かまくらdeたんか 鹿取未放

馬場あき子の外国詠、渡辺松男のそれぞれの一首鑑賞。「かりん」鎌倉支部の記録です。毎日、更新しています。

清見糺の一首鑑賞  78

2020-10-27 19:33:55 | 短歌の鑑賞
   ブログ版 清見糺の短歌鑑賞 10 スペイン・ポルトガル
                        鎌倉なぎさの会   


78 大聖堂、モスクいくつも見てまわる神も教祖もすでに不在の
              「かりん」95年11月号

 トレドの大聖堂(カテドラル)はスペインカソリックの大本山である。またコルドバのモスクはもとイスラム寺院だが今はキリスト教会になっている。もっとも世界にはその逆でイスタンブールのアヤソフィアのようにキリスト教会だったものがイスラムの寺院になっている例もある。それら壮麗な建物を次々と見ながら、作者にはそれがぬけがらのように写ったのであろう。「すでに不在の」とぶっきらぼうに言い放った結句にその思いが滲んでいる。また、「すでに不在の」であるからかつてはあったということを作者も認めているのであろう。


コメント    この記事についてブログを書く
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« 清見糺の一首鑑賞 | トップ | 清見糺の一首鑑賞   79 »
最新の画像もっと見る

コメントを投稿

短歌の鑑賞」カテゴリの最新記事