かまくらdeたんか 鹿取未放

馬場あき子の外国詠、渡辺松男のそれぞれの一首鑑賞。「かりん」鎌倉支部の記録です。毎日、更新しています。

渡辺松男『寒気氾濫』の一首鑑賞 48

2023-05-23 12:22:54 | 短歌の鑑賞
 2023年版渡辺松男研究6(13年6月実施)
     『寒気氾濫』(1997年)橋として
      参加者:崎尾廣子、曽我亮子、渡部慧子、鹿取未放
      司会と記録  鹿取未放
                   

48 鮑焦(ほうしょう)は木に抱きつきて死にけるをさやさやと葉は黄にかわりゆく

    (当日意見)
★この鮑焦のお話は「荘子」の「盗跖」にあります。鮑焦という人は清廉潔白にこ
 だわり、世間の奴らは清廉潔白でないと非難して孤立し、とうとう木を抱いて自
 殺しちゃった。「盗跖」には他に6人ほどいろんなケースをあげているんだけど、
 これらの人は本質を考えず、命を軽んじて、寿命を養うことが出来なかったとし
 て荘子は否定しています。(鹿取)
★そうすると偽善者が死んでも、抱きつかれた木は関係なく黄葉するときには黄葉
 する。自然界の超越した様を詠んでいるということですか。(曽我)
★ほんとうは人間と自然との関わりは大いにあるわけだけど、この歌では人間世界
 の良いとか悪いとか何だとかかんだとかは超越して自然界は巡っているというこ
 となんでしょうね。(鹿取)

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