2024年度版 渡辺松男研究44(2016年12月実施)
『寒気氾濫』(1997年)【半眼】P148~
参加者:泉真帆、M・S、曽我亮子、渡部慧子、鹿取未放
レポーター:渡部 慧子 司会と記録:鹿取 未放
367 星のふる冷たき夜ゆえ冷たさを触れあいている籠の林檎は
(レポート)
林檎は「冷たさを触れあいて」いる。林檎それぞれの秘め持つ大切なものは冷たさであってそれを触れあっているということだろう。冷たいということの神秘性が一首にひびく。林檎は星へも感応していよう。(慧子)
(当日意見)
★レポートの「冷たいということの神秘性が一首にひびく」がほんとうにそうだなと思いました。触れあったら普通は温もりとか考えるんだけど。しかも、冷たさは感情についてではなくて、星の降る夜だからと状況を説明してある。だから、無理なく入ってくる。(真帆)
★「星のふる」夜って、歌謡曲のようで通俗の極みのようだけど、「冷たさをふれあいている」で 引き締まった。林檎の表面同士の冷たさによって歌全体の甘さが抑えられている。(鹿取)