池江璃花子さんの白血病で
日本中が揺れた1週間でした。
この報道を通して感じたこと。
このニュースを聞いた人は、
他人事として聞いたのではなく、
がんと診断された人が感じるショックや
これからどうなっていくのだろうという先の見えない不安や
今までの自分から、他の自分へ切り替えなければいけないという喪失感など
大小の差はあるとしても、
自分の事のように痛みを覚える
体験したのではないかと思います。
私自身ニュースを聞いて、まず、耳を疑いました。
そして、来年に控えたオリンピックから
治療にギアを変えなければいけないことが脳裏に浮かび、
そこに喪失感や変化に対応しきれない感覚、
なぜ、よりによって池江さんなのかという気持ち
ーこれは、なぜ、私なのか・・という自己への問いに似ており、
とても、痛みを伴った感覚でした。
このニュースから、
私は、改めて次の3つのことを意識させられました。
一つは、自分が感じた痛みを
大切にしなくてはいけないということ。
いのちの危機感を感じた時、
それまでの自分が目指していたものから
他の事に向く方向を変えなければいけないことの
大変さや喪失感、悲しみといった感覚も。
そのような時、こんな辛さを味わうものだということを。
ご本人の気持ちには、とても及びませんが、
今感じるその感覚の先にあるものや
もっと膨らませたことを想像し、
測ることができない痛みを
記憶に留めておきたいと思いました。
二つ目は、人生には「まさか」がある
ことの再認識です。
三つ目は、がんと診断された時、
良い患者になることでもなく、
戦うことでも、抗うことでもなく
克服するものでもなく、
時に、がんに向き合うとしても、
常に求められるのは、
自分に向き合うことなのだ
ということです。
それは、治癒か治癒できないかということではなく、
どのような病状にあっても、
がんを経験するということを
これから先、意識や記憶から消し切れることではなく、
よりよく生きていくことをめざし、
自分に問い、探索していくことなのだということです。
これはまさに、
がんサバイバーという言葉に
帰着するものです。
がんサバイバーの概念は、
海外では、がんと診断された人だけでなく、
その家族や介護者、
さらに、取り巻く人々や
何らかの影響を受けた人々までも
含みます。
今回のニュースで痛みを覚えた人は、
広い意味でのがんサバイバーなのです。
がんだけではなく、
疾病や虐めまで含み、
多くの人が、
痛みを分かち合い、
助け人になれる
社会の醸成を願っています。
(もう一つ、免疫細胞療法のCAR-T療法の議論が
テーブルの上に上がっていきますように。)
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