風水というのは、単なる『占い』ではありません。
人が生活しやすいように考えられた『環境工学』なのです。
家を建てる場合、キッチンを南側に配置すると、夏は暑すぎて、食材が腐ってしまいます。
なので、南側ににキッチンを配置するのは、凶と考えます。
同様に、北側にお風呂場、トイレ、玄関を配置するのも、凶です。
日当たりの悪い北側は湿気が多く、カビやすいので、水場は配置しないのが良いからです。
昔の人は、こんなことを生活の知恵として知っていました。
今から約1,000年程前に、平将門という武将がいました。
彼は、生活に苦しむ民衆のために、当時の天皇に弓を引いた英雄であります。
この平将門公の屋敷の跡は、茨城県の旧岩井市にあります。
屋敷の中央あたりは、児童公園になっています。
この公園から見て、北東(鬼門)には、寺を作り、南東には井戸などの水場を作っていたようです。
そしてこの井戸なのですが、1,000年前では、他に類を見ない『うちぬき井戸』だった可能性があります。
伝説では、「平将門公が井戸を掘っても水が出ず、困っていたら、白髪の杖をついた老人が現れ、持っていた杖で、岩をコンコンと叩くと、その岩から水がほとばしり出た」とされています。
現代のうちぬき井戸では、井戸掘り用の金属機器で、岩に穴を開け、水脈まで掘り進みます。
おそらく、平将門公も、うちぬき井戸を掘る技術を持っていたと考えられます。
現在の平将門公の屋敷跡の水場には、白髪の老人が杖で岩を叩いた時に、一言「水」と言ったので、『一言神社』という神社があり、この神社は現在も存在します。
家というのは、風を取り入れ、水脈を得て、はじめて人が生活できる場となるのです。