かまくらdeたんか 鹿取未放

馬場あき子の外国詠、渡辺松男のそれぞれの一首鑑賞。「かりん」鎌倉支部の記録です。毎日、更新しています。

渡辺松男『寒気氾濫』の一首鑑賞 49

2023-05-24 18:20:52 | 短歌の鑑賞
 2023年版渡辺松男研究6(13年6月実施)
     『寒気氾濫』(1997年)橋として
      参加者:崎尾廣子、曽我亮子、渡部慧子、鹿取未放
      司会と記録  鹿取未放
                   

49 渾沌のわれなりしかど石膏の顔ひややけきかたわらに居つ

      (当日意見)
★一連から考えるとこれも「荘子」の渾沌と関連するのだろう。「荘子」の渾沌は、
 昔、渾沌という帝王がいた。お世話になった他の国の帝王ふたりが、のっぺらぼ
 うの渾沌にお礼のつもりで目、口、鼻……と七つの穴をあけてやったら、渾沌は
 死んでしまったというお話。ここでの渾沌は一般には手を加えていない無秩序な
 自然の例えだと解されているようだ。無秩序な自然のような原始的内面を抱えた
 〈われ〉が、精巧に彫られた石膏の「ひややけき」かたわらにいたというのだが、
 逆接で繋がる下の句との関係が難しい。目、口、鼻のない〈われ〉の素朴で力強
 い原始的エネルギーと人間のぬくもりを寄せ付けないようなつるつるの石膏像。
 その取り合わせが意図しているものが単なる対照であるはずもないが、うまく読
 み取れなくて作者に申し訳ないです。(鹿取)


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