緩和ケア医の日々所感

日常の中でがんや疾病を生きることを考えていきたいなあと思っています

化学療法の制吐剤

2009年11月02日 | 医療
化学療法中の制吐剤の使い方・・

なんだか???と思うことが、以前からよくありました。





ステロイドの種類?量少なくない??

5‐HT3 の制吐剤・・化学療法から時間がたっているのに
そんなに度々使うの????





ステロイドは、デカドロンで吐き気が強ければ20mg

5-HT3は、最初だけ使うもの

という認識でした。






今年の癌治療学会
制吐剤のガイドライン作成に関するセッションの中で、

海外のガイドラインの作成に参加されていた医師のプレゼンの中で
日本の臨床試験のデザインの問題点を列挙されていました。
その中で・・
日本では、デカドロン20mg使うところを
4mg、8mg、16mgを選択してることがある点

ガイドライン作成委員の医師からは・・
5-HT3は、急性期の嘔吐(化学療法投与後24時間以内)に効果があり、
それを超えた遷延性の嘔吐には効果がない。
なので、抗がん剤投与当日に、前投与的に用いますが、
その初回のみ。
後は、他の薬剤でコントロールすること。




やっぱり、それでよかったんだ~
ホッとしました。

もちろん、内容としては
ステロイド、5-HT3だけではありませんが、

癌治療学会制吐剤のガイドライン
もうすぐ公表されるようです。

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4 コメント

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Unknown (jun)
2009-11-03 23:17:38
ガイドラインがあるとよりどころになりますね。5-HT3は、戻りたくなる薬のひとつですが、コントロールがうまくいっていない証拠ですよね(汗)
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よかった~ (若紫)
2009-11-03 23:29:20
こんばんは。
私も先生と同じことを日頃から感じていました。
そして今、ここを読んで、先生と同じように「よかった~、そうよね~。」と思ったところです。

制吐作用を狙う時に限らず、ステロイドを多く使うのを怖がる医者が多い気もしますね。

PCTの医師として主治医にアドバイスする時に、まだまだとても気を遣います。
もっとしっかり勉強して、安心して信頼してもらえるような緩和ケア医にならなくては、と思っています。

でも本業(消化器内科)との両立が難しいです。
兼業でされている先生方は、どうされているのでしょう・・・?(泣き言です、すみません。)
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Unknown (shino)
2009-11-04 22:23:15
以前から先生のブログを楽しく読ませていただいています、病院薬剤師です

日本の制吐剤ガイドラインもとうとうできるのですね!
12月には待望のアプレピタントも発売されるそうですが
5-HT3の二の舞にならないよう、適正使用を検討しなければ、と
上司と頭を抱えています・・・
コスト面からも、適正な薬をきちんと使っていただけるよう
患者さんの吐き気が少しでもコントロールできるよう
院内のレジメンを整備していくのが
私達の役目と思っています!
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コメントありがとうございます (aruga)
2009-11-04 23:40:44
junさん
本当にそうですね。推奨の方向づけがあると、とても、心強いです。同じ方向を向いてくださっていて、ちょっと、(かなり)嬉しかったです!

若紫さん
よかった~っと一緒に感じてくださって、安堵しました。
治療の副作用に対する症状マネジメントは、緩和ケア(だけ)をやっているものにとっても、新たな知識を要求されます。勉強しても中々追いつかなくて・・ 若紫さんは、消化器内科にも属されているからこそ、入ってくる情報ってありますよね。いいなあって思います。
(なので、最近は、専門領域ではないようなレクチャーも、時々のぞくようにしています)

両立の難しさは、時間的なことでしょうか、それとも、自分のギアの入れ替えなのでしょうか・・ 雰囲気としては、上手にバランスをとっていらっしゃるように感じますが・・

shinoさん
いつもお立ち寄りください、本当にありがとうございます。
薬剤師さん方の癌治療についての知識は、本当に目を見張ります。新しい薬剤がどんどん入ってきますが、症状緩和薬、支持療法薬、治療薬と見事に知識を整理されていらっしゃいます。
緩和ケア仲間では、まだ、アプレピタントはニューワードに過ぎず、出遅れ感がぬぐえません。
「レジメン整備も私達の役目」とお書きくださり、本当に心強いです。色々ご教示ください。
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