けて、口を開いて下さい」
言われて、京子は顔を上に向けて、口を開いた。
純は、京子の口にオレンジジュースのペットボトルの先を逆さにして入れた。
京子は、眉を寄せて、んぐんぐ、苦しそうにジュースを飲んだ。
ペットボトルのジュースの水位が、どんどん減っていった。
とうとうペットボトルは空になった。
純が京子の口からペットボトルを引き抜くと、京子は、呼吸を止めていた苦しさから開放されて、プハー、と、何回も深呼吸した。
「京子先生。おいしかったですか」
純は慇懃無礼な口調で言った。
「は、はい」
京子は顔を赤くして、小声で答えた。
目隠しされているため、京子は純が、どんな表情か、わからない。
それが、京子の恐怖心をつのった。
純は、裸で吊るされている京子をまじまじと見ているのである。
京子は、恥ずかしさから、腿をピッチリ閉じ、吊るされている両手の親指をギュッと握りしめて恥ずかしさに耐えた。
純が、どんな顔で自分を眺めているかと思うと京子は耐えられない思いになった。
「ああー」
突然、京子は、悲鳴を上げた。
京子の無防備な状態の豊満な二つの乳房に、いきなり、背後からピタリと両手が貼りついてきたからである。京子は、両手を吊られているため、どうする事も出来ない。乳房に貼りついた触手は、だんだん、柔らかい弾力のある乳房を、ゆっくり揉みはじめた。
「ああっ。やめて。純君」
京子は、体を揺すって叫んだ。
だが、触手の動きは、止まらない。
触手は、柔らかい乳房を思うさま楽しむよう、揉みしだき、乳首をキュッと摘んだりした。
「ああっ。やめて。純君。こわいわ」
京子は叫んだ。だが、返事は返ってこない。
目隠しされているため、京子は何も見えない。
暗闇の中で、物言わず、乳房に吸いついている触手は、京子の恐怖心を激しく煽った。
しばしすると、乳房にまとわりついていた触手が、ようやく離れた。
京子は、ほっとした。だが、それも束の間。
今度は、京子のムッチリした尻に触手がピタリと吸いついた。
「ああっ」
京子は悲鳴を上げた。
触手は、京子の弾力のある尻を撫でるように、思うさま、這い回った。
そして触手は、ピッチリ閉じ合わさった京子の尻の割れ目に入り込むと、グイと割れ目を押し開いた。
「ああー」
京子は悲鳴を上げた。
尻の割れ目には革ベルトが、Tバックのようにピッチリ取り付けられているので、女の恥ずかしい所はそれによって、かろうじて隠されている。
しかし、それは覆いというには、あまりにも小さい。
ほとんど裸と同じである。
触手は、尻の割れ目から、女の谷間の辺りを、念入りに、不気味に這い回った。
「ああー」
京子は悲鳴を上げた。
しかし触手は、容赦せず、女の恥ずかしい所を、その柔らかい感触を楽しむかのごとく、執拗に這い回った。あたかも痴漢の手の如く。
触手は、次に尻からつづく太腿へと移って行った。
触手は弾力のある太腿を、その感触を楽しむかのごとく念入りに這い回った。
「じゅ、純君。な、何か言って。こ、こわいの」
京子は、すがるような口調で訴えた。
だが、返事は返ってこなかった。
そのかわり、太腿を這い回っていた触手が離れた。
京子は、ふう、と、大きく呼吸した。
が、それも束の間。
両手を吊り上げられて、丸出しになっている無防備な脇の窪みに、ピタッと触手が触れたのである。
「ああー」
京子は悲鳴を上げた。
だが、触手は容赦なく無防備な脇の窪みをくすぐり出した。
「ああー。や、やめてー」
京子は体を激しく揺すりながら叫んだ。そこは、体の中でも一番くすぐったい所である。両手を吊られているため、逃げようがない。
「ああー。や、やめてー。純様。そこだけはお許し下さい」
京子は体を激しく揺すりながら叫びつづけた。
「む、鞭打って下さい。いくらでも。そのかわり、そこをくすぐるのだけは、止めて下さい」
京子が、そう言うと京子の脇の窪みをくすぐっていた触手は、スッと京子から離れた。
「お許し下さり有難うございます。純様」
京子は、はあはあ、肩で荒い呼吸をしながら、許しが聞きいれられた感謝を言った。

