かまくらdeたんか 鹿取未放

馬場あき子の外国詠、渡辺松男のそれぞれの一首鑑賞。「かりん」鎌倉支部の記録です。毎日、更新しています。

渡辺松男『泡宇宙の蛙』の一首鑑賞  147

2022-10-23 12:15:01 | 短歌の鑑賞
2022年度版 渡辺松男研究2の20・21(2019年3月実施)
     Ⅲ〈薬罐〉『泡宇宙の蛙』(1999年)P99~
     参加者:泉真帆、岡東和子、T・S、渡部慧子、鹿取未放
     レポーター:泉 真帆   司会と記録:鹿取未放


147 草取りの苦労とんでもなく暑く隠元ばたけに祖父とわれと薬罐

    (レポート)
 畑で祖父の手伝いをしなが「薬罐」ら草取りをしているのだろう。インゲンは年に三回も作れる作物で、種まきから二ヶ月強で実り始め、一ヶ月間ほど収穫ができるのだという。夏の隠元ばたけに汗をだらだら流しながら懸命に草取りをする作者と祖父の姿が読者の目にぱっと浮かぶのは、結句に置かれた「薬罐」の効果であろう。金色の大きな薬罐もイメージできる。「薬罐」というたった一語の具体が夏の農作業の苦労を象徴的に表していて見事だ。(真帆)

 レポーターのいうように、結句体言止めの「薬罐」が効いている。薬罐の傍らには湯のみ茶碗が二つ置かれていただろうか。それとも豪快に大きな薬罐を持ち上げて直接ごくごくと飲んだのだろうか。(鹿取)

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