かまくらdeたんか 鹿取未放

馬場あき子の外国詠、渡辺松男のそれぞれの一首鑑賞。「かりん」鎌倉支部の記録です。毎日、更新しています。

渡辺松男の一首鑑賞 1の57 改訂版

2020-07-30 17:55:29 | 短歌の鑑賞
ブログ版渡辺松男研究⑥(13年6月) 『寒気氾濫』(1997年)橋として
      参加者:崎尾廣子、曽我亮子、渡部慧子、鹿取未放
      司会と記録  鹿取未放


【改訂版】57 渾沌のわれなりしかど石膏の顔ひややけきかたわらに居つ

  ※先日アップしたこの歌、初句を「混沌」として解釈していましたが、歌集と
   照合した結果「渾沌」の文字が正しい事が判明しました。作者と読者の皆さ
   まに深くお詫びし、内容を訂正したものをここに掲載します。

 ★一連から考えるとこれも「荘子」の渾沌と関連するのだろう。「荘子」の渾沌
  は、昔、渾沌という帝王がいた。お世話になった他の国の帝王ふたりが、の
   っぺらぼうの渾沌にお礼のつもりで目、口、鼻……と七つの穴をあけてやった
  ら、渾沌は死んでしまったというお話。ここでの渾沌は一般には手を加えてい
  ない無秩序な自然の例えだと解されているようだ。無秩序な自然のような原始
  的内面を抱えた〈われ〉が、精巧に彫られた石膏の「ひややけき」かたわらに
  いたというのだが、下の句とのつながりが難しい。目、口、鼻のない〈われ〉
  の素朴で力強い原始的エネルギーと人間のぬくもりを寄せ付けないようなつる
  つるの石膏像。その取り合わせが意図しているものが単なる対照であるはずも
  ないが、うまく読み取れなくて申し訳ないです。(鹿取)


コメント
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