純は、ソファーにもどって、ドッカと座った。
京子から離れる足音とソファーがしずむ音で、それは京子にもわかった。
しばしして、カシャ、カシャっとデジカメの撮影音が鳴った。
「じゅ、純様。御満足のいくまで、いくらでも写真を撮って下さい。そのかわり腋の下のくすぐりだけはお許し下さい」
京子は訴えるように言った。
「京子先生」
「はい。純様。何でしょうか」
京子の言葉には、多少、喜びが含まれていた。
今まで、何を言っても返事が無い物言わぬ無言の責めから、はじめて純が言葉を言ったからである。
「京子先生。京子先生を触ったのは僕じゃないですよ」
京子は、クスッと笑った。
「純君。そのウソは、ちょっと見え透いていすぎるわよ」
京子の態度に少し、余裕が出てきた。
「本当です。僕は、とても京子先生の体を玩ぶような事なんて、恐れ多くて出来ません」
「じゃあ、誰なの」
京子は居丈高に言った。
「僕の友達です」
「どうして純君の友達なの。この部屋にいるのは、私と純君の二人だけじゃない」
京子はゆとりの口調で言った。
「僕は彼に携帯でメールを送ったんです。今、京子先生が目隠しされて裸で吊るされているから、来ないかって。そしたら、直ぐ行く、というメールが来て、彼が来たんです。僕はそっと戸を開けて彼を部屋に入れたんです。彼は、忍び足で音をたてないよう部屋に入ってきて、京子先生を見つけるとホクホクした顔つきで、先生の体を触りまくってから、また忍び足で去って行ったんです」
京子は、うぐっ、と声を洩らして困惑した顔つきになった。
純の言っている事がウソだと証明できないからだ。
純はつづけて言った。
「京子先生もいつも言っているじゃないですか。学問では、きちんと証明できないものを安易に決めつけてはいけないって」
京子は言い返せないで困惑した表情である。
その時、ブイーンという細かい振動音が鳴り出した。
純がバイブレーターのリモコンスイッチを入れたのだ。
「ああっ」
京子は、叫び声を上げてブルブルと激しく体をくねらせ出した。
純はニヤニヤ笑って、悶える京子を眺めた。
しばしして、純はリモコンのスイッチを切った。
ブイーンという振動音が止まった。
京子は肩で、ふうふう、言いながら、腿をピッチリ閉じている。
男の物は、純がスイッチを入れると、それは、京子の体の中で、気味悪く、くねりながら、細かく振動して京子を悩ませるのである。
京子は、はあはあ、と肩で息をしながら、一休みしている。
純は、ニヤリと笑って、再びリモコンのスイッチを入れた。
ブイーンという、振動音が、また、鳴り出した。
「ああっ」
京子は、また、叫び声を上げて、ヨロヨロよろめきながら、ブルブルと激しく体をくねらせ出した。
純はニヤニヤ笑って、悶える京子を眺めた。
純はデジカメを悶える京子に向けた。
「京子先生。先生の悶える姿、とっても魅力的ですよ」
そう言って、純は裸で吊るされてバイブレーターのレザーをつけて、悶えている京子を撮った。
カシャ、カシャとデジカメの撮影音が鳴った。
「京子先生。安心して下さい。先生は目隠しされていますから、先生だとわかりませんよ」
そう言って、純はバイブレーターのスイッチを入れては、悶える京子を撮った。
しばしして、純はリモコンのスイッチを切った。
京子は肩で、ふうふう、言いながら、哀しそうな瞳を純に向けた。
「純君。お願い。やめて」
京子は、切実な口調で訴えた。
「じゃあ、レザーをとりましょうか」
純は、ふてぶてしい口調で言った。
京子は、黙って答えない。哀しそうな瞳を純に向けている。
レザーをとったら、恥ずかしい所の覆いがなくなってしまうのだ。
純は、京子が落ち着きだすと、スイッチを入れた。
「ああっ」
京子は、喘ぎ声を上げながら、体を激しくくねらせた。
「やめて。純君。スイッチを入れないで」
京子は、耐えかねたように叫んだ。
純はニヤリと笑った。
「先生。このオモチャ面白くて、僕、どうしても悪戯したくなっちゃうんです。それで考えたんですけど、レザーをとりますから、その代わり股縄をする、というのは、どうでしょう。股縄をすれば恥ずかしい所は、何とか見えませんよ」
純は含み笑いして言った。
京子は顔を赤くして黙っている。
純は再びリモコンスイッチを入れた。
「ああっ」
京子は、叫んで、体をくねらせた。全身、汗まみれである。
「わ、わかりました。股縄をして下さい。で、ですから、どうか、バイブを外して下さい」
純はニヤリと笑ってスイッチを切った。
京子は、はあはあ、と肩で大きく息をしている。
純は縄を持って京子に近づいた。
「先生。では、バイブレーターを外します」
そう言って、純は京子の腰に取り付けられている革ベルトを取り外した。
京子を悩ましていた男の形の物を引き抜くと、それは、グッチャリと濡れていた。
「うわー。すごい。先生、感じちゃってたんですね」
純は、ことさら、驚いた口調で言った。
京子は顔を真っ赤にした。
京子の女の毛は、きれいに剃られているため、女の恥ずかしい割れ目は、丸見えである。
京子は太腿をピッチリ重ね合わせて、何とか見られないようにしている。
しばしたったが、何も起こらない。
もしや、このまま丸裸にされたままにされるのか、という恐怖が京子に起こった。
「じゅ、純君」
「はい。何ですか」
あ、あの、と言って京子は顔を真っ赤にして言った。
「あ、あの。ま、股縄をするんでしょ」
言って、京子は真っ赤になった。
純はニヤリと笑った。
「わかりました。では、股縄をします」
そう言って、純は縄を二本にした。そして京子のくびれたウエストにしっかり巻きつけた。
縄の結び目は京子の臍の下にある。
「さあ。先生。しっかり足を開いて下さい。縄がちゃんと割れ目に通るようにしますから。そうすれば、恥ずかしい所は隠せますよ」
純に言われて、京子は、顔を真っ赤にして、そっと足を開いた。
純は、京子の閉じ合わさっている女の襞を広げ、その間に二本の縄を通した。
そして、尻の割れ目に食い込ませて、ギュッときつく縄を引き絞った。
「ああー」
京子は悲鳴を上げた。
純はニヤリと笑って、引き絞った縄を、腰縄にカッチリと結びつけた。
純は、パンパンと手を払って、ソファーにもどった。
京子は再び腿をピッチリ閉じ合わせた。
「ふふ。京子先生。とってもセクシーですよ。恥ずかしい所は縄で隠されて、見えませんよ」
純が揶揄すると、京子は、ぽっと顔を赤くした。
股縄だけされた、ほとんど丸裸の姿を純がじっと見ていると思うと京子は羞恥に耐えられない思いになった。
「どうです。股縄の感触は」
言われて京子は顔を赤くした。
股縄は京子の恥ずかしい割れ目をきびしく締めあげている。
京子がピッチリ尻を閉じ合わせているので、縄が尻の中に埋まって、尻は何もつけていないのと、ほとんど同じに見える。
