「あなた方も喪失体験をしたことがあるでしょう。失恋、引越し、死別、負けたこと・・その時の感情を思い出しなさい。その先に、死を感じる人の心があるのです。」シシリー・ソンダースが、来日した時の言葉。
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英国で初めてホスピスを設立したソンダースは、死に行く人をどう支えればよいかという話をしていた。我々が日常の出来事で感じている喪失感と死を意識するときの感情は大きさは異なるが質的には近似していると指摘した。
今日のブログは、米産牛肉輸入再開の話を書こうと思っていた。
久しぶりに次男と昼食をとり、すでに参加している高校バスケの練習に送り出したころ、tomatoさんのコメントを受け取った。8年前、良性疾患の診断を受けたが、3年前の肺病変から、実は肉腫であったことが分かり、今は信頼されている治療医のもとで症状緩和をなさっているという。でも、心が痛かったことを気付かれたと書かれていた。
火曜日の次男の試合の後、水曜日も休みを取っていたのだが、試合は終わってしまったので仕事に切り替えた。今頃は、体育館で・・ 時計を見ては、こんな風に思いながら、仕事をしていた。次男は、そういう思いを振り払うように高校チームの練習で体を疲れきらせて没頭している。私の中に、虚無感がどこかにあった。
それが、tomatoさんのコメントを拝見したとき、いたたまれない気持ちになった。どんなお気持ちでこの3年間過ごされてきたのだろう。どのような感情とともにホスピスへ足を運ぼうとされているのだろう。
薬剤を使った疼痛緩和は、誰にも負けない程勉強してきた。
病院内での、コンサルトがあった患者さん支援についても、少々のことでは揺るがないようになった。
でも、遠いところでのがん診断や治療の現実を耳にすると、どうしてそんな・・ といった虚無感がさらに大きくなったような気持ちになる。当事者ではないのだが、ただただ医療者として申し訳ない気持ちになる。
そういえば、今週も、他院で症状が取れないので入院させてもらえないかという電話が何件もあった。
でも、当院の緩和ケア科では緩和ケア病棟はないし、一般病棟でのベットを常設していない。がん治療中であれば、当該治療科が転院を了解すれば併診する。がん治療が終わった方については、原則緩和ケア病棟への受診をお勧めしており、何とか、急性期病院での緩和ケアのスタンスを維持している。でも、困っている患者さんの相談を受けるたびに、何とも物悲しくなってくる。緩和ケア病棟の敷居の高さ、社会のニーズとのギャップを改めて感じた1週間でもあった。
「他院の患者さんの緩和ケアサポートの限界」のご家族が外来に来てくださり、状況と今後についてお話くださった。最後に、「ブログ読んでいます。本人共々感謝しています」と言ってくださった時は、救われた気持ちだった。離れていても応援しています。
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今日も、お付き合いくださりありがとう。明日も、来て下さいね。
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