緩和ケア医の日々所感

日常の中でがんや疾病を生きることを考えていきたいなあと思っています

堂々とお裁きに。救急発

2007年02月25日 | 医療

終末期医療を取り扱っている研究班や
関連学会から集まり、総合討論会が開かれました。

「いま終末期医療をどう考えるか?」

その中で
“救急医療における終末期医療のあり方に関する特別委員会”
の委員長である昭和大学の救急センター長の有賀先生から
救急現場での延命治療の中止などの
手順を盛り込んだガイドラインが紹介されました。

・・と・・ 会場にいた弁護士さんから
治療の中止が法律に抵触している可能性があると
指摘がありました。

それに対し・・・
救急の有賀先生は

「我々は、お天道様に正直な医療をやっていきたい
 と思っています。
 法律の線と私たちがお天道様に正直だと感じる線は
 違うのではないかと思っています。
 3年間議論を重ねてきました。
 法律家からも注意を喚起されたことがあります。
 でも、私たちが正直にやったことが
 問題を生じるとしたなら
 堂々とお裁きにあおうじゃないかと思います。
 そのためにも、きちんと遡って、判断に耐えうるように
 記録を残すことに重きを置きました。
 これから半年間広く意見を聞き
 現場に則して 経時的に書き換えていきます。」

つまり、
医療と法律の線引きに差がある現状から考えれば
医療者がその良心に基づいて真摯な医療を行ったとしても
それが法律に抵触することは起こりえることです。

医療の専門家としてあるべき選択をしたことが
法律的に問題を生じるのなら
法律に甘んじるのではなく
法廷に出てでも、訴え続けていく・・
という主張でした。

会場から大きな拍手が起こっていました。

最近のマスコミの医療たたきや
福島の大野事件のような不当逮捕といった
出来事は
医療に萎縮をもたらせ、真の医療人から
無意識のうちに保身になっている現状にあります。
だから、この救急の有賀先生の言葉は
とても力強く、原点に立ち戻らせてくれたと
会場にいた医療者の多くが感じたのだと思いました。

医療者としての良心に基づいた医療の実現・・
ヒポクラテスの誓いってどんなだったかなあと
思い出していました・・

ちなみに、同じ苗字なのですが・・
特に、私は関係はありません・・残念ですが・・


コメント (4)    この記事についてブログを書く
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« ピルとポストとバイアグラ | トップ | あのネイチャーに納豆事件 »
最新の画像もっと見る

4 コメント

コメント日が  古い順  |   新しい順
お天道様 (mr-BJ)
2007-02-26 13:41:13
「お天道様は見ておいでよっ!」

フーテンの寅さんが言いそうな台詞ですね。救急の有賀先生のご意見、興味深く読ませていただきました。

ところで、緩和ケアの有賀先生、「お天道様に正直な医療」とは、「患者さんのための医療」とどういう関係にあるのでしょうか?同じものでしょうか、もし違うとしたらベン図で書くと、どうなるのでしょう?

考えていたら頭がごちゃごちゃになってしまいました。変な質問で失礼。
返信する
コメントありがとうございます (aruga)
2007-02-27 00:23:34
お天道様・・を別の言葉で、医療者の良心に基づいた医療・・とするなら、患者さんのための医療とは、まずは、患者さんの自己決定を支えることが起点になると思っています。問題は、患者さんが自己決定できないとき。救急で意識が無い場合、認知症で自己決定できないとき、そんなとき、この二つをどう考えるのか・・患者さんにとって最良の医療とは何なのか・・このベースにあるのは、コンセンサス・ベースド・メディスンではないかと思っています。患者さんの生き様を知る人たちと、話合いを重ね、ひとつの道を見出していく作業です。以前この点について書いた記事(http://blog.goo.ne.jp/e3693/s/%A5%B3%A5%F3%A5%BB%A5%F3%A5%B5%A5%B9)です。
返信する
まさにその通り (北海道脳外科見習い)
2007-02-27 17:36:47
救急の有賀先生のおっしゃるとおりだと思いますし、
我々はその勇気を持たねばならないと思いました。

あと有賀先生と救急の有賀先生(とても有用なポケットブックでお世話になっています)の関係の謎がやっととけました。
返信する
コメントありがとうございます (aruga)
2007-02-27 22:35:32
脳外科の先生方は、救急医療の第一線にいらっしゃいますから、共感されるところが大きくていらっしゃることと思います。人工呼吸器など多角的に検討しても、かつてのご本人の生き様を考えても、中止を検討のテーブルにあげたいと思われることなどが、中止は法に抵触するとする法律家とはかならずしも一致はしないものだと感じます。

謎でしたか・・光栄です。
返信する

コメントを投稿

ブログ作成者から承認されるまでコメントは反映されません。

医療」カテゴリの最新記事