カシャ。カシャ。
デジカメのシャッターが切られる音がした。
「京子先生。すごくセクシーな姿ですよ。写真に撮っておきます。顔は目隠しで隠されてわからないから、安心して下さい」
そう言って、純は、後ろに回ったりして、何枚も、股縄だけの京子の裸の姿を撮った。
「さあ。京子先生。そう、足を閉じていないで、開いて下さい」
言われて京子は、そっと足を開いた。
純の言った通り、顔は見えないから、誰だかはわからないのだ。
女は自慢の体を見られたい、という露出願望があり、京子にも、それが起こっていた。
カシャ。カシャ。
デジカメのシャッター音が鳴った。
「いいですよ。その姿」
そう言って、純は、色々な角度から股縄だけの裸の京子を撮った。
「じゃあ、そろそろ目隠しをとりましょう」
そう言って純は、京子のアイマスクを、そっと、とった。
京子は、そっと目を開いた。
目の前には、純がデジカメを持って京子をしげしげと眺めている。
瞬時に京子に羞恥が襲ってきて、京子は真っ赤になって顔をそむけた。
目隠しは、純の視線を遮って羞恥に耐える役割も果たしていた。それが、もう、無くなってしまったのである。
その時。純はニヤリと笑って、デジカメを京子に向け、シャッターを切った。
「ああっ。やめてっ。純君」
京子は、とっさに叫んだ。
目隠しがないから、もろに京子の顔が写った京子の裸が撮られてしまったのである。
やめてー、と叫ぶ京子を無視して純は、何枚も素顔の京子のヌード写真を撮った。
純は、もう、十分撮って満足したように、デジカメをテーブルの上に置いた。
「京子先生。お腹を見て下さい」
言われて京子は、顔を下に向けて、腹を見た。
「いやー」
京子は悲鳴を上げた。
京子の腹には、墨汁で、「私はマゾ女、佐藤京子」と、書かれてあったからである。
純が京子に目隠しして、筆で腹をくすぐったが、あれは、くすぐり、ではなく、筆に墨汁をつけて、京子の体に、こう書いていたのだ。
京子は真っ青になった。今まで、目隠しされた状態で写真を撮られてきたので、素性はわからない、という安心があった。しかし、これでは、もう、おしまいである。
バイブで悶える姿、股縄の姿、すべて写真に撮られてしまったのである。
「お願い。純君。写真を消して」
京子は、股縄のみじめな姿で訴えた。
「ごめんなさい。京子先生。消すにはあまりにも美しい姿です。美は京子先生、個人の物ではありません。世界の共通財産です」
そう言って、純はデジカメで撮った写真を京子のパソコンに入れて、自分のパソコンに送った。これで、もう、京子は、どうしようもなくなった。しかも、目隠しをとった京子の素顔が写っている写真まで、撮られて、送られてしまったのである。
「じゅ、純君。写真は、一人で見るのにとどめてね。ネットに出さないでね」
京子はペコペコ頭を下げて哀願した。
「はい。前向きに考えたいと思います」
純は政治家の答弁のような言い方をした。
京子はガックリと力尽きて項垂れてしまった。
「先生。股縄がつらいでしょう。もう、はずします」
純が言ったが、京子は、もう何をされても抵抗する気力も無いという様子である。
純は股縄を外した。
これで、京子は、覆う物、何もない丸裸になった。
純は、箱にあったピンク色のハート型の二プレスを持ってきて、京子の女の所に貼った。
「ううっ。セクシーだ」
純はそう言ってデジカメで、丸裸で女の恥ずかしい所だけをハート型のニプレスがつけられている京子を写真に撮った。
純は、京子の衣装箪笥の所へ行って、開いてゴソゴソ漁った。
セクシーなピンクのパンティーとブラジャーがあったので、それを持ってきた。
純は、まずブラジャーを京子の豊満な乳房に取り付けた。
ブラジャーとニプレスという、みじめな姿の京子を純はデジカメでカシャリと写真に撮った。
「すみません。京子先生。悪い事とは、わかっているんですけど、あまりにも美しいので、撮ってしまいました。ごめんなさい」
純が、謝っても京子は、もう、諦め切っているといった様子で黙っている。
「じゃあ、ちゃんとパンティーもつけます」
そう言って、純は女の部分に貼ってあるハート型のニプレスをとった。
純は京子のパンティーを京子の足元に置いた。
そして、京子のパンティーを京子の片方の足に通した。
「はい。先生。もう片方の足も通して」
言われて京子は、黙って、もう片方の足をパンティーに通した。
京子は、まるで着せ替え人形のようである。
純は、両足の通ったパンティーをスルスルと引き上げていった。
が、ちょうど、女のYの字の部分に来た時、純はパンティーを離した。
パンティーは、弾力で落ちない。女の部分は、かろうじてパンティーによって、隠されている。が、尻は丸出しである。それは、履く途中というより、脱がされ始めたようにしか見えない。
純は、再びデジカメを京子に向けて、カシャリと、みじめな京子の姿を写真に撮った。後ろに廻って、丸出しの尻も撮った。
「ごめんなさい。先生。悪い事とはわかっているんですけど、先生があまりにも美しいもので撮ってしまいました」
そう言って純は、デジカメでとった写真を京子のパソコンに移して、自分のパソコンに送った。純は、京子の所に行きパンティーを完全に引き上げて、腰の所でピチンと音をさせて離した。
これでもう、京子はパンティーとブラジャーをつけて、恥ずかしい所は完全に覆われた。
純はフレアースカートと開襟シャツを持ってきて、吊られている京子にフレアースカートを履かせた。
「長い間、吊られて、つらかったでしょう」
そう言って純は、取っ手に結び付けられている縄尻を外した。
そして、ゆっくりと引き下げていった。
それにともなって、京子の体は下がっていった。
ついに、京子の重たい尻が床についた。
純は、京子の手錠をはずした。
長い間、吊られていたため、京子の手首には手錠の跡がクッキリついていた。
純は京子の片手に開襟シャツを通し、もう一方の手にも通した。
そして、シャツのボタンを一つずつ閉めて、シャツの下をスカートの中に入れた。
これでもう、京子は完全に普通の姿にもどった。
京子はグッタリと床に倒れた。
拷問を受けた後の人のように。
もっとも、拷問を受けた、といっても、何ら間違いではない。
純は京子を抱き上げて、ベッドに連れて行って、ベッドに寝かせた。
純は、長い時間、吊るされていた、京子の足や手を、按摩のように揉んだ。
京子はベッドにうつ伏せになって、純に身を任せている。
「京子先生。ごめんなさい。ワルノリしちゃって」
「いいの。私が純君に誘った事だもの。でも、写真はネットに出さないでね。お願い」
「はい」
純は素直な口調で言った。
「先生。お金は返します」
「ありがとう」
ようやく京子は落ち着ちつきを取り戻してきた。

