2025年度版 渡辺松男研究48(2017年4月実施)
『寒気氾濫』(1997年)
【睫はうごく】P160~
参加者:T・S、A・Y、渡部慧子、鹿取未放
レポーター:渡部 慧子 司会と記録:鹿取 未放
401 香水のどこからとなく匂いきて遠花火ひらくごとくおもいぬ
(レポート)
匂いとは脳内に作用して何か新鮮になる感覚がある。誰かの用いる香水が匂ってきて「遠花火ひらく」ごとき思いになる。地上を離れた懐かしさのようなものだったのか。恋心を詠っていよう。(慧子)
(当日発言)
★香水が唐突な気がしたんだけど、恋人なのでしょうね、相手がちょっと離れたところにいるのかな、身じろぎする度に匂うのでしょうか。それとも恋人が訪ねてくる場面で、近づいてくるのを匂いで感じているのでしょうか。その嬉しい感じ、期待感が「遠花火ひらくごとく」とたとえられているのでしょう。恋と花火が繋がると中城ふみ子の歌を思いだしてしまいますが、あれは遠花火よりももっと強烈な花火ですけど。下句は「われは隈なく奪はれてゐる」だけど上句、ちょっと忘れました。(鹿取)
★「遠花火ひらく」ごとき思いってどんな感じですか?(T・S)
★遠くで色とりどりの花火が開いているイメージですよね。だから憧れかな。中城さんの歌のように濃厚ではない。(鹿取)
(後日意見)
当日発言中の中城ふみ子の歌は次のとおり。
音たかく夜空に花火うち開きわれは隈なく奪はれてゐる『乳房喪失』
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