緩和ケア医の日々所感

日常の中でがんや疾病を生きることを考えていきたいなあと思っています

どの程度、心に入って行けばよいのでしょうと聞かれたら

2009年06月04日 | 医療

「患者さん辛そうなんですよ。
 でも、どこまで介入すればよいかわからなくなって・・」

よく聞かれる質問です。






ここには、ピットフォールが存在します。

「どこまで介入するか」
この主語は、「私は」です。

どこまで介入するかではなく、
患者さんはどこまで介入することを望んでいるか・・
なのです。

主語は、「患者さん」であるべきなのです。
だから、どこまで介入すればよいかは、患者さん次第なのです。







では、具体的にどうするか・・・

患者さんが、どこまで心の中に入ってきてほしいと望まれているかを
知るための質問をするのです。




「お辛そうに見受けられますけれど・・いかがですか」

「そりゃ、辛いですよ」

「そうなんですね。やはり、お辛いのですね。
 そのことについて、もう少し話して下さいませんか」
・・・・・・これは、英語を訳した質問。時々、本でこの聞き方を目にしますが、こう聞くと患者さん、お顔に“????”が付きます。

なので、
「そうなんですね。やはり、お辛いのですね。
 どんな風にお辛いですか。
 もし、差し支えなければお伺いしてもよろしいでしょうか。」





「話すともっと辛くなりますから、今日はごめんなさい」
と・・例えばですが、言われたなら、ここでストップです。

「家族のことを思うと・・」
と・・例えばですが、言われたなら、さらにお話ししたい、してもよいというサインです。





自分の中に、どうしたらよいのだろう・・という疑問が浮かんだら
患者さんはどうしてほしいと思っているのかという視点から
自分がどうするのかという視点になってしまっていないか
一度、自分の心を点検してみることです。

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5 コメント

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すごくわかります! (ちー)
2009-06-05 20:24:00
普段私もそういう事で悩んだり踏み入れていいか戸惑ったりしてしまうことがあります。でも、先生の言わはるように患者さんの希望をまず中心にとらえて考えていくことが大切ですよね。何だかうまくいえませんが、はっ!と心の中に入ってきました。いつもありがとうございます!
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ちーさん (aruga)
2009-06-06 23:16:46
いつも、そうですね!って後押しして下さり、本当にありがとうございます。
すごく、嬉しいです。
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Unknown (missy)
2009-06-07 08:53:01
とても大切なことで、とてもシンプルなことだけど、忘れがちな”患者中心のケア”。医療者が主語にになるのではなく、患者さんが主語になること。

トピックを読んで、誘発されて私も一文書いたので、トラックバックさせてもらいました。
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本当に! (ちー)
2009-06-07 16:33:13
医療者側の憶測でケアの介入をしてしまいがちですが、世のなかたくさんの人がいて生まれ育ちもみんな違い考えも違う。みーんなが同じ考えだと考えるほうが過ちのもとなんですよねぇ…。患者さんに希望や思いを聞いてみないと見えてこないんだな、とわかりました。
頑張ります!
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コメントありがとうございます。 (aruga)
2009-06-07 21:20:55
TBもありがとうございました。
後押しがうれしいです。
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