かまくらdeたんか 鹿取未放

馬場あき子の外国詠、渡辺松男のそれぞれの一首鑑賞。「かりん」鎌倉支部の記録です。毎日、更新しています。

渡辺松男『泡宇宙の蛙』の一首鑑賞 152

2022-10-27 19:45:25 | 短歌の鑑賞
  2022年度版 渡辺松男研究2の20・21(2019年3月実施)
     Ⅲ〈薬罐〉『泡宇宙の蛙』(1999年)P99~
     参加者:泉真帆、岡東和子、T・S、渡部慧子、鹿取未放
      レポーター:泉 真帆   司会と記録:鹿取未放


152 うら庭でこんにゃくだまを搗く祖父とくみあげ井戸と冬木のけやき

       (レポート)
 「こんにゃくだま」「くみあげ井戸」に昭和中期の農村の風景がうかがえる。けやきの歌が多い作者だが、一首のけやきが作者の原風景かもしれない。(真帆)


149番歌(むっすむっすとこんにゃくだまは地に太り そよ近代のあらざりし国)に引き続いて、こんやくだまの歌。こんにゃく芋からこんにゃくを作過程で、こんにゃくだまを搗いているところ。裏庭で作業しているのだ。作業している傍にはくみ上げ井戸もある。
そして、これは庭の隅だろうか、葉をすっかり落とした欅の木が立っている。冬のありふれた労働風景だったのだろうが、今読むと一幅の絵のように見える。もちろん、絵の中にはこんにゃくだまを搗く祖父を眺めている幼い〈われ〉が描かれている。


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