かまくらdeたんか 鹿取未放

馬場あき子の外国詠、渡辺松男のそれぞれの一首鑑賞。「かりん」鎌倉支部の記録です。毎日、更新しています。

渡辺松男『泡宇宙の蛙』の一首鑑賞 47 

2022-04-09 11:30:33 | 短歌の鑑賞
     ※本日2回目の記事です。

  渡辺松男研究2の7(2017年12月実施)『泡宇宙の蛙』(1999年)
    【山鳥薇】P36~
     参加者:泉真帆、曽我亮子、渡部慧子、鹿取未放
      レポーター:渡部慧子 司会と記録:鹿取未放
  
47 全世界音うばわれて完成す化石のわれのあおげる瀑布

       (まとめ)          
 珍しく「われ」という一人称が出てくる。われは音を奪われて化石になっているが、瀑布が見えているから場所は滝の近くなのだろう。滝は轟音を発しているが化石に閉じ込められたわれには何も聞こえない。全世界に音は充ち満ちているけれど、全世界の音がわれからは奪われている。
 前の章の42番歌「透りたる尾鰭をみれば永遠はすずしそうなり化石の石斑魚(うぐい)」では
「すずしそう」から開放感を感じたが、こちらは「うばわれて」でどうしても閉塞感を感じてしまう。
    (鹿取)

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