「短歌と書」展より馬場あき子の歌。書は竹内久晶
夢殿に雪降るころのつめたさの凍て鶴われはほとけをしらず
2024年度版 馬場あき子の外国詠58(2012年11月実施)
【ラインのビール】『世紀』(2001年刊)213頁
参加者:K・I、崎尾廣子、曽我亮子、藤本満須子(紙上参加)、
T・H、渡部慧子、鹿取未放
レポーター:渡部 慧子 司会とまとめ:鹿取 未放
418 嘆きなくうたはぬ日本の女らがビールに眺めるラインの流れ
(まとめ)
417番歌に「一生を陽灼けしてきたアメリカの年寄ツアー飲まずうたへり」とあるように、目の前のアメリカの労働者たちには、長い年月労働に携わってきた共有の苦労があり、その分厚い感情がほとばしって彼等をうたわせていると作者は感じていたのだろう。それに比較して2000年前後の日本人はバブルが弾けたとはいえある程度余裕があった。一致団結してことにあたるとか心を一つにして戦う対象もなかった。あからさまな共通の歎きをもっていないゆえに、個々人が軽い旅情にひたりながら、いくぶん倦怠の気分を抱えてぼんやりとラインの流れをながめているのである。(鹿取)
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