かまくらdeたんか 鹿取未放

馬場あき子の外国詠、渡辺松男のそれぞれの一首鑑賞。「かりん」鎌倉支部の記録です。毎日、更新しています。

清見糺の一首鑑賞  33

2020-07-10 15:29:26 | 短歌の鑑賞
     ブログ版  清見糺研究     百年の恋&たのしみは 
                          かりん鎌倉支部     

33 たのしみは生きてはたらく方言をたとえば津軽の駅にきくとき
                 「かりん」95年3月号

 「生きてはたらく」は、言葉としての機能をよく果たし得ているということだ。実は「生きてはたらくことばの力」を養おうというのが、全国高等学校国語教育研究連合会の長年のスローガンである。だから高校の国語の教員である作者には耳になじんだ言葉だった。(ちなみに、二〇〇九年の神奈川大会の大会テーマも「生きてはたらくことばの力」となっている。)この歌はそれを援用しているが、方言にその力を見いだしているところがいい。例示された津軽という地名が良く効いていて、懐かしい雰囲気をかもしだしている。「たとえば」だから作者は今現在、実際に現地に行っていないのだが、記憶にはあるのだろう。方言を使っていきいきと話している地方の人々の姿が目に浮かぶようだ。 津軽についてだが、太宰治の小説『津軽』が作者の念頭にあったかもしれない。

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