「先生。今日は、有難うございました。そろそろ帰ります」
そう言って純は立ち上がろうとした。
「純君。ビーフシチューをつくるから食べていって」
「はい」
京子は立ち上がってキッチンに行った。
京子は冷蔵庫から牛肉を取り出して切って、ビーフシチューをつくった。
「純君。出来たわよ。来て」
京子に呼ばれて、純はキッチンに行った。
食卓には、ビーフシチューと御飯とサラダが用意されていた。
純は食卓についた。京子も純と向かい合わせに食卓についた。
「さあ。純君。食べて」
「ありがとうございます。いただきます」
そう言って純は食べた。
「京子先生。最高においしいです」
純は肉を噛みながら笑顔で言った。
「ありがとう」
京子も嬉しそうに微笑んだ。
「あ、あの」
と言って、京子は言いためらった。
「純君。今日の事、誰にも言わないでね」
京子は顔を赤くして小さな声で言った。
「はい」
純は元気に答えた。
「純君。ごめんね。変な事をさせちゃって」
「い、いえ。とんでもありません」
「どうだった」
「あ、あの。す、すごく興奮して楽しかったです」
京子は真っ赤になった。
食事がおわった。
京子は、車で送る、と言ったが、純は、先生は疲れているからいいです、電車で帰ります、と言って京子の部屋を出た。

