もう、10年位前になるでしょうか。
今とは違う大学の緩和ケアを立ち上げていた時
歯科口腔外科の病棟で
20代の舌がんの患者さんを
歯科の主治医・担当医A先生といっしょに看取ったことがありました。
緩和ケア病棟でのケア以上のケアに
スタッフもA先生も私もかかわっていました。
長く、ゆっくりとした時間が過ぎる中、
若い女性をケアしながら見守っていくことは
それは、緩和ケア病棟で何例もそのような症例を経験していた私でさえ
苦悩と葛藤の時間でした。
年齢に差のないA先生は、さらにお辛いことだっただろうと思います。
患者さんは体のすべてのエネルギーを使い果たして
亡くなっていきました。
最期の時、今もはっきりと覚えています。
A先生は、カルテに確認した時間と共に
「旅立たれた」
と記載していました。
急性期病院の中で、
抒情的な最後の一文をみたとき
緩和ケアの看取りは、ホスピスや緩和ケア病棟でなくとも
同じレベルのことができるんだ・・・
そう、実感しました。
緩和ケアがまだ、緩和ケア病棟に限定されていた時代の
急性期病院でのチャレンジの手ごたえを感じた出来事でした。
それから、しばらくして、この時の歯科のA先生から連絡がありました。
医師になることを決心した・・
医学部に入学したと・・
本当に驚きました。
私にとっては、歯科医も医師の仲間でした。
でも、それでは足りないものを感じられたのでしょう。
6年間の歯科を卒業し、歯科医師として活躍されていたのをやめ、
6年間の医学部に入学されていました。
そして、
今回、
宮崎大学の講堂に入ったとき・・・
覚えがある顔が
私を迎えてくれました。
まぎれもない・・
・・A先生、その人でした。
無事、卒業され、
今、研修医1年生なのだそうです。
講堂でのあわただしい時間の中で、
互いに走馬灯のように、
これまでの出来事が蘇ってきたことが理解できました。
あまりに、予期しなかった出来事だっただけに、
今回、再会できたことが
どんなに、感動的なことであったか、
今、改めて、かみしめています。
かつて、出会った方から、
あの時、先生に出会えたから、
今の自分がありますなどと話されると、
言葉にならない嬉しさを覚えます。
10年前、その大学病院で、
あきらめないで道なき道を何度も行ききしてきた甲斐があったと思います。
宮崎から羽田について、その足で聖路加病院へ行き
緩和ケア研修会のお手伝いをし、夜帰宅しました。
今、一息ついて、
過日の出来事を しみじみ振り返っています。
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来年度、認定看護師を目指してみます。一人でも多くの人の笑顔がみれますよーに。。。
認定看護師さんを目指されるとのこと、本当に心強いです。ぐ=っと後押しされるような感じです。
よろしくお願いします。
脳脊髄液減少症も
早く早期発見、早期治療、
そして、日常での闘病生活での症状の緩和ケアに取組んでくださる医師や看護師さんが増えてくださる日が来てほしいと願っています。
今、脳脊髄液減少症治療に取り組む医師たちは、殺到する患者で治療をこなすので精一杯で、
患者の闘病生活での痛みなどの緩和にまでなかなか手がまわらないのが現状です。
脳脊髄液減少症は本当に痛いのです。
私は布団に背中が触れるのも痛くて、
そっと寝なければなりませんでしたし、
脊髄の中を虫に食い荒らされるような移動する痛みも経験しました。
何より、病名もその症状の過酷さも、地域の医師にさえ、理解されていない現状が、とても悲しく
関西に住んでいるので近いのですが、金曜日の平日とあってあきらめていました。が、部長からお許しが出て・・・・
中ノ島公会堂での麻薬研修会、昨年の緩和医療薬学会に続いて3回目です、先生にお目にかかれるの・・・・。楽しみにしています。
痛みがあってお辛いとき、どんなナースなら救われますか?生の声ほど参考になるありがたいことはありませんから。よければ教えてください。
私は患者さんやそのご家族に寄り添えるナースになりたいです。
緩和ケア医の林先生のセミナーに参加したことがあるのですがこの先生は声のトーンとかチョイスする言葉が優しくて感動しました。
私ももっともっと内面を研いて頑張ります!
はじめまして。
お立ち寄りくださり、本当にありがとうございます。
お察しするにあまりある苦しい日々ではないでしょうか。お体が少しでも楽に過ごせる日を祈ってやみません。
tokoさん
こんにちは。
学会で、お目にかかれそうですね。
秋の緩和医療薬学会にも行く予定です。
ちーさん
こうして、繋がりが広がって行くと嬉しいです。寄り添える医療人。温かい言葉。簡単な言葉のようで、本当に深く、大切な言葉だと改めて思います。
かぼちゃちゃさん
再発がかぼちゃちゃさんがステップアップなさる原動力になったのですね。負を正に変える力を感じました。再々発されたとのこと、色々なことがよい方向にいきますように。
多くの医師がそれまでの診療科での経験で十分緩和ケアに精通していると自己評価される中、外科医から緩和ケア医に転換され、研修をなさっていると知り、心が熱くなりました。
真の専門医を目指していらっしゃると思いますと、千葉で指導されている先生は、何と誇らしいことでしょう。
いつか、きっと先生にお目にかかることができると信じています。