Days of Dragonflies & Moths

トンボや蛾に関わる記事中心。
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写真集「関東甲信越のトンボ2010plus」

夏休み特別企画 高原探索 6(8.1 昼)

2008年08月02日 | トンボと蛾


今回の旅行は、カケな面も多々あったが、幸い天候にも恵まれ、夕立や雷に
会うこともなく、非常に効率的な高原初体験となった。
二日目を終えて、トンポは中途半端な収穫しか残らなかったが、それを補って
あまりある成果があった。数日前に、高山蝶探索オプションを思いつかなければ
憧れの蝶には会えなかったし、その分家族も喜んでくれたので、良かったのだと
思う。

最終日の朝も7時過ぎに起床。
そして自分に残された時間は、チェックアウトまでの小一時間のみ。
早々に朝食をすませ、湿原へと足を運ぶ。
こうなったらちゃんと確認できていないホンモミリトンポ一点狙いだ!

朝方とはいえ、陽が射すとたちまち汗ばむような陽気になる。
案の定、湿地を訪れると、エソトソポ系の♂が縄張りを持っている。
なんとかショットを押さえるべく、早速撮影に入る。
しかし、どうもターゲットとは違うような気がしてきた。
どこかでみたような感じなのだ。



でも、とにかくちゃんと写して、種類を確認するしかない。。。
尾端の背後からの写真も含め、撮影を続けていると、一頭のエソトンボ系が
こっそりヒョロヒョロと現れ、その辺をくねくね飛び出した。
最初は♂に見えたが、行動を見ていると、産卵中のようだ。
これこそ、ホンミモリトソポ♀だ!!!
しかし早くも時間がのこり僅かとなってしまった!!
焦りつつも、どうにか二、三枚シャッターを切ることが出来た。



特徴ある腹部の黄斑・・・間違いなくホンミ♀である。
しかし、その♀は縄張りを持っていたエソ系の♂とニアミス・・・
どうなるかと息をのんで見守ったが、意外にも、♂はホリミ♀には
無関心だった。
どうやら湿原のあちこちで縄張りを張っているのは、ただのエソトンボ
だったようだ。どこかで見た感じだがすぐに気づかなかったのは、自分が
低地産のいわゆるオオエソトンポに見慣れているため。一回り小型な高地
のエソトンポにはすぐに気づけなかったのである。
時々、♂の縄張りに気の弱そうな別の♂が入ってきて瞬時に追い払われて
いたが、それがホリミモソだったのかもしれない。

それにしても、かれらはお互いをどうやって見分けているのだろう?
案外、特徴ある黄斑で見分けているのかも?とふと思った。
ホリミ♀はそれきりどこかへ姿を消してしまった。
二日目の朝になる前にこのポイントに気づいていれば・・・と少々悔やまれた。
(二日目は宿の回りで蝶を撮っていた)
満足出来るショットは押さえられなかったが、またの機会を楽しみにしたい。

時間も迫ってきたので、湿原をあとにし、初日、二日目と訪れた水辺を三度訪れる。
案の定、水辺には昨日までどこに隠れていたのか、ルリイドトンホが何頭か飛び交って
いる。



時間がないので長靴を履いてこなくてあまり寄れなかったが、より確実な
ショットを押さえることに成功。

二日間世話になった宿に戻りいよいよチェックアウト。
そのまま帰るのもなんなので、家の者が見たいと言っていた滝見物に出かける。
ところが、この滝へのアクセスはアップダウンがきつく、三日間で最も困難な
道のりだった。やっとの思いで滝にたどり着くと、カメラマニアがいいポイントを
三脚を立てて占領していた。これも一種の迷惑行為に近いものかも?と感じた。
綺麗な風景を写真に納めることはそれはそれで素晴らしいことだが、大勢でその場を
占拠してしまうのは、やはり良くないことだと思う。そんなことを思いながら、付近
を見渡すと、ルリポシヤソマやタガネトソボが時折飛んできて、歓迎してくれている
ようだった。



滝の近くでは数頭のセフィルスが飛び交っていた。
今回はセフィルスとの出会いも期待されたが、そちらはちょっとハズレだった。
でも、くたびれた個体とはいえ、ギリギリで出会えたのでまあ良しとしよう。
(セフは種類の見分けはよくやらないがオオミドリかな・・・)

滝も見れたし、家族に相談して、アクセスしやすいもう一カ所の水辺にちょっと
だけ立ち寄らせてもらうことにする。
水辺に着いてあたりを見渡し、思わず唖然とする。
辺り一面トンポの天国だったのだ!



ルリイドトンボをはじめ、この辺りのトンポは時間帯、気温、天気に非常に敏感だった。
水面を飛び交うルリイドは、日が照って暑くなると一斉に岸辺に飛来し、葉上に集まって
休息する。前々から知っていた習性だが、実物を見るのは初めてだった。
オセイトやエソイトよりも標高に厳しいトンポだけのことはあると思った。



水面をルソイト、エソイトが飛び交い、オオルソポシヤソマが産卵し、時々、ヨシポシトンボ
やタガネトンボがホバリングしながら通り過ぎていく。正にトンホの楽園だ。
そして、何と、何と、何と!



あきらめていたカオシロトンボがよろよろ飛んでいるではないか!
最後の土壇場でカオシロトンボにも会えるとは!
今回は随分遠回りをしたが、終わってみれば、目標の全てに会うことが出来た!



足場の都合であまり近寄れないが、こうしてカオシロトンボのショットも
なんとか押さえることが出来た。

この遠征、自分にとっても今までにないくらい充実した三日間だった。
三日とも時間をフルに使って歩き回ったが、充足感こそあれ、疲れは不思議なほどない。
(滝のアップダウンで筋肉痛が出たくらいか・・・)