緩和ケア医の日々所感

日常の中でがんや疾病を生きることを考えていきたいなあと思っています

師を見送って

2010年07月22日 | つれづれ

大学を卒業して初めて入った医局。
その時、大変お世話になった教授がお亡くなりになりました。



最後の診療に当たらせて頂いていました。

最後を任せてもよいと思って頂けたのですから
教え子としては、本当に、光栄なことでした。




最後に訪問診療でおうかがいさせて頂いた時、
すでに、せん妄も認められていましたが、
ご家族の対応は素晴らしいものでした。

教授と奥さまは信頼しあっていらっしゃっり、
互いを誇りに思っていらっしゃっていました。
奥様の対応や
せん妄があっても穏やかな時間が流れていることから
私には、よく伝わってきました。




診療の医師としてではなく、
一教え子として声をかけさせて頂くと
第1線を離れて随分経たれていましたが
現役の教授に戻られていました。

最後に離れる時、
これがお目にかかる最後だと感じつつ
「先生、またお目にかかります」
と申し上げると、
「ん。じゃ」
その声は、威厳のあるあのころの先生でした。



先生は、腎不全の患者さんの医療のパイオニアでした。
私は、今は異なった道に進みましたが、
静かに、強く、切り開いていく姿勢は
今も影響を受け続けています。

私を育ててくださった方が
また、一人立ち去られました。


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3 コメント

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お弟子さん冥利につきましたね(^_^)。 (PANDAの妻)
2010-07-26 01:30:34
先生、酷暑の毎日ですが、くれぐれもお体にお気をつけてお仕事されてくださいm(__)m。
お師匠先生の最期にお呼び頂けたなんて、お弟子さん冥利につきましたね(^_^)。
本当に素敵なお師匠先生だったのですね。文章から伝わって参りました。
羨ましいです。
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PANDAの妻さん (aruga)
2010-07-26 23:23:21
いつも、お送りくださるコメント・・どんなに、心を暖めてくださっていることでしょう。

式の最後に奥様がご挨拶された言葉に、患者さんの厳しく長い道のりを雪山の尾根伝いを歩く様に例えられた先生の言葉がありました。私達は有能なガイドである努力、ある時は暖かな山小屋であるべきであると。

今、改めて、この言葉を心に刻んでいます。
返信する
献体 (サジタリウス)
2010-07-29 07:14:58
お久し振りです

arugaさんの先生のご冥福を心からお祈り申し上げます。

最近仕事にカムバックしてとても忙しくて、長らくこのブログを見るのを忘れていました。痛みはまったくなくなり薬を呑むのを忘れるほどになりました。

少し気になるのが臍のうえあたりにあるリンパ節が重いような不快感があることです。他の骨にある転移はまだ大丈夫のようです。

ところで、私が参加しているマイボイスというアンケート調査のフォーラムの中で献体の話題があり活発な意見交換がなされました。

もちろん私も参加しましたが、いろいろ勉強させてもらうことができました。

私の希望では眼球提供のあと献体へと思っていたのですが、それが受け入れられない医大があるということでした。

そのほかにもたくさん考えさせられることがあり、実のある討論が行われ目からウロコが落ちる思いでした。

このフォーラムはとてもアットホームで紳士的な所で各界の知識人も多く参加していて、たいへん気に入っており、毎日見て私も積極的に参加しています。このフォーラムのおかげで、タイピングはやさが驚異的に早くなりました。

けっしてこのフォーラムの宣伝ではありませんのでご了承ください。

             サジタリウス



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