かまくらdeたんか 鹿取未放

馬場あき子の外国詠、渡辺松男のそれぞれの一首鑑賞。「かりん」鎌倉支部の記録です。毎日、更新しています。

馬場あき子の外国詠 35 アフリカ③

2023-08-03 09:36:01 | 短歌の鑑賞
 2023年度版馬場あき子の外国詠4(2008年1月)
  【阿弗利加2 金いろのばつた】『青い夜のことば』(1999年刊)P162~
  参加者:K・I、N・I、崎尾廣子、T・S、高村典子、藤本満須子、
      T・H、渡部慧子、鹿取未放
  レポーター:渡部慧子 司会とまとめ:鹿取 未放
       
 
35 潰れたやうな時間の澱みスークには売らるる鶏(とり)の眠れるにほひ

      (まとめ)
 上句、感覚的だが雑多でとらえどころのないスークの本質がよく捉えられている。下句の「鶏の眠れるにほひ」は映像と臭覚を伴ってスークの雰囲気をよく伝えている。(鹿取)


    (レポート)
 スークを詠いおこすため「潰れたやうな時間の澱み」とまず言い切る。旧街区として保存の意味もあろうが、時代からとりのこされたようなスークを理屈抜きで感じさせるうまい比喩である。同時に結句「鶏の眠れるにほひ」と実によく照応しており、このフレーズが一首全体によく働いている。スークは業務ごとにまとまって営業していていろいろな場所があるらしいが「鶏の眠れるにほひ」のする所とは、何か虚無に支配されているようだ。(慧子)

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