緩和ケアの社会の認知度がこの5年間で
上がっていないらしいという話を聞きました。
(むしろ、下がった?!)
オレンジバルーンプロジェクトは、
厚生労働省からの委託事業として、
頑張っています。
この認知度の情報出所は不明なので、
近年の傾向をそのように理解しているだけなのかもしれませんが・・・
最近、医学からやや離れたところの知識を必要としています。
ソーシャル マーケッティング
ソーシャルマーケティングとは、70年代に米国の経営学者フィリップ・コトラーが提唱した概念。企業が商品やサービスの販売を通して行う、利潤追求を目的としたマーケティングに対して、ソーシャルマーケティングは社会の変革のためのアイデアや行動を浸透させるためのマーケティング技術の応用をさす。
(http://adv.asahi.com/modules/keyword/index.php/content0037.html)
我々の緩和ケアの普及活動は、
まさしく、このことを指しています。
具体的には、JTの喫煙マナーなどがそれに当たります。
ただ、営利企業ではない学会(緩和医療学会はNPO法人)が
これを応用するとしたら、
また、別の視点になります。
こんなブログを見つけました。
http://blog.goo.ne.jp/ikeday_1977/e/8505b672ac81097b052403a93ce54f19
財務省に勤務していた方が、ハーバード大学ケネディースクールに留学した時の、ブログのようです。
政府は広報が足りない、とよく指摘されますが、冒頭の例にある通り、様々な色刷りパンフレットやセミナー、ウェブサイト、そして政府広報のCM等、様々な媒体を使って工法をしてきているのは事実であり、そこには多額の税金がつぎ込まれています。より正確に言えば「広報していることを広報していない」、あるいは「何のために広報をしているか、何を伝えようとしているのか、広報をしている側が明確に理解していない」というのが実態かもしれません。(本文より)
ハーバード大学ケネディースクールのProf. Feicherの授業。
NABISCOやM&Mチョコで知られたMARSでマーケティング・コンサルタントとしても活躍した方でもあります。
民間企業と政府・NPOにとって、”成功”とは、NeedsとWantsを区別し、Wantsに着目すべしと。
企業的には、誰もチョコレートを必要としていないし、車がないと死んでしまう人はおらず、人はチョコレート(車、歯磨き粉、洗剤etc)を欲しいと思うから買うのであって、ポイントは如何にしてこの「欲しいと思う気持ち」を引き出すか、ということにあると述べています。
政府・NPOにおいて、例えば健康増進のため、そして医療費の膨張を抑えるために厚生労働省が「禁煙」のキャンペーンをしたとします。タバコを吸うと体によくないということ、つまり禁煙が“必要”であることは多くの人が知っていますが、「必要だと思ってても止められない」のが人の常であり、ターゲットとする人々の「禁煙が必要(NEEDS)」というマインドセットを、「禁煙してみたいなー(WANTS)」へと如何にして変えていけるか、というところにかかってくると。
「公益(例えば医療費の削減や公衆衛生の増進)の増進のために、ある考え方や行動様式を受け入れたいと思ってもらい(increase the acceptability of a social idea or practice)、実際に長期にわたってその人の行動が変わること」が成功の定義 (本文より)
これを読んでいて、思うところがありました。
一般の方に尋ねると誰もが言います。
「緩和ケアは大事ですよ。痛みを放置してはいけない」
つまり、Needsはあります。
患者さんに尋ねます。
「緩和ケアは大事ですよ。でも、今の私には必要ない。
まだ、私は、誰かの支援を必要としてはいませんから」
つまり、Wantsには至っていません。
禁煙の例から考えれば、
「禁煙してみたいなー(WANTS)」
「緩和ケアをうけてみたいなー(WANTS)」
へと如何にして変えていけるか
緩和ケアの普及・啓発が増進していくということは、
社会の人が言葉を知っているというだけではなく
必要な人が、受けたいと思い、
その行動に移すことができるということを意味しているのだと、
改めて、心に刻みました。
リンク先のブログの方は、昨年から世界銀行の職員となり、バングラデシュにいらっしゃるようです。その行動力に、ただただ、感服でした。
緩和ケア・・・
何が足りないのか。
どうすれば、敷居が低くなるのか。
なにげなく引き受けた広報委員会・・・
新たな刺激に、
知識の幅を広げなければと思うこのごろです。
「緩和ケア」という名前にとらわれないで欲しいと思います。癌の患者さんを診て、意識していなくても、「緩和ケア」を実践している先生はいっぱいいると思います。
言葉の認知と内容の理解は必ず一致するものではないので、統計的に変な数字が出てくることがあるのですが、まず教育機関である各大学病院に「緩和ケア科」の設置を求めて行く事と学会員を増やす事が、大きな広報になると思うのですが・・・どうでしょう?
