古文書に親しむ

古文書の初歩の学習

第十一章 濱着口上書・その四十二

2012年06月24日 07時28分18秒 | 古文書の初歩

 

 

 

濱着口上書第十二ページ、上の画像の三行目四行目

解読 右沖間へ罷越、萬端致手配、今廿四日朝

    五つ時過当浦へ漕入候付、右難事之趣

読み 右沖間へ罷り越し万端手配致し、今二十四日朝

    五つ時過ぎ当浦へ漕ぎ入れ候に付き、右難事の趣

解説 文字が細く、且つかすれていて読むのは困難ですが、「右沖間へ」・・・遭難船が辿り着いた沖合いへ。 「罷越」・・・「罷る」は謙譲語、又は接頭語で、この場合は深い意味はありません。遭難船が流れ着いた現場の沖合いへ到着したと言うこと。この文章は荷主への報告の手紙ですから、丁寧な物言いになっています。「罷」の頭の「アミガシラ」と下部の「能」が離れすぎです。 次の「萬端」も読むのは困難です。万端『ばんたん』すべての事柄。 「致手配」・・・下から返って読む。「手配致し」。「致」も難しい。 「朝」・・・前ページでも出ました。形で覚える字。 「五つ時過」・・・午前七時過ぎ。「過」も難しいですが、前ページに出ました。 「当浦」・・・大嶋浦の事。 「漕ぎ入れ」の次の短い縦棒は「候」。 「候付」の場合は、送り仮名は付けませんが、「候に付き」と読みます。 次の「大」に見える字は「右」です。「右」の中の「口」は右下がりの横棒になります。これに対して「左」の中の「エ」は右上がりに書く事が多いようです。 「難事」・・・「事」は縦に長く書いています。下に小さく「之」か見えます。最後は「趣」・・・内容。てんまつ。様子。シケに遭い難破した顛末『てんまつ』。