五輪組織委の会長人事が波紋を呼んでいる。
前会長が後継者を指名したことが「透明性を欠いている」として白紙に戻ってしまったからだ。
果たして本当にそうだろうか。
たしか後継者に指名された評議員は押しかけたマスメディアに「若し選ばれたら」というフレーズを何度も繰り返していた。
あくまでも前会長の指名は「推薦」であって正式の決定には然るべきプロセスを経ることは自明だと思う。
無論後継者に指名した前会長だって密室で決めるなんて気持ちはさらさらなかろう。
むしろ職務を突如離れるものにとって後々を考え空白期間を極小化する配慮は褒められてもいいくらいだ。
問題は首相サイドにあるのではないか。
首相はかって国会で「五輪組織委トップに対する人事権はない」として野党からの攻撃をかわしていた。
それがそれが、会長が評議員を後継指名するいなや「透明性を欠いている」とかの理由で白紙撤回に動いた。
これこそ前言とは矛盾する政治の人事介入ではないのか。
解任時には権限がないと言いながら、意に沿わない候補者が選任されようとする時には空かさず口を出す、こんな身勝手な行動は首相といえども慎むべきではないだろうか。