かまくらdeたんか 鹿取未放

馬場あき子の外国詠、渡辺松男のそれぞれの一首鑑賞。「かりん」鎌倉支部の記録です。毎日、更新しています。

清見糺の一首鑑賞  26

2020-06-23 18:51:47 | 短歌の鑑賞
     ブログ版清見糺鑑賞 4  
          かりん鎌倉支部  鹿取未放  


26 きらきらしき罪はつくらず仕事せずひねもすのたりのたり河馬在り
                      「かりん」95年2月号

 蕪村「春の海ひねもすのたりのたりかな」を引用している。動物園での嘱目だろうが、師の馬場あき子に怠け者と常にいわれていた清見氏の自画像でもある。
 彼が愛読していた坪野哲久に「われの一生(ひとよ)に殺(せつ)なく盗(とう)なくありしこと憤怒のごとしこの悔恨は」(『碧巌』)という歌があるが、これほど厳しい問いつめではないにしろ、「きらきらしき罪」さえまっとうできない己のいくじなさをぼんやりと思っているのだろう。


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