2025年度版 馬場あき子の外国詠49(2012年2月実施)
【ロイス川の辺りで】『太鼓の空間』(2008年刊)176頁
参加者:N・I、井上久美子、崎尾廣子、曽我亮子、
藤本満須子、渡部慧子、鹿取未放
レポーター:N・I 司会とまとめ:鹿取 未放
349 川の向かうはつねに夕ぐれの雨のいろアンティクのやうな灯をともしたり
(当日意見)
★「アンティク」は作者の表記どおりです。辞書的な意味「古美術品のような」でよいのではないか。ところで、旅行者だから「つねに」といっても、せいぜい3,4日間のことだと思うが、滞在していた間はいつも「夕ぐれの雨のいろ」だったということだろう。(鹿取)
★「つねに」は毎日ではなく朝から晩までという意味。(崎尾)
★なるほど。対岸は霧が深いところなのでしょうか。夕暮れの雨のような色に見えて、ぼんやりとした灯がともっているという、旅行者にとってはロマンティックな情景ですね。(鹿取)
350 ロイス川の向かうに行つてアンティクのマリア一体買はんと思ふ
(当日意見)
★楽しんでいる。余裕がある。(曽我)
★349番歌(川の向かうはつねに夕ぐれの雨のいろアンティクのやうな灯をともしたり)の夕暮れの雨の色をしている川の向こうですね。「アンティクのマリア」ということで、この国の古い歴史にコミットしたい想いがあるのでしょう。それを考えるとつねに夕暮れの雨の色をしている地区という前の歌も、もう少し歴史の上での分厚くて深い意味があるのかもしれないと思います。 (鹿取)
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