頭頸部癌の患者さんでした。
当時、90歳近い女性で、喉頭癌でしたが、
頚部リンパ節転移があり、
縦隔リンパ節転移も疑われていました。
抗がん治療の担当医から、
迷走神経反射を起こすことがあり、
硫酸アトロピンの投与中であることが
情報提供書に記載されていました。
今から20年位前の話です。
頭頸部や縦隔を走行する迷走神経が
浸潤などで刺激を受けると、
副交感神経優位となり、
除脈や血圧低下を突然起こしたり、
持続的に認めることがあります。
浸潤による神経絞扼等の刺激が病態ですから、
ステロイド―抗炎症効果が高いものとして、
デカドロンやベサメタゾンなどを用います。
また、この症例のように
除脈を認めるようであれば、
硫酸アトロピンの適応にもなります。
硫酸アトロピンは、代謝が遷延する因子-
高齢者であることや再発進行がんによる衰弱などがあると、
中毒域に達してしまう可能性があるため、
あまり、積極的には用いてきませんでした。
硫酸アトロピン1.5㎎ 分3 といった処方でしたが、
結果的には、デカドロン4㎎ 分2 朝昼
を追加し、その後、アトロピンを減量、
中止へと変更することができました。
事前にご家族に、急に心停止を起こす病態であり、
対処は行っていても、がんの進行により、
避けがたいものであることの説明を行いつつ
万一に備えるようにしました。
その予測の通り、残念ではありましたが、
ご家族の面会時間に、ご家族が反対側を向いていて、
はっと患者さんを見た時には、
心停止となってしまいました。
このように、迷走神経反射を起こすと、
数十秒で死亡されてしまうこともあり得ます。
ご家族や患者さんに
事前の説明がとても大切になります。
伝えるだけではなく、
突然の心停止ですから、
お気持ちをたずねることを
忘れないようにしなければいけない病態です。
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患者さんの気持ちをきちんと知らずに、話が進んでしまうことがよくあります。
医療現場においてはその部分をどれだけ時間をかけているのかによると思います。
私はこのブログを、薬剤師のゆうこさんがされているブログから知り、伺うようになりました。
緩和ケアについて理解があいまいであった私は、実際に医師で緩和ケア医の方がブログをしてないかを探すようになっていた矢先のことです。
元は医師を目指していましたが、思うように行かず不本意にも薬学部に入学し、早五年になっています。
医療現場における緩和ケアの現状をしっかり、理解するために今後も伺いたい…そう思いました。
毎日ブログを更新して思うのですが、備忘録的に勉強したことが頭に入っているのをすごく感じています。
これからも、緩和ケアのために日々を大事にいきていきたいと思います。
人生の紆余曲折の中にあって、自分の意思とは異なる場に身を置くことは、進路のみならず、疾病、事故、恋愛、家族、死・・・、枚挙にいとまがないことです。
でも、その感覚をどうぞ、忘れないでいてください。
そのことが、喪失の理解への大きな手助けになるからです。
もしかすると、薬学の道に進んだからこそ、ゆうこさんとの出会いがあり、ここへのお立ち寄りがあったのかもしれませんね。
これからも、どうぞ、よろしくお願いいたします。