かまくらdeたんか 鹿取未放

馬場あき子の外国詠、渡辺松男のそれぞれの一首鑑賞。「かりん」鎌倉支部の記録です。毎日、更新しています。

渡辺松男『寒気氾濫』の一首鑑賞 361

2024-12-16 15:21:05 | 短歌の鑑賞

2024年度版 渡辺松男研究43(2016年10月実施)
   『寒気氾濫』(1997年)【半眼】P146~
    参加者:泉真帆、M・S、鈴木良明、曽我亮子、渡部慧子、鹿取未放
       レポーター:泉 真帆     司会と記録:鹿取 未放          


 361 槻・榎・椋の順序で芽吹けりと他愛なきこと吾はひとに告ぐ

             (レポート)
 「ケヤキ・エノキ・ムク」と指しながら、春の芽吹きの順を想う人に告げている場面だろう。山なのか林か森か、作者のよく知っている場で、人で言えば兄弟・姉妹か教え子など情の通いあう人のように樹々を観ている作者。自分の悦びは人に告げたくなるのだ。(真帆)


          (当日意見)
★「槻」はけやきの事ですけど、音数からいうとここは「ツキ」と読

 ませるのだと思います。「ツキ・エノキ」で5音ですから。(鹿取)
★ひとって誰ですか?(曽我)
★やはり君、恋人ではないでしょうか。(真帆)
★「他愛なきこと」って言っているけど、〈われ〉にとっては大切な

 ことで、木々の芽吹きの順を楽しみながら観察していて、だから

 大事な人にそれを告げるのです。それこそ木の傍をただ通りすぎる

 人にはどうでもいいような事だけど。(鹿取)

 

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