私は現在、緩和ケア外来を受診しています。
がんは0期でしたので、手術だけで治療は終了でしたが、退院後に気持ちの落ち込みが激しくなり、利用させてもらっています。
自分の体験を通して感じたことを書きます。
WANTSはあっても、行動に移せないのが現状ではないかと思います。
そのためには、広く言葉を広げることも意味があると感じています。
それは、退院後気持ちが落ち着かなくなったときに、まず思いついたのは無料の電話相談でした。
新聞の行事予定欄にいつも精神保健福祉センターの精神保健相談のお知らせが掲載されていたので、その存在を知っていたからです。
いつも目にすることで、必要になった時に頭に浮かんでくることもあります。
2つ目には、がんと診断された患者さんには外来や入院時に緩和ケアについてのリーフレットを渡すことも必要ではないでしょうか。
私は手術までかなり冷静な患者だったと思います。そのうえ、病気も軽かったので、だれも今の状態になることは予測していなかったのだと思います。
そう考えると、一見問題がなさそうな患者にも情報提供は必要です。
3つ目はあまり緩和ケアが一般的でない現状では、利用を促してくださる専門職者の存在がかなり大きいと思います。
私は不眠状態も続いていたため近くのクリニックを受診しましたが、そこで状況をしっかり問診され、病気がきっかけで鬱になることもあること、専門医の受診も必要なこともあることをしっかり説明してくださいました。
この先生の指導のおかげで、主治医に連絡を取ることができました。
主治医もすぐに緩和ケアを勧めてくださいました。
この二人の先生の存在がとても大きいと思っています。
利用を躊躇することの一つに、自分が使ってもいいのかという気持ちもありました。
やはり、緩和ケアというといくら初期からと言われても、治療修了者が使うのは迷惑ではないかと悩みました。
具体的にどんな人がどんなことで利用しているのかが分かるといいと思います。
緩和ケアの対象かどうかが分からない人も多いのではないでしょうか。
医療専門職者むけへの啓蒙と一般市民、がん患者それぞれの人に向けた戦略が必要だと思います。
長々と書いて申し訳ありません。
私自身、医療専門職者であり、患者となりいかに具体的な情報が患者に対して少ないのかがよくわかりました。
そのため、専門職者に対しては少し厳しいコメントだったかもしれません。
私自身も反省中でがん体験で感じたことを伝えたいと思いコメントしました。
ご参考になるか分かりませんが、以下のプレゼンが興味深かったので紹介します。
「現場の状況を理解したマーケティングと流通業者のグローバルネットワークを築き、どんな僻地の村でもコーラの需要があり購入可能にしているコカコーラ。そんなコカコーラのような企業をNGOは見習うべきだとTEDxChangeでメリンダ・ゲイツが挑発的な議論を展開します。そしてこのやり方はコンドーム、公衆衛生、予防接種などでも利用されるべきではないのか?と問います。」http://www.ted.com/talks/lang/ja/melinda_french_gates_what_nonprofits_can_learn_from_coca_cola.html
今年から、有志の看護師や理学療法士たちと院内の緩和ケア勉強会を月一回始めました。
小さな一歩ですが、どこでもコーラが買えるように頑張りたいと思っています。
私は、やはり一番近い場所にいる医療関係者が、しっかりと伝えていく責任を担っていると思います。
最近、医療関係者が、何となく緩和ケアをわかったつもり、やってるつもりになってはいないかと思うこともあります。
患者さんの欲する形で、ちゃんと緩和ケアを提供できているのでしょうか。
信頼関係のもとに、医療者がもっともっと、「あなたへのサポートはホントにこれでいいかな?」と尋ね、コミュニケーションを取っ
ていき、共通認識の緩和ケアであることを忘れないようにしたいと思います。
ここが実は、とてもわかり辛くしていることなのだろうと思うのです。誰でも、どこでも、いつでも受けられる緩和ケアは、基本的な医療であるばずなのに、それがなぜ、専門的な外来やチームが必要なのか・・・
こうした一次緩和ケアから三次緩和ケアという区分は、カナダでは15年ほど前からなされてきました。多様な形態があることが、またわかり辛さの原因でもあり、浸透のさまたげにもなっていると感じるこのごろです。
学会員は10000人を超えました。大変巨大な学会なのです・・
緩和ケア科という名称は、標榜診療科名ではなく、外に看板を出すことができません。で、緩和ケア内科と私の所も変更しました。でも、変です。専門的な緩和ケアの従事者は、麻酔科出身、外科出身、脳外科や泌尿器科出身、婦人科出身の医師だっているのですが・・
こんな風に書くとおかしな点が幾つも上がっていきます。これを是正することも大切なタスクなのですが、優先順位を付けざる負えないのも現実です。
こうやって、くまごろうさんのように、親身になり、考えてみてくださる方がいてくださると、社会の中で矛盾点に一緒に気づいていただけることができ、変えていく風を吹かせることがしやすくなります。
感謝です!
偶然辿り着けた・・・ではなく、当然辿り着けた・・・になるよう現場では一人一人ができうる努力は続けていると感じています。また、そこに、患者さんの立場や市民の方々の声が反映されるとさらに太くなると思いますので、これからも、ともに種をまくことをお手伝いくださるとありがたいです。
OBPと広報委員会は別の立場で活動してきた経緯があるようですが、さりげないサポーターとして知恵を出し合っていきたいと思います。エールありがとうございました。
コカコーラ社が地域に密接させた3つ目の憧れをどのようにキャンペーン行ったかということに対応させた医療や援助でのアプローチへのヒント。下痢の防止にトイレを設置することをどのようなキャンペーンをインドで行ったかという例もヒントになりました。
がん治療中の患者さんにどのように伝えるか、TEDを見ながら、一つ閃いたものがあります。ユニセフの募金キャンペーンの広告のような使い方ができそうなもの・・まだ、恥ずかしくてここには到底かけるようなものではありませんが、膨らませてみます。
本当にありがとう
内実を伴うことが何よりも信頼を得るには大切なことですから、とても大切なことだと思います。
地道な活動があっての、広報だと思います。
一緒に頑張ってくださっている方がいることが、大きな力として感じられます。