  ☆   ☆   ☆

翌日。京子は、昨日の事など無かったかのように、皆の前で厳しく純を叱った。
「駄目じゃない。このカルテの記載」
そう言って、京子は純の頬っぺたをピシャリと叩いた。
「ご、ごめんなさい」
純は以前と同じようにペコペコ頭を下げて謝った。

人がいなくなった時に、京子はそっと純の耳に口を寄せた。
「純君。今週の日曜もまた私のマンションに来てくれる」
京子は顔を赤くして小声で言った。
「はい」
純はニコリと笑って元気に答えた。

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夏の思い出(小説)

2015-07-03 06:25:14 | 小説
夏の思い出

高一の夏休みのこと。午前中に一学期の成績発表と終業式があって、それがおわり、寮で帰省のためオレは荷物をまとめていた。「夏休みは自由の天地」とはよく言ったものだ。別にオレはどこか旅行へ行くとか、の具体的な目的などなかった。ただ集団の拘束から解放されることが、集団嫌いのオレにとっては一番うれしかった。その時だった。机の向こうから同級のHが言った。
「おい。XX。8月10日こいよな。」
オレは反射的に
「しらねえよ。そんなのシカトだよ。」
と言った。するとヤバイことにそこにたまたま室長のGがいた。
「ダメだよ。シカトなんて認めないよ。」
とGは言った。オレは内心舌打ちした。
(Hのバカ。よけいなこと言いやがって。だまってりゃシカトできたのに)オレは荷物をまとめて、そっと空気のように部屋をでた。西武線に乗り、池袋で山手線にのりかえた。だがGの一言が心にひっかかっていた。忘れようと努力するとよけい意識される。夏休みの間は誰にも、何物にも拘束されたくなかった。オレは内心、シカトすることとシカトしないことのメリット、デメリットを考えていた。やはりシカトすると二学期にGと顔をあわせるのが気まずくなる。小心なオレにはやはりそれはつらいことだった。
 ここで8月10日のオレにとってイヤなこと、とはこんなことである。学園の生徒は夏休みに、地域ごとに順番に、その地域の父母会の子供の夏休みの工作教室の指導をしていた。それが今回は神奈川県ということになった。Gがリーダーで、横浜地域の小学生が対象ということでHとオレとあと一年下の二人A、Bがその「指導」とやらの役になってしまった。どうして学園の生徒が・・・・と思うに学園は進学校ではないかわりに生活や技術の教育の学校と外部では見ているらしかったからだろう。何をつくるか知らなかったが、8月10日にそのオリエンテーションをして、8月20日が本番ということらしい。オレがいやだったのは夏休みの間は学園の人間とは顔をあわせたくなかった、のと、又そんな子供の工作教室に指導者ヅラするのがいやだったからだ。結局、行くとも行かないとも決めかねた状態での気分の悪い夏休みがはじまった。
 夏休み、といっても特にどこへ行く、ということも何をするということもなかった。ただ50mの市営プールで、午前中、人がこないうちに行って泳ぐことだけが唯一のたのしみだった。午後は家でグデーとすごした。何のへんてつもない平凡な日々だった。だが私は夏が好きだった。何をしなくても夏生きていることがうれしかった。夏休みには「自由」があった。だが今年は違った。8月に2回、学園の人間と顔をあわせなくてはならない。それがいやで心にひっかかっていた。
 とかくするうちに8月10日になった。オレはやむをえず行くことにした。やっぱり、行かなかったら二学期にGに会いづらい。オレは小心だった。
 二時に磯子駅で会うことになっていた。が、一時半に磯子駅についてしまった。まだ誰も来ていなかった。これは私にとってとても照れくさかった。私はいやいや行くのだから少し遅れて行ったほうがいい。しかたなく駅からポカンと外をみていた。磯子駅からは丘の上に大きな白いホテルがみえる。待つ時間というものはとても長く感じられる。次の電車でくるか、と思って駅につく電車を待っていた。彼らは三回目の電車できた。二時を数分過ぎている。Gは私を見ると、
「ほんと、かわったやつだな。」
と言った。駅をおりて、駅前の広場でしばし待っていた。駅前の大きな樹でセミがいきおいよく鳴いている。少しすると小学校六年くらいの女の子をつれたお母さん、がやってきた。Gは、そのお母さんにあいさつして少し話してから、座っていた我々の方をみてうながした。我々は立ち上がって電車にそった道を横浜の方へ歩きだした。彼女は今回の打ち合せの人なのだろう。女の子も工作教室にでるのだろうが、それにしても打ち合せにまでくるとは積極的な子だと思った。
 Gは、その子の母親と話しながら先頭を歩いている。少女はお母さんのうしろを歩いていたのだが、夏休みの小学生らしく、何かとても活き活きしている。私はうしろからだまってついていったのだが、どうも気になってしまう。工作の場所は磯子市の公民館の四階の一室だった。その時まで何を作るのか知らなかったが、どうやら二段重ねの本箱をつくるらしい。二枚の横板を、子供の好きなかたちに切って二段重ねにし、あと、横板の外側に子供が何か好きな絵を描く、ものをつくる、ということだった。電動ノコギリで横板を切るのだが、それが小学生では危ないから、我々がそれをやる、ということらしい。結局、電ノコで切ることのために我々が必要なのだ。Gは、電ノコの使い方を説明したあとで、電ノコで実際に板を切ってみせた。少女は一人、Gの説明を一心に聞いている。スカートが少し短くてつい気になってしまう。打ち合せにまでやってくるくらいだから、学校ではきっとリーダーシップをとるような子なのだろう。
