馬鹿と阿保
一般的には、阿呆が関西で、馬鹿が関東と言われる。従って、関西で「馬鹿」と言えば険悪なムードになり、関東で「あほ」と言えばケンカになる。この境目は正月のお雑煮の「丸餅」と「角餅」論争と同じで、岐阜県の関ヶ原あたりとされる。筆者は関西人なので阿呆の使い方から述べる。っと、簡単に言ってしまったが、阿呆の意味合いの幅広さはすさまじい。人生を台無しにするほどの不祥事を起こした奴に、「アホっ!」と最大限の罵倒にも使うが、妙齢の未亡人が夫のお通夜のあとで、浮気相手が喪服の裾を引っ張り、求めて来たのに対し「あほっ♡!」とも使う。つまり阿呆はTPOが大事なのである。しかし先ほどの「あほっ!」は、「アホんだら!」だ。結局、その場では許せない事への警告としての言葉であり、時と場合によっては「ええよ。」でもある。しかし馬鹿は、関西では絶対馬鹿であり馬鹿野郎である。ただ、関西でも芦屋の山手当たりなら、お通夜の夜に未亡人が、「ばか♡!」と、言っているかも知れない。筆者は残念ながら、そう云われた経験はなく。「やめて――。(怒)」と言われるばかりであります。
因みに、阿呆は、「あほう」だが、最近は「あほっ」で良い。中国の秦の滅亡時、始皇帝の別荘「阿房宮」に自ら、火をつけて燃やしたアホな出来事から転じて「阿呆」の語源となったと言う。燃え尽きるのに3日3晩かかったと言う。散々宮廷の奥深く美女たちに「あほ♡」と言われ続けた果ての滅亡である。本当か?
なお、馬鹿も阿呆も当て字であり文字そのものに罪はない。馬も鹿も賢い動物だ。