ブログ版渡辺松男研究⑥(13年6月) 『寒気氾濫』(1997年)橋として
参加者:崎尾廣子、曽我亮子、渡部慧子、鹿取未放
司会と記録 鹿取未放
【改訂版】57 渾沌のわれなりしかど石膏の顔ひややけきかたわらに居つ
※先日アップしたこの歌、初句を「混沌」として解釈していましたが、歌集と
照合した結果「渾沌」の文字が正しい事が判明しました。作者と読者の皆さ
まに深くお詫びし、内容を訂正したものをここに掲載します。
★一連から考えるとこれも「荘子」の渾沌と関連するのだろう。「荘子」の渾沌
は、昔、渾沌という帝王がいた。お世話になった他の国の帝王ふたりが、の
っぺらぼうの渾沌にお礼のつもりで目、口、鼻……と七つの穴をあけてやった
ら、渾沌は死んでしまったというお話。ここでの渾沌は一般には手を加えてい
ない無秩序な自然の例えだと解されているようだ。無秩序な自然のような原始
的内面を抱えた〈われ〉が、精巧に彫られた石膏の「ひややけき」かたわらに
いたというのだが、下の句とのつながりが難しい。目、口、鼻のない〈われ〉
の素朴で力強い原始的エネルギーと人間のぬくもりを寄せ付けないようなつる
つるの石膏像。その取り合わせが意図しているものが単なる対照であるはずも
ないが、うまく読み取れなくて申し訳ないです。(鹿取)
参加者:崎尾廣子、曽我亮子、渡部慧子、鹿取未放
司会と記録 鹿取未放
【改訂版】57 渾沌のわれなりしかど石膏の顔ひややけきかたわらに居つ
※先日アップしたこの歌、初句を「混沌」として解釈していましたが、歌集と
照合した結果「渾沌」の文字が正しい事が判明しました。作者と読者の皆さ
まに深くお詫びし、内容を訂正したものをここに掲載します。
★一連から考えるとこれも「荘子」の渾沌と関連するのだろう。「荘子」の渾沌
は、昔、渾沌という帝王がいた。お世話になった他の国の帝王ふたりが、の
っぺらぼうの渾沌にお礼のつもりで目、口、鼻……と七つの穴をあけてやった
ら、渾沌は死んでしまったというお話。ここでの渾沌は一般には手を加えてい
ない無秩序な自然の例えだと解されているようだ。無秩序な自然のような原始
的内面を抱えた〈われ〉が、精巧に彫られた石膏の「ひややけき」かたわらに
いたというのだが、下の句とのつながりが難しい。目、口、鼻のない〈われ〉
の素朴で力強い原始的エネルギーと人間のぬくもりを寄せ付けないようなつる
つるの石膏像。その取り合わせが意図しているものが単なる対照であるはずも
ないが、うまく読み取れなくて申し訳ないです。(鹿取)