緩和ケア医の日々所感

日常の中でがんや疾病を生きることを考えていきたいなあと思っています

無症状から死に直面する急変までふれ幅が本当に大きいCOVID-19

2020年08月16日 | 医療
(Jill WellingtonによるPixabayからの無料画像)

食事をした友人が新型コロナ陽性とわかった高齢の方でした。

その1週間後にPCR陽性、
アビガンなどを使っても
血中酸素は下がっていき、
1週間で挿管の話し合い・・

こんなにも短期間に悪化するものなのだろうか・・




無断外出できるくらい
無症状の若者の患者がいる一方で、

血栓症の急変でもなく、
坂道を転げ落ちるかのような
肺炎の悪化を辿る高齢者がいるという現実。


統計上は、
重症とは挿管され人工呼吸器が
装着されている患者数を指し、

こうした死に直面していても
挿管されない患者さんは
中等症に含まれるのだとか・・


このような挿管をどうするか
検討が必要な患者さんにこそ、
臨床的には、一番ケアや苦痛への対処が必要で、
看護師の手を要しているのですが・・



重症数が増えていないから、
医療機関には余裕がある・・とは、
病床数に物理的な余裕があるという意味であり、
医療従事者の精神的、身体的な負荷が増えていない
ということに等しいことではありません。

さらに、重症数が少ないから、
状態が悪い患者さんは少ないという指標にもなりません。




2週間前までは何も変わらない日常だったのに・・
と思うと、
日頃、がん診療の緩和ケアに従事している時間軸とは異なり、
こうした急速な変化に、辛さや悲しさ、不条理さを
感じないではいられないのです。
少々気持ちのつらい出来事でした。



どうぞ、
重症数が多くないから大丈夫と思わないでください。
これから、
中等症から重症が増えるのではなく、
中等症から急に死亡数が増えていく場合もあるかもしれません。

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