DT200Aの庫 (goo-blg)

JR北海道の安全への取り組み方に危機感!


 大沼駅に入るDD51牽引の下り貨物列車です。手前の上り線のポイントがまさに今回脱線を引き起こした箇所です。   92,09,20 大沼 3071レ TMX スキャナー : Nikon COOLSCAN ⅣED

 今年07月25日の弊ブログで”JR北海道の連続する事故に思う事”として私の思うことをコメントさせていただきました。しかし、そのコメントで述べた負の連鎖は不幸にも的中してしまいました。一連の車両トラブル以外の他系統へ波及しその結末として異例とも言える国交省の長期監査が行われ、その中から新たに規定の誤解釈が発生し、列車を運休させて急遽補修すると言う自体まで発生しました。
 特に今回私が改めて指摘したいのは安全軽視の会社の体質です。別に私は理想主義者でもありませんが、ことのほか安全には理想を求めます。安全あっての鉄道輸送なのです。また鉄道に限った事ではありませんが社会的に一旦失われた信頼は、おいそれとは戻ってきません。鉄道(特に地方)では鉄道と言う輸送手段しか選択肢のない地域があります。道路も整備されし、バスも走っていてもやはり鉄道は早いし、安全だと言って利用している乗客が沢山いるはずです。その様に選択肢のない利用者が不安を持って乗車すると言う事が私は許せないのです。産経新聞のウェブ版によると大沼駅脱線事故の翌日の事。国土交通省鉄道局には幹部らが朝から顔をそろえ、対応の協議を続けた。幹部は「常識では考えられない。開いた口がふさがらない」と発言したと伝えていますが、監督官庁はその程度の言葉で済まされるでしょうが、日々過酷な労働環境下て安全のためにことのほか神身をすり減らしている多くの鉄道労働者にとっては今回の一連の不祥事・事故は背任行為に思えても不思議はありません。私なりに一連の事故・不祥事で特に問題と思われるのをピックアップすると・・・

・08月17日深夜に八雲―山越間で発生した脱線事故。8日前に同箇所で道床流出が発生してるにもかかわらず流出時と同等の雨量を観測しながら見張り要員どころか巡回もしていないと言うお粗末さで、当該列車の後続が202レ”はまなす”であったことから脱線したのが貨物列車であったのが不幸中の幸いと言えます。これが202レが突っ込んでけが人が出ていたらと思うとゾッとします。異常と言うまでの合理化で人手がいないのはわかります。だったら下請け会社に巡回を依頼出来なかったのでしょうか?もし、それも出来ないなら現場最徐行あるいは列車抑止と言う手配と言う手段をなぜしなかったのか?首を傾げるしかありません。JR北海道の安全体質を象徴している事故であると共に一連の事故・不祥事の中で、防ぐ事の出来た事故のひとつだけに残念でなりません。
・上記事故の影響で森―八雲間が不通となり函館―森間は臨時特急が運転されていました。その臨時特急が18日10時頃、東山―姫川間走行中していたことろ線路に土砂が流入しているのを運転士が発見し非常停車するも停車出来ず流入した土砂に突っ込み運転不能になる事故も発生する事故がありました。この事故は上記の事故を発生させたと思われる雨が降り続いている中、見通しも効かない曲線区間で減速もせずに運転していた事がことつの原因と推測されます(減速していたかもしれませんが、現実に流入現場に突っ込んでいますので減速していないのと同じです)。もし減速していたら土砂流入箇所手前に出来たかもしれません。土砂に突っ込まなければ安全を確認の上、指令行為(指示)で安全な場所まで不測の退行運転する事も出来たはずで、これも会社全体の安全体質の欠如。危機管理の不足が伺いしれます。
・そして今回の大沼駅構内の脱線事故です。多くは説明を必要としないと思いますが、本線の作業を優先するあまり、手が回らなかった、失念したなどとよくも恥ずかしくもなく、さらに旧規則を適用して保守管理をしていたと言うのには呆れ返るばかりです。



 石北臨貨でお馴染みも遠軽駅構内にも軌道狂いが発生していたと報道されていました。   11,09,08 遠軽 9071レ ACROS スキャナー : Nikon COOLSCAN ⅣED

