光のみちしるべ ~愛だけが現実~

私たちは皆、神様の子供。
内なる神の分光を輝かせましょう。
5次元の光のピラミッドがあなたを待っています。

でぇ、どうするん?(胸騒ぎの認知症ケア)送迎編③

2018年01月21日 18時06分18秒 | でぇ、どうするん?~胸騒ぎの認知症ケア~

 さて、お銀ちゃんというのは、

 

人気時代劇水戸黄門に登場する「陽炎のお銀」のことです。


由美かおるさんがお銀ちゃんの役をやっていますね。


坂上さんはこのお銀ちゃんが大好きなのです。


だってお色気たっぷりの入浴シーンが、


毎回必ず見られるのですから


世の男性たちにはたまりません。


一瞬で男性の心を鷲掴みにされてしまいます。


ですから、坂上さんには


「デイサービスに行きましょう」


とは言わず、


「お銀ちゃんと一緒にお風呂に入る日だよ!」


と呼びかけたのです。


専門的には❝動機づけ❞と言います。

 


当時、坂上さんは76歳ぐらいで要介護4の認定が出ていました。


家の中で歩いていて奥さんとぶつかりそうになると、


噛みつきそうなほど大きな口を開けてにらみつけ、


右手の拳を振り上げて今にも殴りかかりそうにされるのでした。


ですからなかなか他のデイサービスでは引き受けられませんでした。


でもそんな私も噛みつかれたことが一度ありました。


それは帰りの送迎のときでした・・・。




でえ、どうするん?(胸騒ぎの認知症ケア)送迎編⓶

2018年01月20日 23時06分11秒 | でぇ、どうするん?~胸騒ぎの認知症ケア~

 私は目の前の光景を一瞬で把握しました。

ですから奥様に、

「何があったのですか?」

とは一言も聞きませんでした。

 

ただ、フリーズしている二十歳ぐらいの女性ヘルパーさんに、

「おつかれさまです。もう大丈夫です」

と小声で一声かけました。

 

そして、おもむろにベッドサイドに立つと、

ベッド柵にしがみついている坂上さんに

こう呼びかけました。

 

「坂上さん、今日はお銀ちゃんとお風呂に入る日だよ!」

 

するとどうでしょう。

いきなりガバっと起き出して、

閉じていた目は大きく開いて、

眉間のしわは消えて、

上のパジャマのボタンをはずし始めました。


「あ、お銀ちゃんは外の車に乗って待っているから

 このまま車に乗っちゃおう!」


そう聞くやいなや、すぐにベッドから降りて、

パジャマ姿のまま玄関へ歩き出しました。

そして、玄関に行くと、


「坂上さ~~~~ん」

と若い女性スタッフが思いっきり甘い声で、

車の中から叫びました。


坂上さんはこれまで見せたことのない俊敏さと機敏さでくつに履き替えると、

吸い込まれるように送迎車の中に消えていきました。


奥様に、

「1番目にお風呂に入って着替えていただきますね」

とだけ話すと、

私も一目散に運転席にすわって発車させました。

この間、1分もしない出来事でした。


瞬く間に送迎車に乗って行ったご主人を

奥様はどう見ていたでしょう。

呆気にとられていた表情を今も思い出します。


ところで「お銀ちゃん」て誰なのでしょう?

「お銀ちゃん」の正体は明日あかします。


今夜はこの辺で。



おやすみなさい。。。。





でえ、どうするん?(胸騒ぎの認知症ケア)送迎編①

2018年01月20日 04時57分58秒 | でぇ、どうするん?~胸騒ぎの認知症ケア~


さて要介護3以上の重度の認知症の人を実際に

デイサービスにつなげるのは容易なことでありません。

その方々をご自宅からどうやって送迎車に乗っていただくか、

いつもこのテーマから出発します。

そもそもご本人にはデイサービスに行く理由や目的がないのです。

それにどういうところなのかも分かりません。

ですから最初にこの送迎の場面から書き始めたいと思います。

 

静かな住宅街を送迎車は快適に走っていました。

白子川の桜並木を通り抜け、

車はゆっくりと1軒のお家の前に到着しました。

すると血相を変えてこのお家の奥様が

玄関から飛び出して来ました。

 

「鈴木先生、今日はダメです。みちしるべに行かれません!」

 

奥様はご本人に会う前から

「今日はあきらめてください」と言うのです。

でも私は「大丈夫です。必ずお連れします」と答え、

いつものように靴箱からご主人のくつを取り出すと、

きれいにならべ、

そして玄関のドアは閉めず、

送迎車が到着していることがすぐわかるようにしました。

 

そして添乗している女性スタッフには

車の中で待つように指示し、

玄関に姿をあらわしたら

名前を呼んでくれるように頼みました。


さてお家の中に入ると、

ベッドの上でパジャマ姿のまま

身体をくの字にしてベッド柵にしがみついている

坂上さんの姿がありました。


さらにちょっと離れて

送り出しを手伝ってくれるヘルパーさんが

壁に背中につけてわなわなふるえるように

フリーズして立ち尽くしておられました。



つづく