かまくらdeたんか 鹿取未放

馬場あき子の外国詠、渡辺松男のそれぞれの一首鑑賞。「かりん」鎌倉支部の記録です。毎日、更新しています。

渡辺松男の一首鑑賞  302

2021-09-02 18:38:55 | 短歌の鑑賞
 渡辺松男研究37(2016年4月実施)
    【垂直の金】『寒気氾濫』(1997年)124頁~
     参加者:石井彩子、泉真帆、M・S、鈴木良明、曽我亮子、渡部慧子、鹿取未放
     レポーター:泉 真帆 司会と記録:鹿取 未放

302 顎下腺胡桃のごとく腫れたるをおみなの医師の手に晒すなり

     (レポート)
(解釈)顎下腺が炎症をおこし、痛みと腫れを引き起こしている。その治療に作者は来ているのだが、担当医が若い女医さんだという。胡桃のように固くなって腫脹している顎の下を、触診されている。(治療方法には投薬のほか、唾液腺のマッサージもあるという)
(鑑賞)「手に晒す」にユーモアがある。また、「晒す」に作者の恥ずかしそうな様子や、うれしそうな気分がある。(真帆)


     (当日発言)
★若いというのはどこから出てきたのですか?(鈴木)
★松男さんのこの当時の歌は新仮名遣いなので「おみな」って表記されていますけど、古語
 では「をみな」という表記で「若い女性」って意味です。今スマホの辞書引いていますが
 「学研全訳古語辞典」には万葉集の例で「若く美しい女性」って出ています。あっ、並ん
 でただの「女」も出てきますが。(鹿取)
★喉の辺りというのは男にとって敏感なところなんですよ。のど仏が男の象徴であるよう
 に。だから恥ずかしいですよ。(鈴木)

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