 JR北海道には規定類が正しく適用されているか等をチェックする安全監査の類いは存在しないようです。私など国鉄で育って、国鉄流の安全体質を経験した者に言わせると現場労働者は何をやっていたんだ!と言う怒りが湧きます。私から言わせればいくら会社にゴマを擦っても自分の仕事に疑問を持ったら声に出し、訴えるのが正当な労働者の姿ではないでしょうか 私が所属する国労は常に会社側の不正・怠慢を監視し問題があれば直接管理者に指摘し、改善がなければ労働組合を通じて交渉する。それでもダメなら部外(労基署や労働委員会あるいはマスコミ)に内部告発すると言うスタンスを通してきました。しかし国鉄解体・新会社(JR)設立以降、昇進や果ては雇用を人質にとって物言わぬ労働者を作り上げたのが今の各JRなのです。今回はたまたまJR北海道が矢面に立たされていますが、福知山線の脱線事故も根底には同様の労務施策があったことを忘れてはならないと思います。
 国鉄時代にはどんなローカル線であろうとも、安全は新幹線も同じと言う安全思想がありましたが、JR北海道に限りませんが極度の人減らし、安全軽視の体質の中では国鉄魂・・・鉄道魂が失われてしまった感があります。今回のJR北海道は現場労働者に罪はなく、その様なリスクを抱えながらも限界を越えた合理化、物言わぬ労働者を優遇してきた会社側に責任があり、厳しく責められるべきと思われます。
 私が所属する国鉄労働組合(国労)は約四半世紀前、国鉄分割民営化前に分割民営化反対の立場を堅実し、その弊害を説いてきました。その中で分割による経営体質の悪化で生じる安全への軽視をひとつの根拠としていました。特に赤字体質からの脱却が難しい3島(北海道・九州・四国)は赤字=安全低下を招くとしていました。これに対して当局(会社側)は安全は鉄道輸送の要であり、安全なくして鉄道は成り立たない。だから分割して赤字体質となっても問題はないと繰り返してきました。しかし、それがここへ来てJR北海道でその矛盾が露呈するようになりました。しかしそれは北海道だけの問題ではありません。3島ずかりか本州のJRでも安全は低下している事実にもっとマスコミは眼を向ける必要があります。余談ながら国鉄労働組合員の大半が分割・民営化反対でしたが私は自動車社会の中で民の力、経営方式は必要であると言う持論から分割反対・民営化積極的賛成でした。
 以前に東海道線に乗っていてボックスシートの向こう側で話していた初老の男性二人が”何年か前のJRになる前にくだらない労働組合がJRになったら事故が多くなる!”とほざいていたが、毎日JRは動いているではないか?サービスも向上した!あいつらの言っていたのはデタラメだったと言うことだ!”と話しているのを聞いた事がありました。あの時の初老の老人は今回の北海道の一連の出来事を見て持論が間違っていたことに気づいたのでしょうか?
 最後に今回の一連のJR北海道の出来事の報道で一部マスコミが”今のJR北海道の体質を招いたのは会社が労働組合をコントロールできなかったのが根底にある”と言う主張している事に強い怒りを感じた事を記して置きたいと思います。こんな事を主張したら闘う労働組合の運動を否定する事になるし、会社が誤った道を進もうとしている際に内部告発と言う運動を否定する事になるからです。あともうひとつ、JR北海道は国鉄時代の検測車(マヤ34)を今だに使用していてろくな検測が出来ていない報道です。国鉄時代のマヤでろうともミリ単位の検測は充分に出来ます。そのマヤが検測したデータをいかに活用するかの問題なのに古い検測車があるのが悪いのだと言う主張は国鉄時代から黙々とJR北海道全線を検測していたマヤ342008への冒涜のなにものでもない気がします。


 JR北海道の特有の事情としてほとんどの区間が過疎地帯でありまた全線が積雪地帯ということがあります。   12,01,20 豊ヶ丘 5425D  EOS-1v ACROS スキャナー : Nikon COOLSCAN ⅣED

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