87番 寿宝寺
京田辺市三山木塔の島20
山号 開運山
宗派 高野山真言宗
開基
本尊 十一面千手千眼観音菩薩
別称 山本の大寺
京都のお寺が大好きだ。おすすめ一番はここだ。
京田辺の同志社大学校舎のすぐ近くにあるのが寿宝寺である。うっかりすると見逃がすように町中にひっそり建つ。残念ながら住居兼寺院という一般的な檀家寺の趣きである。しかしここには、大阪藤井寺の葛井寺と奈良の唐招提寺と並ぶ千手観音の傑作がある。南都と平安京を繋ぐこの辺りには多くの歴史的寺院が多くあったようだが、歴史の経緯からいくつかの寺院が合併して出来たのが寿宝寺である。
狭い境内の中に5m四方くらいのお堂がありその中に安置されている。従ってごく間近に拝むことが出来るのだ。しかも寺の方の演出でお堂の扉を閉めて暗闇からわずかの光の中でまず拝む。昔、月光の中でひざまずき観音様の慈悲の視線を感じる。そして扉を開けてまぶしいような太陽の光の中で拝む。その眼差しの違いを感じる。なかなか粋な演出ではないか。
凄いのは、実際に千本の手を持っていると言う事だ。数える気力はないが、普通千手観音の手は実際は42本の手であり、前で2本の手を合わせて印を結んでいる。そして残り40本の手がそれぞれ25の世界を救うとされ25✖40で1000本となる。しかし寿宝寺の観音様は実際に1000本の手を有し数々の珠宝を持ち何も持たない手には眼がある千手千眼観音という事なのだ。
製作は平安時代というので重要文化財指定だが、先年蓮華王院の千手観音がすべて国宝指定されたのならば、こちらが重文では十分?ではないと考える。
一般的に制作の都合上、千手観音は上半身に比重がかかるので下半身が短く短足になりがちだが、こちらはすらりとしたお姿が良い。ただただこの仏様を見る為のみ訪れるお寺である。