緩和ケア医の日々所感

日常の中でがんや疾病を生きることを考えていきたいなあと思っています

がん妊孕性の番組で・・批評家ではなく、応援団になろう!!

2023年04月16日 | 医療
先週、夜遅い時間に何気にTVをつけたら

がんの妊孕(にんよう)性を取り上げた番組が・・


ハートネットTV“しあわせ”の選択 ~AYA世代のがんと妊よう性~
日本人の2人に1人が生涯で「がん」になると言われています。特に15~39歳までのAYA世代では、毎年2万人が新たにがんと診断。直面するのが「子どもをもつ能力(妊よう性)」を失うリスク。医療の進歩に伴い、“妊よう性を温存する”という選択が重要視され始めています。番組では、20代でがんを経験した2組の当事者の姿を通して、それぞれの“しあわせ”の選択を見つめます。特集ドラマ『幸運なひと』連動企画。


最後に記載されている
ドラマ「幸運なひと」の
脚本家は、吉澤智子さん。

癌治療学会のシンポジウムで
ご一緒したことがありました。

ご主人を肺癌で亡くされ、
その経験が今回のドラマに
散らばめられていました。

そして、
そのシンポジウムで、
リモートで演者として
参加してくださった
岸田徹さんが、
冒頭のNHKの番組に
登場されていました。


AYA世代とは、
A:思春期
YA:ヤングアダルト(若年成人)
15歳から39歳までをさします。

(35歳までとする場合もあり、
概ね30代とお考え下さい)

高齢者や小児とは異なる問題に直面します。

例えば、
就学
就職
結婚
妊娠・出産
 ・
 ・


タイトルにある
妊孕性とは・・
妊娠するために必要な能力のことですが、妊娠するために必要な臓器と機能と言い換えることができます。妊娠するために必要な臓器として、女性では子宮や卵巣が、男性では精巣が挙げられます。その一方、妊娠するために必要な機能として、女性では排卵や月経などの整調な生理の周期に伴う現象が必要ですし、男性であれば性交渉を行うための勃起や射精能力も妊孕性を構成する一部と考えられています(表1)。さらに、妊娠するために必要なものとして“配偶子”がありますが、これらは遺伝情報(生物の体を構成するための設計図のようなもの)を持っており、生物として種を存続するために必須のものとなります。女性であれば卵巣の中に存在する卵子が、男性であれば精巣の中に存在する精子が配偶子にあたり、生命を次の世代に繋ぐためにとても大切なものといえます。
 日本がん・生殖医学会

NHKの番組の中で、
精子凍結保存後、
妊娠・出産に至った経験を話されていました。



そして、
色々なことを
言われたことも・・


例えば、
がん患者が子供を持つとがんが遺伝する・・
など・・



ええ???
そんなことを言われたの???
驚きと悲しみと残念さで一杯になりました・・


遺伝子異常は
先天性と後天性にわかれます。

遺伝する・・とは、
先天性の生まれる前の遺伝子異常をさし、
後天性は生まれた後、環境や生活習慣や原因がはっきりしない理由で遺伝子異常をきたすことを言います。

がんにおいても、先天性のものがないわけではありませんが、どのような異常でどのような疾患が生じるかは相当判明してきています。




ご本人たちは、こうしたことも含め、誰よりも悩み、考え、調べ、専門家に相談し、その結果、お子さんを持つという決心をされたのです。


ご本人達が決心したことは、無条件に応援しませんか?



そういうと、期待通りにならなかったら、困るのは本人達だから気づかせてあげないと・・と言う人達がいます。

当事者の方は、回りの誰よりも、私たちの想像を越えて検討を重ねられています。
ただただ、決めたことを応援し、一緒に喜び、結果に関わらず困った時には手を携えて、一緒に歩む仲間になって欲しい。



一生懸命いのちに向き合っている人達・・
生きぬくことを改めて教えてもらっている日々です。

私たちの社会は、安易な批評家ではなく、応援団でありたいと思います。

-Rita-👩‍🍳 und 📷 mit ❤によるPixabayからの画像

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2 コメント

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Unknown (しましま)
2023-04-16 16:24:52
妊孕性という言葉を初めて知りました。
身近な人と真剣に考えて出した結論。
周りのものは応援しないといけないですね。
二人に一人は生涯でがんになる、というのはショックなようですが、実際周りを見ると頷けます。
自分と他者の「どう生きたいか」を尊重していきたいと思いました。
返信する
しましまさん (aruga)
2023-04-16 16:57:43
皆がしましまさんのように他者を尊重していける人であれば、傷つく人は少なくなるのになあ・・とつくづく感じました。
温かなコメント、本当にありがとうございました!!
返信する

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