かまくらdeたんか 鹿取未放

馬場あき子の外国詠、渡辺松男のそれぞれの一首鑑賞。「かりん」鎌倉支部の記録です。毎日、更新しています。

馬場あき子の外国詠 329 スイス①

2024-12-01 11:56:02 | 短歌の鑑賞
  2024年度版 馬場あき子の外国詠45(2011年11月実施)
      【氷河鉄道で行く】『太鼓の空間』(2008年刊)164頁
       参加者:K・I、N・I、泉可奈、崎尾廣子、曽我亮子、
          藤本満須子、渡部慧子、鹿取未放
      レポーター:N・I 司会とまとめ:鹿取 未放
   

329 人間が考へることとつぴでもなくて氷河の胎内にゐる

   (まとめ)
 「1912年にヨーロッパで最も高所を走るユングフラウ鉄道がクライネ・シャイデックからアイガー(3970m)やメンヒ(4099m)の峰々の下をトンネルで抜けてユングフラウヨッホ(3454m)まで開通」とブリタニカ国際大百科事典にある。ちなみにクライネ・シャイデック駅の標高は2061m。
 「胎内」という言葉だが、ブログの旅行記などにも「アイガーの胎内を走る登山電車」との記事が見えるので、「胎内」と通称されているのだろう。「とつぴでもな」いのは、4000メートル級のアルプスの中を掘って鉄道を敷くことか、それを「胎内」と呼ぶことか、「胎内」といういわば神聖な場所を列車で通り抜けたり、大勢の人間があろうことか、その胎内を動き回ることか、それらすべてをひっくるめての感慨だろうか。「とつぴでもなくて」とは言っているが、そう言って自分を納得させようとしているようでもある。やはりそれらは衝撃であったのだろう。鹿取)


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