今年は何と真夏の大阪出張となった。
長い滞在、そしてハードな仕事内容。
果たして無事乗り切れるのだろうか?滞在費用はどうしよう・・・。
種々の不安を抱えつつ大阪入りした。
幾らハードとはいえ、24時間働いているわけではないから、
仕事が終わってホテルへ帰って寝るまでの時間くらいは自由になる。
今回はハードで長期だが、その代わり、オフがとれる!!!
願ってもないトンボ遠征のチャンスだ!
真夏に関西となれば、まずはこのコースを考えるのが定石か。。。
時期的にはまだ早いか?というより、暑さは大丈夫なのか?
これまた種々の不安があったが、寝る前の時間を利用して、
電車の接続などを調べ、体力を温存するように努めて、オフを待つ。
さて、最初のオフが訪れた。
前夜はなかなか寝付けず、3~4時間程度眠れただろうか?
7時前には起きて、早々にホテルを後にし、乗り慣れぬ地下鉄に乗り込む。
電車を乗り継ぎ、目的地に近づくに連れ、窓からの景色の素晴らしさにしばし見とれる。
山々が朝霧に包まれて神秘的な様相を呈していた。
睡眠時間がやや不足していることもあり、大事をとって駅前でタクシーを拾う。
乗車してほどなく、よさげな浜辺についた。
当人はいきなりの探索モード。待ちに待ったオフなだけに、堰を切ったように
目標物を探し始める。
最初の目標は程なく現れた。
しかし、さすがはサナエ。容易に近づくことは出来ない。
何度目かでやっと近づくことを許してくれた個体がいた。
勿論初対面である。
現地付近は昔から特殊なトンボ相で知られていて、しかも各個体数が多いことでも
有名だった。
しかし、昨今の水上スポーツブームの影響で羽化の失敗が続出し、繁殖を脅かして
いるという。
浜辺にはコウノトリ(嘘)が・・・・。
最も多く見られたのは、この羽化殻だ。尤も、オオヤマはどこにでもいる種類だから
環境変化にはかなり強いだろう。深刻なのは、本州特産の稀種二種なのである。
それでも幸運にも何度かシャッターチャンスには恵まれた。
意気揚々と引き上げ、駅前の昭和を彷彿とさせる喫茶店でピラフとアイスコーヒーなる
ものを注文し、デジカメの液晶を見ながらにんまりしている男がいた。
さて、早々と第一の目標を達成してしまったが、こうなると欲が出てくるのが
人情というもの。
実はオフはもう一日ある。
体力的には不安が残るが、もう一つ、まだ見ぬトンボへの憧れを具現化出来るかもしれない。
それからは、体力温存に努めつつ、週間天気予報チェックに余念のない夜が続く。
しかし、どうもオフの日は雨模様のようだ。。。。しかも降水確率50~60%。。。。
まあ、何年後になるかわからないが、また来ることもあるかもしれないし、もう一つの目標は
秋のトンボだから時期尚早という話もあるし・・・。
しかし、なんとラッキーにもオフ前日の予報では、オフの日は晴れ!!!
雨だったら何となく散策してまたの機会につなげようと思っていたのが、一転して完全フィールド
モードになるのは至極当然の流れである。
オフ当日。
やはり7時前に起きて、早々にホテルを出、地下鉄に乗り込む。
大阪の地下鉄は乗り慣れない者にとっては、非常に乗り換えが厄介だ。
尤も、大阪の人が霞ヶ関付近に来たら同じ事を感じるだろう。
この日は、Kさんから教わったポイントに直行することにした。
電車を乗り継いで駅に着き、そこからタクシーで現地へと行く。
多分歩いたらたどり着けないようなところだ。
それでも最初は路線バスなどを調べて、なんとか歩いていく方法も
模索していたのだが、結局、体力温存のためにタクシー利用を選んだ。
現地に着き、岸辺に出ると、いたっ!
なんともあっけない出会いだった。
飛んでいるところは、成熟したカワトンボみたいだ。
10年来の憧れのトンボである。
嬉しさのあまり、その場でお礼の電話をしてしまった。
そして、そこにまたタクシーを呼び、今度は今回訪れたかった某里山へと向かう。
運転手さんも行き先のことはよく知らないようで、会社と無線で連絡しながら、
乗せていってくれた。
次なる場所につき、とりあえず草を分け入って藪に入ってみると、
文字通り藪の主が現れた。ちょっと徳をした気分になる。
そして池におりるとこれがいた。
関東にも進出してきているというトンボだが、自分はまだお目にかかれていない。
とても敏感で接近してショットが撮れない!
しかし30分ほど炎天下で粘った甲斐あり、どうにかここまで寄ることが出来た。
その後、そのあたりの野山をしばらく散策し、まだ時間がありそうなので、
思い切って強行軍を決行することにした。
今度は歩いて最寄りの駅へと向かう。
最寄りといっても数キロ離れているから、ものすごく急ぎ足で、大汗をかきながら
道を急ぐ。
しかし・・・・なんだか道が上り坂になってきた。
ちょっと変かも?と思ったが、道幅が一旦広くなったので、かまわずまっすぐ進んで
いたら行き止まりになってしまった!ガッデム。
しかしそこでくじけるわけにはいかない。
大急ぎで道を引き返し、町の見える方向を目指し、途中、田んぼのあぜ道を通って
ショートカットして駅に向かった。
駅は無人駅である。
乗りたいと思っていた時間にはつけなかったが、やがて電車がやってきた。
なんとも言えない雰囲気の電車だ。しかし嫌いではない。
そしてまた電車を乗り継ぎ、前週に訪れた付近を目指す。
しかし次なる現地についたのは、夕方6時。
夕刻にも活動するとは思うが、間に合うだろうか?
不安に思いながらも、駅から早足で現地へ向かう。
携帯片手のバスフィッシャー達を横目に見ながらしばらく歩くと
ボチボチ現れ始めた。
関東より日没が遅いとはいえ、まわりはどんどん薄暗くなっていくが、
敵は相変わらずすばしっこい!
なんとかすり足で近づいてアップを納めることが出来た。
♀は♀で固まって仲良く並んで卵を産んでいたが、波打ち際にいて
波がきた瞬間に飛び上がって水際に卵を落とす。
これを繰り返すわけだ。
結構非効率的な作業にも見え無くないが、こういう段取りを踏むことが
種の存続にきっとつながるのだろうと思いながら観察した。
波打ち際に止まる♀は砂がどうもすべるらしく、バランスを崩しっぱなしだった。
ちょっと気の毒な光景だが、その光景もまぶたの裏にしっかり焼き付けさせてもらった。
仕事での遠征は今までも数多くあったが、はじめて有効活用させてもらった。
なぜ今まで活用しなかったのか?今にして思えばもっと早くこの手を使うべきだった。
兎にも角にも、目出度く4種を新たにゲット。
やっとの思いで帰郷したらすっかり秋の様相を呈していた。
今年の夏は短かったのかもしれない。