 実をいうと私は彼女をはじめてみた時、ついドキンとしてしまった。何か言い表わしがたい感情が、私の心を悩ませていた。彼女の美しい瞳と、年上の中で少し緊張している様子と、普通の子なら、恥ずかしくてこないだろうに、あえてやってきた積極さ、が何か私を悩ませていた。それは短いながらも彼女といる時間がたつのに従ってますますつのっていった。私は惹かれてしまいそうになる自分の気持ちと惹かれてはならないと自制する気持ちに悩まされていた。自制しなくては、と思う気持ちはいっそう私を苦しめた。そんなことで、私はGの電ノコの使い方もいいかげんに聞いていた。またわざとまじめにきくことに反発していた。それに私は子供のころから機械いじりは得意だった。みなが電ノコで板を切った。さいごに私もやった。以外と電ノコは重く、力強く固定しなければあぶない。たしかに小学生では無理だと思った。全員おわると、Gは、
「それじゃあ20日の一時に。」
といって解散となった。みなはいっしょに話しながら帰った。私はみなより一足さきに部屋を出た。夏休みで、一番いやだったはず、だが、もう一回、あの子に会える、と思うと工作はいやながらも、20日には来ようと思った。
 それから又、午前中プールへ行き、午後は特に何もしないという日がつづいた。ある日の午後、国語の先生がすすめた夏目漱石の「三四郎」のはじめの部分をパラパラッと読んだ。たいへんダイタンな小説だと思っておどろいた。日本を代表する作家がかくもダイタンなストーリーをつくるものなのかと文学の自由さにおどろいた。私は手塚治虫の「海のトリトン」が好きで、トリトンのように海を自由に泳ぎまわれるようになりたいと本気で思っていた。私は平泳ぎはできたがクロールはできず、何とか美しいクロールを身につけたかった。
 翌日、私は電車で五つ離れたところにある病院に行った。私はある宿痾があり、二週に一度その病院に行っていた。病院からの帰り、私は病院の裏手から東海道の松林を抜け、海岸に出て、海沿いに駅まで輝く海をみながら歩くのが好きだった。ここは波が荒く、遊泳禁止だった。波がだんだんおそろしいうねりをつくる。ちょっとこわいが今度はどんな大きな波をつくるかが、波と戦っているようで、こわくもおもしろい。少し行くと遠あさで、波がおだやかなためにできている小さな海水浴場にでた。数人の男女が水しぶきをあげている。無心にたのしむ彼らの笑顔の一瞬の中に永遠がある。彼らは自分の永遠性に価値をおいていない。そのことが逆に永遠性をつくりだしてしまう。それは誰にも知られることのない、かげろうの美しさだ。私は松林を上がり駅に出た。
 8月20日がきた。一時からで、ちょうどで、遅刻はしていなかったが、もう、みんなきて、ちょうどはじまったところだった。少し気おくれした感じがする。Gは私をみると
「おう。あそこいって。」
といって左側の奥のテーブルをさした。全部で四テーブルで、各テーブルに小学生が4人から5人くらいだった。私は壁を背にした。あの子は左となりのテーブルにいた。まず、はじめに子供がどのようなかたちで横板を切るか、エンピツで線をひいている。そしてその線にそって我々が電ノコで切るのである。となりでは、あの子が一番はやく線をかいた。そのテーブルではHが担当していたので、彼女はHに切ることをたのんだ。Hは電ノコのスイッチを入れて切ろうとした。どうもあぶなっかしい。もっとしっかり板をおさえなくてはいけない。案の定、板に電ノコをあてたとたん、電ノコはガガガッと音をたててはじかれた。板に傷がついた。彼女は狼狽している。HはGによばれて電ノコの使い方をきかされている。(私はその時すでに、一人、自分のうけもちのテーブルの子が切ってほしいとたのまれたので、すでに二枚、板を切っていて、多少切り方のコツをつかんでいた。)V字だったので両方から切った。私は人とかかわりあいたくない性格なのに自分がうけもたされると精いっぱい相手の期待にこたえなくてはならない、と思う性格があるのを発見した。また、やってみてこうも思った。子供がひいた線を少しもはずしてはならない・・・と。
 となりのテーブルでは彼女が狼狽している。彼女の担当はHなのだから、彼女もHにたのむべきだとおもっている。しかし、彼女がHの技術に不安を感じているのは明らかにみえた。私は内心思った。
「私ならできる。」
私は彼女に、
「切ろうか。」
といいたかった。本当にいいたかった。しかし、それを私の方から言うことはできなかった。絶対できなかった。私は心の中で強い葛藤を感じながら、表向きは平静をよそおっていた。私が切りたく思ったのは、何も私でなくても他の誰でもいい。たった一度のことかもしれないが、この子は大人を信じられなくなる、のではないか。けっしてそんな経験をさせてはならない、と思ったからだ。
 その時だった。Gは
「切れる人はどんどん他のテーブルの人のでも切ってください。」
と言った。彼女は私の方にきて、
「切ってもらえませんか。」
と小さな声で言った。私は内心人生において絶頂の感慨をうけた。だが表向きは平静に
「ええ。」
と、さも自然そうによそおった。だが電ノコを板にあてた時、よろこびは瞬時に最高の緊張にかわった。彼女は不安そうに板をみている。彼女はゆるいS状のラインだった。私は板を力づよくおさえた。電ノコでの切り方には多少のコツがあることを私は前の経験から知った。それは、ミシン目が入ってる所をみるより多少先をみながら切っていった方がいいということだ。私は慎重に、1ミリもはずしてはならない、と自分にいいきかせて切っていった。外科手術の緊張さに近かった。切りおわった。彼女のひいたラインどおりにほぼ切れた。私は内心ほっとした。彼女は本当にうれしそうに笑顔で
「ありがとうございました。」
と言った。私もうれしかった。そののち私はまたもとのテーブルにもどった。
 工作教室は何とか無事おわった。二週間後、高一の夏休みがおわった。私にとってもっともいやだと思っていた、工作教室が私の夏休みにおいて(否、私の人生において)最もすばらしい思い出となった。二学期がはじまった。あれから三年たつ。その後の彼女を私は知らない。しかしきっと明るい美しい高校生になっていることだろう。彼女が友達とゆかいに話している姿が目にうかぶ。

