日曜日の夕食の後、ツタヤによってレンタルCDのコーナーを見ていた。
フィギュアのトゥーランドットをみて、かつて踊りに邁進していた頃の自分を取り戻すきっかけになったことも重なり、クラシックコーナーを見ていた。オペラトゥーランドットが幾つか見つかった。カレラス、ドミンゴ、そして、何とマリオ・デル・モナコとレナータ・ティバルディが共演しているものが!!
5年前に他界した母は、音楽の教師だった。実家にはクラシックレコード全集が何冊も並んでいた。これを聞き始めたのが小学生頃。全集のイタリアオペラ特集の中に、マリオ・デル・モナコとレナータ・ティバルディのトスカやリゴレット、椿姫、アイーダ、蝶々婦人、道化師などの有名なアリアが入っていた。この頃、レナータ・ティバルディが来日し、TVを興奮しながら見たのを覚えている。このCDの時代になって、50年~70年代に活躍した歌手のものがあったとは。ずっと心の中で大切にしていたものに突然出会えてような懐かしい気持ちだった。
そして、もう一枚。荒川静香がオリンピックで使ったヴァネッサ・メイのバイオリン、トゥーランドットもその横にあった。ヴァネッサ・メイってまったく知らなかったのだが、香港が中国に返還されたときの式典で作曲、演奏した天才少女なのだそうだ。ロンドンで育ったけれど、中国人の血が流れる自分のアイデンティティーを探し続け、トゥーランドットもそうした彼女の編曲になっていた。マリオ・デル・モナコのアリアは自信に満ち溢れていたが、ヴァネッサ・メイははかなく、切ない旋律だった。
子供達と借りてきたCDを聞きながら母の日を味わいつつ、急性白血病で亡くなった母の事も改めて思い起こすことが出来た日であった。