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ある晴れた日、ソファで気持ちよさそうに寝ているボサボサのモコ助を見てそろそろカットしないとなあと思い立った。
いつもは休みの日に二人でやるのだが、天気も良くてなんだか気分も良かったので一人でやってみるかと思ったのである。
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先ずは浴槽でシャンプーされるモコ助。
前は洗い場で丁寧にやっていたが、最近は面倒くさくて浴槽にぬるま湯をためてそこへ投入したモコ助を頭からバシャバシャと洗う。
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赤ちゃんをお風呂から取り上げるようにバスタオルでグルグル巻きにして、部屋を移動し、ドライヤーで乾かす。
良い感じにモコモコとなってきたら、次はいよいよカットですね。
一番厄介なのが足先のカット。
口が届くのでハサミを持った手を咬もうとして抵抗するんです。
覚えはないけど、前によっぽどなトラウマがあるのかなと思う。
で、前にアマゾンで見た、「犬のグルーミング用ハンモック」を思い出した。
どんな暴れん坊の犬でも吊り下げられては戦意を喪失するらしくされるがままなんだそうです。
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残念ながら注文しても届くのは数日後。
今、カットに燃えているオジサンはすぐにやりたいのである。
なので、ふと思いついた。
手ごろな布があれば、自分でも簡単に作れるのではないかと・・。
で、古くなった作業ズボンの太ももあたりをハサミで切り抜いて広げてみるとなかなか良い感じ。
目測で足が出るくらいの穴を4つ開けて紐を付ければ出来上がり。
さっそくそれを持って2回のトリミングコーナーに連れ去られるモコ助さん。
最初に背中やお尻、頭の部分をバリカンで羊みたいにグリグリと刈っていきます。
ところどころ力を入れすぎると禿げて虎刈りになりますが、本人はたぶん気づいていないでそのまま続行。
気を使うのは目、耳、口などの顔まわりですね。
特に目の周囲の毛をハサミで切る時には怪我をさせたら一大事と息を止めてカットしていきます。
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動いたら危ないと本能が警告しているのか、流石のモコ助もこの時ばかりはジッとしてうごきません。
そして、さあ、いよいよ、先ほど完成したばかりの「小型犬用トリミングシート自作第1号」の出番。
きょとんとしているモコ助の四つ足を穴に潜らせて体を包むと、4隅の紐を「エイヤ」とカット台のアームに引っかけた。
罠にかかったタヌキみたいに不安そうにしているが、カチカチ山みたいに鍋にしようって言うのではないので安心してください。
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早速、小さな足先を手に取り、肉球の周りに伸びた毛をジョキジョキとハサミで切っていきます。
おぉ、いつもと違いモコ助の抵抗が無いおかげで苦労せずにトリミングが終了したのでありました。
そうなると人間、欲が出るもので、フフフと不敵な笑いを浮かべながら犬用爪切りを取りに降りるオジサン。
爪切りは前犬のマックの時に苦い思い出があるので、今回はyoutubeで犬の爪切りのコツも学習済みである。
肉球の先に併せて平行に線を引き、そこまでカットするのが丁度いいのだと・・。
学習したとおりに、思い切りよくパチンと爪を切る。
一瞬、モコ助がビクッと動く。
「大丈夫、大丈夫・・ほら、綺麗に・・・ん?」
爪先からポトポトと赤い物が・・
一瞬、手の動きが止まったオジサンは見なかったことにして、モコ助を地上に降ろすとバタバタと片づけをして、水で洗ってお薬をつけて、血が止まるまでずっと抱っこしていたのでした。
しかし、結局、血の付いたタオルでモコ助の災難が相方さんにバレてしまい、今後はオジサンによる宙づりも爪切りも禁止令が出たのであった。
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