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小児科医(小説)

2015-07-02 00:32:33 | 小説
小児科医

岡田さんは小児科医である。といってもまだ世間で言う医者の卵である。医学部の学生は卒業すると、すぐに全国共通の医師国家試験をうける。この試験は五者択一のマークシート形式で、大学入試のセンター試験と同じような感覚の試験である。この試験に通ると医師の資格が与えられる。こののち二年間、どこかの病院で指導医のもとで研修する。ほとんどは、母校の付属病院で研修する。岡田さんは小児科を選んだ。理由はきわめて明白で「子供はかわいい。子供が好き。」だからである。他に三人、同期の友人が小児科の医局に入局した。小児科の教授は母校出身の先生である。二年前に教授に就任した。この教授は、
「国家試験はおちる時はおちるんだから覚悟きめてけよ、それとインフルエンザには気ィつけろよ。」
と卒業試験の時、言ってくれた温かみのある先生である。岡田さんは5人の入院患者を担当することになった。指導医の指導のもとで毎日、採血、点滴、注射、カルテへの患者の病状記載、ナースへの指示の仕方、など実地の医療をおぼえるのである。彼女がうけもつことになったのは、若年性関節リウマチ、糖尿病、血友病、それと膠原病のSLEとなった。さっそく岡田さんは患者に自己紹介にいった。はじめは不安もあったが、
 「はじめまして。今度担当になりました岡田といいます。よろしくね。」というと、それまで退屈していた子供は、よろこんで反応してくれる。心が通じることは何より安心感を与えてくれる。自分が認められることにまさるよろこびはない。だが最後の一人は反応が違った。彼女の丁寧なあいさつにその子はプイと顔をそむけてパタンと横になってしまった。話しかけても答えてくれない。やむを得ずあいさつできないまま詰め所へもどった。
(かわいくないなあ。あの子。)
 その子(吉田さとる)はSLE(全身性エリテマトーデス)という膠原病だった。日光にあたると病気が悪化するためあまり外へでれない。入院してステロイド療法で症状をおさえているのである。ステロイドを使わないと腎臓の機能が低下してあぶない。そのためステロイド(プレドニソロン30mgくらい)の投与をつづけなくてはならないのだが、薬の副作用も強くでる。多量に使うと腹痛がでたり、顔の形もかわってしまい、そのため子供はその薬をのみたがらない。
 こんな状態ではじまった研修第一日目だった。午前中は外来で、午後は病棟で入院患者をみる。外来での診察手順は、眼瞼で、貧血、黄疸があるかを調べ、扁桃腺、頚部リンパ節の腫張の有無、それからねかせて、髄膜炎があるかどうか調べるため、項部硬直を調べ、ついで肝臓、脾臓の腫大の有無を調べる。
 小児科では同期で他に三人入った。学生時代からの親友でもあった。大学の近くに安くてうまい店があって、仲間は学生の時からよく行っていた。
 研修がはじまって一週間くらいたった。勤務がおわって、仲間は、そこにひさしぶりに寄った。他の仲間は、小児科はきつい、といったが、みな、生きがい、にもえていた。岡田さんも自分もそうだ、と言った。だが彼女の頭には、あの子の顔が浮かんできた。それをふり払おうと彼女はむりに笑った。彼女は学校時代からリーダー的存在だった。そんなことではじまった研修医生活だった。
 だが岡田さんが何を言っても吉田は無視する。どんなにやさしく接しても無視する。ある日の勤務がおわった時、岡田さんは、やけっぱちな気分になって、一人で飲み屋へ行って、やけ酒をガブガブ飲みながら、おやじにあたった。彼女は自分がどんなに誠実に一生懸命接しようとしても自分を無視する子供のことをはなした。
 「私もうあの子いや。」というと
 「そりゃーそのガキの方がわるいわ。岡田先生みたいにきれいで、わけへだてなく患者に真摯になってる先生を理由もなく無視して、いうことをきかないなんて。今度一回、いうこときかなかったら、ぶってやったらどうです。わたしにはよくわかりませんが岡田先生が低姿勢にしてるもんだから、そのガキ、つけあがってるんじゃないですか。先生の心のこもったおしかりなら、そのガキも少しは、あまえから目がさめるんじゃないですか。」
 岡田さんは自分にいいきかせるように、
 「そうよね。あまえてるんだよね。あの子。ありがとう。よーし。こんどひとつ、びしっといってやるわ。ありがとう。」
 「カンパーイ。」
 といって岡田さん、おやじとビール、カチンとやりゴクゴクッとのんだ。数日後のことである。検査でBUN(尿素窒素)、Cr(クレアチニン)が上がっていた。腎機能が低下していることがわかった。病室のごみ箱からプレドニソロンがみつかった。どうもあの子が薬をちゃんとのんでいないようだ。拒薬の可能性のある患者の場合、ナースが患者が薬をのむのをみとどけるのだが、患者は、口の中に錠剤をのこしといて、コップの水をゴクッとのんで、薬をのんだふりをしてみせて、錠剤をあとで吐き出すのである。
 岡田さんは吉田の病室に行った。吉田はゴロンとねころんでいる。岡田さんは吉田によびかけた。だが起きない。むりにおこして自分の方にふりむかせた。
 「さとる君。この薬すてたのさとる君?」
 ときいたが、吉田はプイと顔をそむけた。
 「この薬ちゃんとのまなきゃ死んじゃうんだよ。だめじゃない。」
 といっても吉田はふくれっつらしている。岡田さんは「ばかー。」といって吉田をぶった。
 だが、吉田はおこって反発することもしない。岡田さんは予想に反してガックリしたが、
 「さとる君。この薬ちゃんとのまなきゃだめだよ。」
 と、しかたなく言って去った。
 それから数日がたった。今度の検査ではBUN、Crとも下がった。もう病室からはプレドニソロンが捨ててあるということはなくなった。岡田さんは吉田が自分が吉田に薬を飲むようお願いして、吉田がそれをきいてくれたのだと思って少しうれしく思い、吉田の病室へ行った。
「さとる君。」
と言って岡田さんはうしろからはなしかけた。が、ふりむいてくれないので、まわって、
「この前はいきなりぶってごめんなさい。私をぶって。それでおあいこにしよう。」
と言って岡田さんは目をつぶって顔をだした。岡田さんは内心これで心が通じると思いながらまっていた。だがいっこうに反応がない。岡田さんが目をあけると吉田はいなかった。徹底的な無視。帰り、いつもの焼き鳥屋。
 「私もうあの子いや。あの子私をきらってる。何で?」
 と、おやじにきく。おやじは
「ウーン。私にもわかりませんね。その子の心が。」
 数日後のことである。岡田さんがほとほと思案がつきはててしまっているところ、病棟で、ある信じがたい光景をみた。吉田が一年上のあるドクターNとまるで兄弟のように手をつないで笑いあっているのである。まさに心をひらいている。そのドクターは頭が半分ハゲて、近眼で、足がわるく、足をひきずって、白衣もヨレヨレで、医局でも無口でコドクな存在だった。これは岡田さんにとってショックだった。あの子はだれにも心をひらかないのではなく、自分には心をひらいてくれないのだ。
 数日後岡田さんは吉田の病室に行って吉田に話しかけた。もう自分のどこがわるいのか、わからなくて吉田にきいて自分のわるいところを知ろうと思った。吉田はいつものようにゴロンとねていた。岡田さんはしょんぼりして
「私のどこがわるいのですか。何で私を無視するんですか。私のわるいところは直すように努力します。おしえてください。」と言った。
 吉田はしばしだまっていたが、はじめて彼女をみて、
 「別にどこもわるくねーよ。」と言った。
 岡田さんははじめて吉田から返事をうけて、わからないままにも、うれしく思った。
 二人の会話はそんなふうで、進展しない。彼女はいったい自分のどこがわるいのか悩むようになった。自分に何かどうしようもない人間としての欠点があるように思えてしかたがなかった。そのことが頭から離れなくて、もう精神的にヘトヘトになってしまった。岡田さんが夕方、待合室で一人で座っていると同期で入局した仲間達がそこを通りかかった。彼女らは岡田をみて、その中の一人が言った。
 「どうしたの。岡田。このごろ元気ないじゃん。」
 岡田「ウン。ちょっとね。」
 「何かあったの。」
 「・・・・・。」
 「元気だしなよ。そんなことじゃつとまんないよ。」
 彼女らは「ははは。」と笑って行った。
 その時、岡田さんは気づいた。今の自分の状態があの子の状態なのでは・・・・。
 「あの子は私の明るさをきらっていたんだ。」
 その時、吉田がたまたま病室からでてきたらしく、一人でいる彼女に気づいて、あわてて体をひっこめた。自分はNドクターの気持ちなんかまったくわからなかったし、わかろうともしなかった。あの子は私の明るさ、を嫌っていたんだ。そう思うと岡田さんは今までの自分が恥ずかしくなり、うつむいてしまった。
 「オイ。」
 とつぜん声をかけられて岡田さんは顔を上げた。吉田がいる。
 「オイ。岡田。何で一人でいるんだよ。」
 岡田さんは心の中で思った。
 (もう私にコドクになれ、といっても無理だ。この子にはあのN先生がふさわしいんだ。担当をかわるよう、たのんでみよう。)
 岡田さんはもうつかれはてていたので、吉田に返事をすることもできなかった。自分が何をいってもこの子は気にくわないんだから・・・。そう思って岡田さんはだまってうつむいていた。その時である。吉田が岡田さんにはじめてはなしかけたのである。しかもその声には、たしかにうれしさがこもっていた。
 「オイ。岡田。元気だせよ。お前らしくないじゃんか。」
 岡田さんはうれしくなって吉田の手を握った。
「あっ。吉田君笑った。私を無視するんじゃないの?」
 吉田は自己矛盾を感じて困りだした。吉田は自分から声をかけてしまったことをくやんだように手をふりほどこうとしている。岡田さんは離さない。この期をのがしてなるものか。はじめは手をふりほどこうとしていた吉田だったが岡田さんが強く握りしめて離さないので、とうとうあきらめた。岡田さん笑ってオデコ、コッツンとあわせた。「ふふふ。」といって岡田さん、もう一度オデコ、コッツンとあわせた。吉田、ついに自分に負けて「クッ」といって笑って、自分から岡田にオデコをあわせた。心が通じる最高の一瞬。吉田、小康状態で数日後、退院した。あとにはあいたベットに新患が入ってくる。岡田さんのいそがしい日々がはじまる。

