かまくらdeたんか 鹿取未放

馬場あき子の外国詠、渡辺松男のそれぞれの一首鑑賞。「かりん」鎌倉支部の記録です。毎日、更新しています。

清見糺の一首鑑賞  56

2020-10-13 21:02:19 | 短歌の鑑賞
ブログ版 清見糺鑑賞  9    かりん鎌倉なぎさの会

56 夜巣立つ三十名の夢見月のもんしろちょうのような羽ばたき 
               「かりん」95年6月号

 「夢見月」という三月の異称の使用が効果的である。定時制高校を卒業していく生徒の今後を案じている歌。差別されがちで、従って就職なども思い通りにはいかなかったかもしれない生徒達を、生まれたばかりのもんしろちょうのまだ弱いおぼおぼとした羽ばたきでたとえている。ひらがな表記のもんしろちょうはいかにもたどきない。「夢見月」には生徒の夢が叶ってほしいという祈りのようなものも感じられる。歌の情趣が優しく、作者の暖かい眼差しを感じる。



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