『浪華奇談』怪異之部 2.小坊主
2024.2
たぬきが子供に化けた話
私の第三男が、膝行松(いざりまつ)の辺(あた)りにおいて、夜中に小児が一人たたずんでいるのを見た。傍近くに進んで見れば、知っている者の子であった。
三男から声をかけたが、子供は、返答もしないで、ただ笑ってばかりいた。
しかし、その着ている服の縞の筋が鮮明に、あたかも白昼のごとくに見えた。
これは、父が平生言っていた所の狸の怪であろうと、匕首(あいくち)を抜うちに斬りつけた。しかし、
少しは手答えもしたが、たちまち狸の本相を現して、そばの塀壁をかき登り、逃亡したそうである。
私が、思うに。匕首を抜く事が、今少しおそければ、大事に至ったであろう。
2024.2
たぬきが子供に化けた話
私の第三男が、膝行松(いざりまつ)の辺(あた)りにおいて、夜中に小児が一人たたずんでいるのを見た。傍近くに進んで見れば、知っている者の子であった。
三男から声をかけたが、子供は、返答もしないで、ただ笑ってばかりいた。
しかし、その着ている服の縞の筋が鮮明に、あたかも白昼のごとくに見えた。
これは、父が平生言っていた所の狸の怪であろうと、匕首(あいくち)を抜うちに斬りつけた。しかし、
少しは手答えもしたが、たちまち狸の本相を現して、そばの塀壁をかき登り、逃亡したそうである。
私が、思うに。匕首を抜く事が、今少しおそければ、大事に至ったであろう。
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