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砂浜の足跡(小説)

2015-07-01 06:33:44 | 小説
砂浜の足跡

武司の期待はあたった。少女はこの前と同じ場所でこの前と同じ表情でじっと海をみつめている。先週武司は勇気をだして声をかけてみた。
 「ねえ君、何を悩んでるの。失恋でもしたの。よかったらちょっと話しない?」
 少女はさめた一瞥を与えたのち、だまってその場を去った。
 「あなたみたいな人じゃロマンチックな気分がだいなしだわ。」
 少女の無言の表情はこう語っていた。武司もその通りだと思った。その時はもう二度とくるまいと思った。だが武司はどうしてもこずにはいられなかった。そのかわりこれを最後にしようと思った。国道の下を横切るトンネルの先からは以前と同じ位置に以前と同じ漁船が三隻凪いだ海で静かにその営みをしていた。
武司はトンネルからおずおずと顔を出して砂浜をみた。

はたして少女は武司の予想通りこの前と同じ場所で、この前と同じ表情でだまって海を見つめていた。少女はすぐに武司に気づいてふり返った。
 「やあ。」
武司はへどもどして頭をさげた。だが少女はそれを無視した。そして、すぐその視線を海へ戻した。武司はがっかりして、江ノ島へむかって歩きはじめた。砂を一歩一歩踏みしめて歩きながら、武司は自分の存在が彼女の目ざわりになったことを後悔していた。
 「自分みたいなダサイやつはよけいなことなどするな。」
武司は自分にそういいきかせた。江ノ島は陽炎の中でゆらいでいた。武司はそれをみつめて歩いた。

    ☆  ☆  ☆

 もうみえなくなったかな。
武司の心にあった最後の未練な気持ちが彼をふり返らせた。すると少女はいつの間にか、裸足になって波とたわむれていた。その顔はたしかに笑っていた。
寄せる波からは逃げ、引く波は追い・・・・・。
すると武司もうれしくなった。武司は国道に沿って並んでいる大きなコンクリートブロックのかげに少女にみえないように腰掛けて、少女が波とたわむれるのを見守った。
あたりにはだれもいない。少女は自分が一人きりだと思っているのだろう。だんだん調子にのって波をばかにしだした。すると海の方でも怒ったのか、静かだった海は突然大きな波をひとつこしらえた。
 予想外のことに少女はあわてて逃げようとした。が、砂の中にうまっていた木のかけらが少女の足を捕らえた。少女はころんだ。さらにわるいことに足がつってしまったらしい。
少女は這ってにげるしかなかった。波の音にふりかえった少女の顔は恐怖のために真っ青だった。だが時すでにおそかった。大きな波は容赦なく少女を襲った。少女の全身はずぶ濡れになった。
 波は引いたが、少女の足はまだつっていた。このままでは、また次の波におそわれる。少女は必死になって這って逃げようとした。
 夏の陽射しが強い午後だった。逆巻く波の音が聞こえだした。彼女を襲う二度目の波の音だった。
 「逃げられない。」
少女は観念した。目の前では濡れた砂の上で小さな蟹が一匹、陸に向かって歩いていた。

 「手かしてもいい?」
人の声が聞こえた。少女は顔をあげた。さっきの少年だった。少女は黙ってうなずいた。少年は少女に肩をかして少女を立たせ、波のこないところまで彼女を運んだ。そしてそこに少女をすわらせて、足のつりを治した。四、五回、少年は少女のつった足を屈伸した。
 「もういいわ。なおったわ。」
少女がそう言ったので少年は少女の足から手をはなした。そしてチラっと少女を見た。
 「ははは。」
少年はてれ笑いをした。少女は顔をしかめて少年から目を避けた。少年はどうすればいいかわからなかった。
 沈黙が少年を苦しめた。
 「わあー。」
しばしまよった末、少年は海へ向かって駆け出した。そしてそのまま海につっこんだ。少年の体もずぶ濡れになった。そして再び少女のところへ戻ってきて腰掛けた。
 「ほら、これで僕も同じだ。」
 少女はあきれた顔で少年をみた。
 「ははは。」少年は笑った。
 「ふふふ。」少女も笑った。
 「へんな人ね。」
 「へんな人さ。」
二人は立ち上がった。そして、手をつないで、江ノ島へ向かって駆け出した。
 「ははは。」
 「ふふふ。」
 いつしか二人は心が通じていた。
誰もいない砂浜に二人の足跡だけが点々としるされていた。
勢いのある波ははやくもそれを消しかけていた。

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