緩和ケア医の日々所感

日常の中でがんや疾病を生きることを考えていきたいなあと思っています

ETV 緩和ケア特集

2006年09月24日 | 医療

昨夜、何気なくTVをつけたらETVで緩和ケアを特集していました。 癌研有明病院で、数ヶ月NHKが密着取材を続けていた番組のようでした。

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“緩和ケアは、初期から関わる役割もあり、治療チームに入っていって参加するなど病棟に留まらないあり方もあります。 緩和ケア病棟で治療を受けた患者さんは、痛みがとれ旅行に行ったり、在宅に帰る事ができています。”
番組は半分ほどしか見ていませんので、見た範囲での内容要約です。

あの番組を見た皆さんはどのような感想を持たれたでしょうか。

緩和ケアは桃源郷や理想郷ではなく、魂のぶつかり合いだと日頃感じている者としては、あまりに綺麗にまとめられていて、これでいいのかなあ・・と思いました。 
一方で、我々のように髄を感じている者に対してではなく、緩和ケアって初めて聞きましたという一般の方や医療者に対しては、良い一面を伝えなければ走り出せないでしょうから、これはこれで仕方ないことなのかなあとも思いました。

以前勤務していた緩和ケア病棟で、専門病棟に入院したのに痛みが取りきれない、天国のようなところだと思ったのに・・と言われたことを思い出します。 
症状があることと衰弱することは異なります。 
確かに、外来に戻れる位の体力がある方の場合には、症状緩和も上手くいきますが、症状が軽くても、衰弱が進んでくると、一筋縄にはいかなくなります。 心も痛み、魂も痛む・・ ここをどう支えていくかということが問われるわけです。 
初期からの緩和ケアと、末期対象の緩和ケア病棟とが十分整理されていなかった点もあるかと思うのですが・・・

市民感覚で番組を見えていない私に、是非、番組をごらんになった方、感想を教えてください。
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今日も、お付き合いくださりありがとう。明日も、来て下さいね。
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5 コメント

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たぶん・・ (aruga)
2006-09-27 21:58:57
アリーさん、ピョンちゃん

コメントありがとうございました。

いろいろな方ともこの件で話していて、感じたことが。

最近の傾向として、

緩和ケア=がん疼痛緩和=オピオイドなどの薬剤投与 

という構図が出来てしまっていることに対して、違和感を持ったのだと思いました。薬剤を用いた疼痛緩和は、緩和ケアの重要な位置づけにありますが、それが全てではないと思います。そこには、心も体も丸ごと支えるケアがあって成り立つものです。ピョンちゃんはのコメントはこのケアというところに焦点が当てられていました。さらに、主治医の性格にも支えられたとも。

初期からの緩和→がん疼痛を薬で緩和(医療・メディスン)→色々できるという流れが、初期からの緩和→がん疼痛を薬剤と非薬剤の両面から緩和し(包括的ケア)→困難なこともあっても見守り、寄り添う医療の結果→色々できた。となると、良かったのかなあと思いました。

アリーさんのご指摘は、この薬で緩和という点は、こんなに取り上げるほど特殊ではなく、緩和ケア病棟や外来でなくても出来るはずなのに、ここまで取り上げると言うことは、当たり前のことができていない現実がまだまだあるということですよね。
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主人が入院していました。 (ピョンちゃん)
2006-09-27 14:54:54
私の主人が昨年7月から、有明の泌尿器科に、今年2月14日から3月10日に亡くなるまで、有明の緩和ケアに入院しておりました。

今年2月に向山先生がNHKの番組に出演なさっておりましたが、いわゆる、きれい事に終始している、元気な人を取材していると言う感じは、否めないのですが、現在癌と闘っている方や、ご家族も見る番組ですので、それは、致し方ないと私は思っています。

又、我が主人は、化学療法をやる気満々、治療をしないなんて言われることを必死に避けていたので、結果的に緩和の先生と接することも遠回しにしていましたし、主人の状況からは、在宅看護では、大変無理がある状況でしたので、昨年10月から、妻の私が先行して、緩和ケアへの希望を出していた次第。

痛みが取れた一瞬はありましたが、衰弱が激しく、主人がもう一花を咲かせることはありませんでしたが、私はそれはそれで良かったと思っていますし、正しい治療、優しい、寄り添ってもらえる看護をしていただいたと思っています。

それは、泌尿器科主治医の確かな知識と技術に裏打ちされた上に、持って生まれた性格の円満さにもよったと思っています。

べた褒めするつもりはありませんが、自分が地方に住んでいたとしても、根性を入れて、このような病院に入院するようにしたと思っています。
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見てました (アリー)
2006-09-27 12:32:29
その番組、見ていました。

確かにきれいにまとめられていたせいか、あまり頭に残っていないのですが。

 取り上げられていた方々、特殊なケアをしたわけじゃなくて、緩和ケアとしてはごくごく一般的なケアだったように思うのですが、それで取れる痛みなのに、ケアしてもらえないところが多いというのが問題なんだな~と思いました。

各科の医師が集まって、治療方針を決めるのは安心できますね。

主治医一人に診てもらっていると、偏らないかとどうしても不安になりますから。
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同じ体験をされているように感じます (aruga)
2006-09-25 22:17:28
初期からの緩和ケアを導入されると旅行にもいけるよと言われているようで、ある一面の強調になってしまわなければいいのですがと思いました。

最期のことについては本当に同感です。
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同感です (atusato)
2006-09-24 20:21:57
 私は見ていませんが、患者さんに時々言われます。

「ここにきたら、苦しいことが全てなくなると思ってきたのに、違った」と。

 緩和ケア病棟やホスピスの報道が増え、それもいい面しか報道がないため現実と離れている気がします。がんになっていなかった頃を思い描いて入院されると、期待が大きすぎるようです。どうしても死が避けられないとき、衰弱は誰にも止められないのですが・・・

 そして、最近は人の亡くなる経過を見たことがない(在宅死がない、核家族化などで)方がほとんどなので、ドラマのように最後まで話をしてガックっとなって亡くなると、思っていらっしゃる家族も大変多いです。TVの影響は良くも悪くもとても大きいので、きれいなところだけでなく、そうでないところも報道していただきたいなと日頃から感じていました。
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