かまくらdeたんか 鹿取未放

馬場あき子の外国詠、渡辺松男のそれぞれの一首鑑賞。「かりん」鎌倉支部の記録です。毎日、更新しています。

渡辺松男の一首鑑賞 1の53

2020-07-24 16:35:49 | 短歌の鑑賞
  ブログ版渡辺松男研究⑥(13年6月) 『寒気氾濫』(1997年)橋として
       参加者:崎尾廣子、曽我亮子、渡部慧子、鹿取未放
      司会と記録  鹿取未放
                   

53 キャベツのなかはどこへ行きてもキャベツにて人生のようにくらくらとする

 ★人生は同じことの繰り返しで、昨日も今日も明日もキャベツを剥くようなもの。
  この「キャベツにて」までは何となく序詞のような働きをしているなあと。以
  前、鈴木さんがキャベツの歌の鑑賞でどこまでいっても本質に突き当たらない
  と言っていらした。(慧子)
 ★人生がキャベツのようにいっぱいいっぱい並んでいるようで、どこへいっても
  くらくらしたというような感じかなあ。(曽我)
 ★キャベツの中って、キャベツがたくさん並んだキャベツ畑のイメージなの?そ
  れとも一個のキャベツの中を進んでいくイメージ?私は「畑」とは書いてない
  から一個のキャベツの中を人間の自分が小さくなって進んでいく様子をイメー
  ジしていたんだけど。(鹿取)
 ★キャベツ畑です。(曽我)
 ★では、この歌については、渡辺松男さんが『寒気氾濫』自選5首に選んで自歌
  自注しているので見てみましょう。
  【安立スハルのキャベツ「馬鹿げたる考へがぐんぐん大きくなりキャベツなど
   が大きくなりゆくに似る」を意識していました。それにカフカの『城』の到
   達できない不条理のようなことをドッキングさせたのです。】
                 「かりん」2010年11月号


 
コメント
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