かまくらdeたんか 鹿取未放

馬場あき子の外国詠、渡辺松男のそれぞれの一首鑑賞。「かりん」鎌倉支部の記録です。毎日、更新しています。

馬場あき子の外国詠 332,333 スイス①

2024-12-04 15:04:57 | 短歌の鑑賞
  2024年度版 馬場あき子の外国詠45(2011年11月実施)
       【氷河鉄道で行く】『太鼓の空間』(2008年刊)164頁
       参加者:K・I、N・I、泉可奈、崎尾廣子、曽我亮子、
          藤本満須子、渡部慧子、鹿取未放
       レポーター:N・I 司会とまとめ:鹿取 未放
   


332 ユウングフラウ・ヨッホより見るアレッチ氷河天下統一の思ひのごとし


            (まとめ)
 これは駅からエレベーターで上った展望台からの景色であろう。アレッチ氷河は全長24キロメートルに渉って続いているというから、壮大な眺めである。その眺めのすばらしさを「天下統一の思ひのごとし」と詠んだ。よほど爽快だったにちがいない。(鹿取)


 
333 標高三千されど異(こと)なる体感ありアッパームスタン、ユウングフラウ・ヨッホ


              (まとめ)
 アルプスの旅は2006年、ネパールの旅は2003年である。馬場が行ったジョムソンはアンダームスタンで、アッパームスタンと呼ばれるのはジョムソンから馬で更に3~4日かかるガミ村からである。また、アッパームスタンは特別な保護地域で旅行者は事前に申し込み、1日1万円程度の観光税を支払う必要がある。
 しかしジョムソンは標高2,700メートル余、アッパームスタンのガミ村は3,600メートル、こちらの方が3,454メートルのユウングフラウ・ヨッホに標高が近い。事実とは違うがアッパームスタンは標高の近さで選ばれた地名だろう。ガミ村にしろジョムソンにしろ耕作地の緑はわずかで、あとは見渡す限りの砂礫が広がる荒地である。ヨーロッパからもトレッキングに訪れる人は多いが、数はたかがしれている。それに対してユングフラウは登山鉄道やバスで行ける華やかな観光地であり、世界中から家族連れもやってくる。高度は似たようなものでもアルプスとヒマラヤでは当然気分も体感も違うのだ。(鹿取)   
 

コメント
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