緩和ケア医の日々所感

日常の中でがんや疾病を生きることを考えていきたいなあと思っています

何年も続いていた皮膚炎がビタミンで軽快:食事は大切!

2025年01月26日 | 医療
外勤先で他の先生から引き継いだ患者さんでした。

何年も慢性的な皮膚炎があり
皮膚科専門医からステロイド
外用剤の指示が続いていました。

高齢者で、引きこもったような
抑うつ的な様子と聞いていました。
食事を確認すると
宅配のお弁当が毎日届き
それを食べているとのこと。

お弁当について尋ねました。

 全部食べますか?

 ええ・・まあ・・

 どんなものは残しますか

 ひじきとか・・

 他のおかずも?

 まあ・・

ご飯を佃煮などで食べ
おかずは大半を残してしまって
いることがわかりました。


ああ・・この皮疹・・
多分、何かの栄養障害だ・・

 牛乳は飲みますか?

 嫌い・・

 豚肉は?

 食べてない?
 わからない・・


ナッツは硬いので無理ですし
肉、魚はどれが豚肉かわからない様子でした。

もともと高脂血症がありました。
認知力の低下、表情が乏しいことも気になりました。


と・・
ここまで情報がそろえば
ビタミンB欠乏症を疑いました。

ビタミンB1, 2, 6, 12の補充を開始しました。

2週間、皮膚は落ち着き始め、
    ステロイドは中止
1か月、茶色く軽快してきました。

半年・・皮疹は消えました。
表情が出てきました。
薬の置き場所を記憶し
教えてくれるようになりました。
ゆるゆる暮らしていらっしゃいますが、ご本人らしい生活を送っています。

こうしたビタミン欠乏症
栄養障害は、今の日本では
多くはないと思われていました。
若者の偏食や無理なダイエットは
警鐘をならされていますが
高齢者の低栄養や偏食などは
見落とされていることが少なくありません。

救急搬送された心不全の50代の
患者さんは拒食症が根底にあり
ビタミンB1欠乏症、
いわゆる脚気と診断され、
その補充で寝たきりから買い物に
行けるまで回復されました。

90歳以上の心腎不全の患者さん
ほぼ寝たきりになったのですが
欠乏がわかったビタミンや亜鉛の
補充、利尿剤や下剤などの
症状緩和を始め、次第に嚥下が
戻ってきました。
味が好きだったエンシュア®を
1日1缶内服。
タンパク質が入るので
腎不全に注意しながらでしたが
尿素窒素が上昇することなく
そのうちなんと
歩行できるまで回復されました。

こんなにお元気になられると
本当に、医師冥利につきます。
栄養の重要性を感じることが多く続きました。

次回はビタミンBについてまとめてみようと思います。

SilviaによるPixabayからの画像

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