かまくらdeたんか 鹿取未放

馬場あき子の外国詠、渡辺松男のそれぞれの一首鑑賞。「かりん」鎌倉支部の記録です。毎日、更新しています。

清見糺の一首鑑賞  1の42

2020-07-31 13:02:44 | 短歌の鑑賞
  ブログ版清見糺研究 モロッコ紀行
      参加者:田村広志、寺戸和子、金子田鶴子、鹿取未放
       まとめ:鹿取未放

                                 
42 きらきらしき罪はつくらず仕事せずひねもすのたりのたり河馬在り
                    「かりん」95年2月号

 ★「きらきらしき罪」とは女性とのインモラルな関係。自分に対する批評の
  歌。(田村)    

 蕪村「春の海ひねもすのたりのたりかな」を引用している。動物園での嘱目だろうが、馬場あき子に怠け者と常にいわれていた清見糺の自画像でもある。
 彼が愛読していた坪野哲久に「われの一生(ひとよ)に殺(せつ)なく盗(とう)なくありしこと憤怒のごとしこの悔恨は」(『碧巌』)という歌があるが、これほど厳しい問いつめではないにしろ、「きらきらしき罪」さえまっとうできない己のいくじなさをぼんやりと思っているのだろう。のたりのたりといる河馬に託したところにユーモアがあるようで、実は逃げの姿勢でもあるかもしれない。(鹿取)



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